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【書籍化決定!】転移した先が滅びかけ!?〜万能クラフトと解析眼で異世界再生スローライフ~  作者: 夢・風魔
3章

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70:ニトくん→カブ。

 アソールの町に到着して五日目。

 町の広さはアリューケとほぼ同じ。たぶん他の三つの町もそうなんだろうな。

 でも街並みまでは同じではなさそうだ。

 ここの教会は、比較的町の中心部に近い場所にある。おかげで畑の方が遠くなった。


「まぁ構わねえさ。地下を通れば瓦礫を気にせず歩けるしな」

「じゃあ、地下のトンネルを畑の方に伸ばすかな」

『主、オ掃除終ワリマシタ』

「ゴー助、ありがとうな」


 ゴー助の言う『お掃除』は、瓦礫を一カ所に集める作業のことだ。

 大きさ自体はドワーフとそう変わらないっていうのに、そのパワーは彼ら以上だ。さすがロボット。

 いやロボットとは違うのか?

 とのかくパワフルだ。


 一日で七、八軒分の瓦礫をまとめてくれるから、大助かりだ。

 レイアが土地神様の召喚に成功する頃には、アソールの町はスッキリしているかもな。


 そう思っていたのだけれど。

 五日目の夜、ついに。


「と、土地神様の像が光ったわ!」

「本当か、レイア!」


 レイアの声が聞こえて慌てて像を見ると、確かにうすぼんやりと光っていた。


「ニト、頑張れ」

「頑張って、ニトくん」

「頼むぜ、ニト様よぉ」

『オ寝坊デスネ、ニト様ハ』

「ネボーダゾ」

「もう起きても大丈夫よ」


 みんなが声をかける。その声に呼応するように、像はチカチカと点滅した。


「ニトくん……私の声が届いているなら……姿を見せて」


 レイアが土地神様――人工精霊に呼びかける。

 そんな状態が三十分ほど続くと、土地神像が力強く輝きだした。


「うわっ。眩しいっ」

「うっほ。こりゃ目覚めるぜ」

「ガンバレ!」

『ガンバリマショウ』

「ニトくん」


 祈るようなレイアの声。そして。


『僕を……呼んで、くれた?』


 うっすらと、ほんとうにうっすらとした男の子が、像から現れた。






「アーッ。葉ッパ。葉ッパ出テル!」


 土地神ニトが復活してすぐだった。ユタが礼拝堂の床を見てそう声を上げた。

 土を浄化するために床石を剥ぎ取ったあの場所だ。


「エリクサー草だ! 解析眼でも鑑定済み。やった。自然に発芽したんだな」

『僕……成長、させる?』

「いや、いいよ。このまま自然に成長するのを待とう。それに、神力がまだまだだろう?」


 そう聞くと、ニトは素直にこくんと頷いた。

 長い、とても長い眠りからようやく目覚めたばかりだ。今は神力を使わせるべきじゃない。


「となると、早くうちの連中を連れてきた方がいいな。大勢で話しかけた方が、土地神様の神力も溜まりやすいだろうからよ」

「そうだな。ディノ、また呼べるのか?」

「あぁ。大地の精霊に頼めば、呼ぶことはできる」


 このドワーフ族のネットワークがどうなっているのか聞いてみたけど、言葉を直接届けたりするものではないようだ。

「呼ばれている気がする」その程度のもので、大地の精霊を介して呼びかけるものらしい。

 極端な話、相手が地面に立っていないとわからないもので、例えば船の上にいたり木に登っていたりすると、まったく聞こえないらしい。

 足の裏から電波を受けているのか?


「十日間の移動だけど、魔素とか大丈夫かな?」

「大丈夫だろう。浄化の石ひとつありゃ、途中の魔導装置小屋ん中で休めるしな」


 二、三日なら、魔素の中を歩いても平気らしい。

 じゃ、その間にできることをやってしまおう。


「レイア。明日は……レイア!?」


 土地神像にもたれかかるようにして、彼女が倒れ込んでいた。

 慌てて抱き起すと、顔色が悪い。


「だ、大丈夫」

「魔力の枯渇みてぇだな」

『ご、ごめん、なさい……僕、起きたときに、お姉さんの魔力、たくさん……』

「大丈夫よ、ニトくん。魔力は、休めば回復する、から」


 そうだ。レイアは召喚魔法を使っていたんだ。

 魔法なんだから、魔力を消費していてもおかしくはない。

 この五日間、ずっと魔力を消費し続けていたのか。


「気付かなくってごめん」

「いい、の、志導くん。だって、ニトくんを、呼び出せたんだもの」


 疲れているだろうに。だけどレイアの表情は、達成感に満ちていた。

 しばらくゆっくり休ませてやらないとな。


「ユラ。明日、狩りに行きたいんだ」

「えぇ。滋養のある獲物が欲しいんでしょ? ドワーフ族がくるのなら、彼らのための食用肉も十分に用意してあげましょう。ユタ、あなたも来るのよ」

「ガッテン!」


 ディノにはレイアを頼み、ゴー助には畑の草刈りを頼むことにした。

 ゴー助は体を高速回転させることができる。刃物を持たせて回転させれば、草刈りマシーンと化す。

 近づくと危険だけど。


 翌日、ユラに案内されて町の西側にある平原へとやってきた。

 そこにはなんと。


「カブのモンスター?」


 白くはない。黒いカブだ。

 ただし大きさはスイカ並みで、根っこのような触手のようなもので地面を歩いていた。

 不気味だ。


「実は栄養があるのよ。それにあいつ、魔素の吸収率が低いから、たいして汚染もされていないの」

「へぇ……」


 実……顔があるんですけど?

 ま、まぁ、顔のないところなら……いい、か……。


 どうやって奴を狩るのかと思えば、ユラはその鋭い爪で根が生えている部分を切り落としただけ。

 なるほど。動けなくさせるのか。

 ん?


「え、まさか死んだ?」

「これの心臓はね、ここにあるのよ」


 ここ、というのがまさに根っこの付け根。

 切り落とすだけで死ぬとか……。


「こいつら、どうやって生きているんだ? 攻撃手段とか持ってなさそうだし」

「攻撃手段ならあるわ。頭突きをしてくるのよ。志導がまともに食らえば、きっと痛いと思うけど」


 痛い……痛いですむんだ。


「あと、こいつらは土から養分を吸い取って成長するから、植物と同じね」


 本当にただのカブかよ!

 いや、それを聞いて食べることに抵抗がなくなったからよかったのかも?

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