表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化決定!】転移した先が滅びかけ!?〜万能クラフトと解析眼で異世界再生スローライフ~  作者: 夢・風魔
3章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

71/74

71:ア→ト

 七日後、アソールの町にドワーフたちがやって来た。

 荷車を押し、野菜やその種、苗も運んできていた。これならすぐに農業も始められるだろう。

 あとはこっちでスコップやツルハシ、鍬といった道具をクラフトするだけ。


「エリクサー草も随分育ったなぁ」

「えぇ。私の背丈とそう変わらないわ」


 エリクサー草は蔓植物に近い。芽が出たときに長い棒をクラストして、そばに立てておいた。

 蔓は棒に巻き付き、その長さはレイアの身長に届きそうな高さにまで成長している。


『収穫、してもいい、ですよ』

「本当? 志導くんっ」

「あぁ。収穫してインベントリに入れておこう」


 俺がクラフトするより、エリサに製薬してもらった方が完成するポーションの量が違う。

 葉っぱを摘み取り、だけど先端にあるぷっくりとした蕾の周りの葉っぱだけは残す。


「ニト、これで種は大丈夫かい?」

『うん。エリクサー草の種は、葉っぱ、いっぱいだと実らないから。これでいいです』

「葉を摘み取らないと、次の種ができになんて不思議ねぇ」


 実った種はそのまま、ここに植えることになる。

 だから床石を捲った部分を、花壇のように装飾した。


「種ができたら、わしらがちゃんと植えて水やりもしとくぜ」

『僕、神力戻ってきたら、お世話するね』

「ニト、ありがとう。でも絶対に無理はするなよ」

「そうよ。ニトくんが倒れたら、ニーナちゃんやニルスくんが心配するんだから」

『えへ、へ。ありがとう。ニーナたち、無事でよかった』


 まだまだ色が薄いニトだけど、その表情は明るい。

 ニーナが無事で、アリューケにはニルスも来ている。そう伝えたときのニトは、目に涙を浮かべて喜んだ。

 そして……ニトもニーナ同様、自分が人工精霊であることを忘れてしまっていた。

 モンスターの襲撃を受けたときのショックなんだろうな。


 ドワーフ族も、土地神様が人工精霊だとは知らない。

 きっとこの世界のほとんどの人が知らないのだろう。

 今はまだ、話すべき時じゃないとそう思ったから黙っていることに。


 祈り……いや、想い、かな。

 土地神という存在を想うことで、人工精霊たちは力を得る。

 人工精霊の力が安定することで、町も安定法がするのならこのままの方がいい。


「それじゃあ、俺たちは次の町へ向かいます」

「本当に一緒に行かなくて……いや、ユタドラゴンはいるんだ。心配するだけ野暮ってもんか」

「えぇ。私がいるんですもの、大丈夫よ」

「オイラモ!」


 それから、物は試しとばかりドワーフたちにあるミッションを課してみた。


「二カ月間、週休二日制で……瓦礫の片付け作業、畑作業、穴掘り掘削作業を行う。女性陣は畑の作業と一日一回以上の食事の準備。子供たちは……」


 とここで子供たちが顔を左右に振る。

 そんな程度で俺の心は微動だにしないぞ。


「子供たちは家の手伝いを一日三十分、畑仕事を一時間手伝う。これなら遊ぶ時間もあるだろう?」

「うえぇぇぇぇ」

「何言ってんだいこの子はっ。志導さん、家の手伝いなんて三時間でも四時間でもいいんだよ」

「ヤダよ母ちゃん! 三十分! 三十分だけだからな!」


 はっはっは。手伝いをする約束をしたな。今のはお母さんの勝ちだ。

 今までは毎日ミッションを設定してきたけど、それだと離れて暮らす人たちに出せなくなる。

 できるかどうかわからなかったけど、今、俺の視界には彼らへ出したミッションが表示された。

 UIのように表示されるこれも、消すことができるようになったし……スキルのレベルアップ効果なのかな?

