封印された教師
地下広間。
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三人はまだ残っていた。
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封印。
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覚醒。
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そして。
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何者かの存在。
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静寂が続く。
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誰も軽口を叩かない。
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アルフォンスが日誌をめくる。
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破られたページ。
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欠落した記録。
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肝心な部分だけがない。
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「意図的だな」
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バルトが言う。
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「隠している」
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セシリアは頷く。
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今までの資料と同じ。
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誰かが消した。
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そして。
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消された内容は全部同じ方向を向いている。
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地下封印。
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その時だった。
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パラッ。
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日誌から一枚の紙が落ちる。
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三人が固まる。
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挟まっていた。
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気付かなかった。
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アルフォンスが拾い上げる。
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かなり古い。
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黄ばんでいる。
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だが。
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文字は読めた。
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【特別会議記録】
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学園関係者による議事録だった。
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内容は断片的。
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破損も激しい。
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しかし。
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ある部分だけは読めた。
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【被害生徒 七十二名】
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空気が止まる。
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七十二。
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見間違いではない。
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「生徒……?」
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セシリアが呟く。
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次の行。
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【教職員 十九名】
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さらに次。
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【封印処置を実施】
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沈黙。
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誰も言葉を発しない。
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地下施設。
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封印。
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そして大量の死者。
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偶然ではない。
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「事故じゃないな」
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アルフォンスが言う。
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バルトも同意した。
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七十二人。
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そんな人数が死ねば、
歴史に残る。
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だが。
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誰も知らない。
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つまり。
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隠された。
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意図的に。
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セシリアは続きを読む。
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文字は掠れている。
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所々読めない。
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だが。
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最後の方。
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一文だけ残っていた。
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【元教員アーヴェル・グランツを第七封印区画へ収容】
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三人が顔を見合わせる。
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初めて出てきた名前だった。
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アーヴェル・グランツ。
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教師。
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そして。
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封印対象。
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「人間だったのか……」
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アルフォンスが呟く。
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封印される怪物。
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魔族。
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魔獣。
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そう思っていた。
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だが違う。
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元教師。
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学園の人間。
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その時。
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ゴォォォ……
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地下全体が揺れる。
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今までで一番強い。
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セシリアが壁を支える。
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アルフォンスも体勢を崩す。
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魔力。
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巨大な魔力が地下を駆け抜ける。
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そして。
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一瞬だけ。
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広間中央の魔法陣が光った。
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青白く。
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不気味に。
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三人は見た。
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魔法陣の中央。
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亀裂の奥。
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ほんの一瞬だけ。
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何かの指が動いたように見えた。
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次の瞬間には消える。
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錯覚だったのか。
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誰にも分からない。
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だが。
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三人は理解した。
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この封印は昔話ではない。
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今も続いている。
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そして。
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封印されていた何かは、
確実に目を覚まし始めていた。




