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剣術大会




『只今より、アヴァロン学園剣術大会を開催する‼︎』


正装した騎士の宣言を受けて、運命の剣術大会は幕を開けた。


生徒たちはA〜Hまでのグループに分かれ、各グループの勝者8人でトーナメントを行う。

運営の采配なのか、乙女ゲームのご都合主義か、王子とアレクティス達は誰一人被ることなくチームが分かれた。


「凄い熱気ですね。」


「そうね。楽しみだわ、」


会場の空気同様、試合は熱い戦いが続いた。

ルミアとして生徒たちを見てきたつもりだが、彼らへの認識を改めなければならない。


(フェリスの平和は安泰ね。)


貴賓席を見ると、お父様と二人のお兄様も満足そうに観戦していた。


会場に響く剣撃。

叫ぶ様な声援。

一際大きな歓声の先を見れば、イグニスがAグループを勝ち抜いて剣を掲げていた。


「流石はイグニス様ですね!」


それに続く様に、ライラック、ギルベルト、アレクティス、ミスティアナが勝ち抜きを決めた。


「やっぱり騎士特待クラスの奴は凄いな…」


「けどオンディーヌ様が勝ち抜くとはな…」


「馬鹿!見てなかったのかよ!あの魔法剣の威力!」


ミスティの極限まで軽量化した剣は、耐久性もなく鋭利さもない。

だが、彼の水属性の魔法を付与する事で、剣は鋭利な水の刃を纏う。

全身に巡らせた魔力は肉体を強化し、水流の様に流れる動きを捉えることは難しい。


(正直ここまで成長するとは思わなかった。)


普段は変わりない仔犬の様な愛らしさだが、剣を構えた瞬間、その瞳には確かな闘志が宿る。

恋愛シュミレーションの中では知ることのない、ミスティの本気の戦い。

騎士としての、ミスティアナ・オンディーヌの姿がそこにある。


(この勇姿を見れば、フィオナもミスティを意識するんじゃないかしら。)


そう思い隣を見ると、フィオナの視線は会場の奥…ガリュー王子に向けられていた。


「強いですね…」


「そうね。あの豪腕から繰り出される一撃をまともに喰らえば、まず勝ち目はないわ。」


ガリュー王子と対戦した生徒が、意識を失ったままヒールの魔法をかけられている。

容赦なく叩き潰す…彼らしい戦い方だ。


「アスタルお兄様の言う通りね。ガリュー王子とは性格的に合いそうにないわ。」


「万が一ガリュー王子が優勝してしまったら、調教してしまえばいいんですよ。」


「貴女…そんな言葉をどこで覚えてしまったの?」


そうこうしているうちに、各グループ勝者による、準々決勝の組み合わせが発表された。


第一試合 ガリュー vs ギルベルト

第二試合 ライラックvsミスティアナ

第三試合 スフィアvsシュバルツ

第四試合 アレクティスvsイグニス


「シュバルツ…彼も残っていたのね。でも…彼にここまでの実力があったかしら。」


彼は騎士クラスの生徒だ。

つまり、騎士特待クラスの生徒たちより実力は劣る。

実際の戦いを見たことはないが、彼も成長した…ということなのだろうか。


(でもあれって…不敬罪に問われないかしら。)


完全ノーマークだったヤンデレ様は、スフィア王子を呪い殺す勢いで睨みつけている。

いや、むしろ呪ってる。

確実に呪ってる。


風魔法を使いシュバルツの声を拾うと、確信は恐怖に変わる。


「王子だかなんだか知らんが、たかだか人の身で高貴なるルミリア様を妻に望むなど身の程を知らぬ愚か者め…その身を切り刻んで、混沌の森へとばら撒いてくれる‼︎いや、生温い…麗しの女神ルミリア様の住まう地に葬るのも穢らわしいからな…箱に詰めて北の地に送り返してやろう‼︎」


高貴なのは王族の方ですよ?

女神ではありませんよ?

切り刻んでもいけません。

送り返すのは賛成です。


「ルミリア様?遠い目をしてどうしました?」


「ヤンデレ様怖いなって…」


「ヤンデレ様?そんな名前の方がいましたか?」


こんな単語は知らないままでいて欲しい。


「それにしても、ガリュー王子とギルベルト様の戦いなんて…」


「そうね…どちらも感で動くタイプだから、地力の強さが鍵になるわ。」


グノームの後継と呼ばれているのは伊達じゃない。

ギルベルトが騎士の誓いを立ててくれた時、ゲームではないこの世界の彼を知るために私なりに情報を集めた。


武闘派一族の中でも、飛び抜けた戦闘センス。

恵まれた躯体にも恵まれた神童は、幼い頃から鍛えられて後継と認められる成長を見せた。

が、学園入学を機に、鬱積した感情を発散するかの様に、ギルベルトは授業以外に剣を持つ事はなくなった。


(一年のブランクは大きい…)


それはギルベルト自身が痛感している事でもある。

大会前の練習にルミアとして付き合った際に言っていた。


『お前が言ってた通りだな。本当に大切なものを守る為には、守る為の力が必要だ。俺を厳しく育ててくれた祖父さんには感謝しなくちゃな。けど…無駄にした一年はでかい。俺に彼女が守れるだろうか…』


あの時の、後悔に満ちた表情は忘れられない。


けれど


「ギルベルト様なら大丈夫ですよ!見て下さい。まったく気後れしてない!」


手を振るフィオナに、ギルベルトが笑顔で手を振り返す。

ついでにウィンクと投げキッスまで飛ばしてきた。


途端に会場は黄色い悲鳴に包まれて、軍関係者は耳を押さえてしかめっ面だ。


「これで軍からのスカウトが無くならなきゃ良いですけどね。」


「大丈夫でしょう。グノームは軍にとって欠かせない一族だもの。それに、この戦いを見れば絶対に欲しくなる。」


審判が剣を掲げると、周囲は静まり返り、ガリューとギルベルトが向かい合う。


「実力差も分からんとは、愚かの極みだな。」


「実力差…ねぇ。負ける気はしませんよ。俺には女神の加護がある。」


闘争心を剥き出しにして笑う二人に、審判である騎士が僅かに怯む。


だが、凛とした声は高らかに告げた。


『第一試合、始めっ‼︎』









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実はまだどの試合も勝者を誰にするのか決まってません。

誰を優勝させようかなぁ…。

意見があれば聞かせてくださると嬉しいです!

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