 ミッションクリア後にどうなるか。それも知りたい。

 二カ月分の効果が一度に与えられるのか、それとも()()は一回なのか。


 瓦礫や木材、ミスリルとアメジストをたんまり補充して出発。

 次に目指すのは――。


「アトランの町ね」

「アトラン……アリューケにアソール、アトラン……」

「ぷふっ。町の名前、全部アで始まるのよ」


 土地神様はトから始まり、町はアから。

 古代魔法王朝の人たちのネームングセンスって、いったい。






「うっわ……ここはまた酷いな」


 アトランに到着したのは八日後だった。モンスターの数が多く、移動に時間が掛かってしまった。

 そして町の方は悲惨な状況で、残っている建物も一切ない状態。

 魔導装置がどうなっているか……それに教会。

 精霊石が破壊されていたら、土地神様は……蘇らない。


「とにかくまずは魔導装置を探そう。町の中心部にあるだろうし」

「志導。モンスターがいるから、注意して」


 マジか。ユラが後ろ、そしてユタとゴー助が俺たちの左右に分かれて警戒をしてくれる。


「志導くん、私も」

「いや。今から服を着たりなんたりする間に襲われるだろうから、このままで」


 猫の姿のレイアは、俺の肩の上だ。

 着替えができそうな場所もないし、だからといって俺かレイア、二手に分かれるわけにもいかない。


「来たわ」


 ユラの言葉が合図にでもなったように、モンスターが次から次へと襲ってきた。

 俺もインベントリに入れた瓦礫を槍の形にして、それを画面フリックで飛ばして援護する。


「志導。もっと小さなものを、たくさん同時に飛ばせないかしら?」

「できるけど、殺傷能力が」

「十分よ。当たらないものを一本ずつ飛ばすよりずっといいもの」


 すみません。全然当たらなくって。

 それなら、鉛筆より少し大きくした程度のものを……はっは。千本クラフト!

 千本だろうが、クラフトにかかる時間は一、二秒だ。

 それを一度に百本、飛ばす。


「ギャピ!?」

「よし!」

「凄いわ志導くん!」


 俺だってやるときはやるんだ。


「ソレダケ飛バセバサスガニ当タリマスデスネ」

「ヨクデキマシタ!」


 ……ユタに褒められても、なんだろう……この虚しさは。


 魔導装置を見つけるまでに、当面の食用肉をゲット。

 塔はなく、瓦礫に埋もれた魔導装置を見つけたのは、辺りが薄暗くなり始める頃だった。


「まずいな。今日はここで野宿になりそうだ」

「瓦礫を撤去しなきゃ、魔導装置の修理もできないわよね」

「だね。とりあえずささっと小さな小屋をクラフトするよ」


 辺り一面瓦礫だらけで、開けた場所はどこにもない。だけどそろそろレイアが元の姿に戻る時間だ。

 畳一枚分の空いたスペースをがある。そこに瓦礫で極小さな小屋、というより更衣室だな、それをクラフトしてレイアの荷物を入れてやる。


「ちょっと周りの瓦礫を片付けてるよ」

「えぇ、ありがとう志導くん」


 ゴー助を中心に、辺りの瓦礫を集めてもらう。俺もインベントリを直接瓦礫に押し付け、どんどん収納していく。レイアが着替え終えたら、更衣室をもう一度撤去。

 広くなったスペースに、今度は四畳半程度の小さな小屋をクラフトする。


「志導。念のため、壁はぶ集めに。それと、屋根に登れるようにしてくれるかしら?」

「できるけど、どうしてだい、ユラ」

「あたりが瓦礫で見晴らしがよくないから、上から見張るのよ」


 なるほどね。

 クラフトした小屋は豆腐型。四角く、屋根は平らなタイプだ。


「しばらくこの町での滞在になりそうだな」

「そうね。装置を直す前に掘り起こさなきゃいけないし、周りの瓦礫を撤去しなきゃ新しい塔も建てられないものね。明日は私も人の姿でいるわ。瓦礫を運ぶ代わりに、周囲の警戒をするから」

「たのむよ、レイア」

 

 教会を探して、精霊石の状態を確認もしておきたい。

 でも安心して町を歩けるようにするのが先だろうな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