第四話 運命の月曜日
週明けの月曜日。
しろとくろはお互い裸足でローファーを履き並んで学校へ向かっている。
くろはどこかで何だかんだ理由をつけて裸足登校しないのではと疑っていたのだが、約束通り裸足のしろを見て安心していた。
…のだが、授業が始まり斜め前方の席に座るしろの足元を見て絶句する。
なんとその足にはちゃっかりと靴下が履かれているではないか。
「あの子…! また私を弄んだわね…!」
沸々と沸き起こる怒りをゆっくりと息を吐くことで抑えつつ、昼休みにありったけの文句をぶつける事を決意する。
そして昼休み。
二人は昼食の指定席である木造の旧校舎の三階の階段を登り切った先に腰を下ろし、こっそり持ってきた携帯ゲーム機を置きランチボックスを開いた。中にはサンドイッチが入っていてお互いの物を幾つか交換しながらくろは靴下の件を問いただす。
「あんたね! 裸足登校するって言っといて靴下履いてるにはどう言うわけ⁉︎」
くろの文句に悪びれもせずサンドイッチを手に取るとしろは、
「え〜? ちゃんと裸足で『登校』はしたじゃない。裸足で授業を受けるとまでは言ってないでしょ?」
と余裕の表情でパクリ。
「な…くっ…図られた…」
してやられたとワナワナするくろを横目に、少し不思議そうにしろが尋ねる。
「でもくろちゃん、おやすみの日は靴下なんて履かないじゃない。なんで学校の靴下にこだわるの?」
「当たり前でしょ! みんな靴下履いてるのに私だけ裸足なんて恥ずかしいじゃない!」
「なるほど!」と納得したよう頷くと、何かを思いついたしろは自らの靴下を脱ぎそれを見せつけイタズラっぽい笑みで、
「そんなに靴下履きたいならあたしの脱ぎ立てホカホカ靴下履いちゃう〜?」
からかうように言うと…
「あら、いいの? じゃあ借りとこうかしら」
「へ⁉︎」
何の躊躇いもなくこともなげに予想外の返答を寄越したくろ。逆にしろが戸惑い、顔が真っ赤になり火を吹いた。
「えっ…あ…でもほら! あたし足臭いし!」
「知ってるけど」
「あ! ほら! 靴下あたしの汗でびっしょり! きっと気持ち悪いよ⁉︎」
「? あんたのなら平気よ?」
「ふぇっ⁉︎」
『あんたのなら平気よ』この言葉がしろの脳裏でエコーし、そして恥ずかしさのあまり顔が爆発した。
しろはもう片方の靴下も脱ぎおずおずとくろに差し出し、それを受け取ったくろは全く不快感も示さずに足に履き一週間振りに平穏な学生生活を取り戻した。
そしてサンドイッチを咥えながら携帯ゲームを拾い上げ、しろがクリア出来ないステージの攻略に取り掛かる。
一方のしろの心は当然平穏でいられるわけもなく、
(はわわわわ…! くろちゃんがあたしの履いてた靴下を! これって…間接キス⁉︎ 裸足の間接キスだよね!!??)
くろの足を凝視しながら真っ赤な頬に両手を当てているしろの横で、冷静にゲームをするくろ。
「このステージを越えればいいのよね? 任せなさい」
(くろちゃん…! あたしの心のステージはもう先に進んじゃってるよぉお〜!)
しろは裸足になった足指を無意識にくねくねさせながら悶絶する。まさに運命的な月曜日であった。
「そうだ、靴下洗って明日返すわね」
「はあ…はあ…返さなくてもいいよ…それ元々くろちゃんの靴下だから…ほふぅ…」
「私のかい!」




