94話 過去の生傷
フローズンさんがお茶を沸かし、出してもらった。
「はい、麦茶」
「ありがとうフローズンさん」
「そういえば千尋ってさ、料理ってできるの?」
「できない、一度も台所に入ったことないから」
「どうしてなの?」
「ご飯を作る担当が綾瀬さんの婚約者だから入る機会が無いの」
「へぇ~それって男?」
「そうだね」
そのワードに莉奈さんが反応した。
「家庭的な男の人だね……ペロッと食べちゃいたい」
「姉ちゃんやめてよね、もしも殺しちゃったら私たちはボコボコになっちゃうよ!?」
「そりゃそうか……」
その時、チャイムが鳴った。
「はーい」
フローズンさんがのぞき窓を覗いた。
「どうやら姉ちゃんの荷物が届いたようだよ」
「……頼んでないはず」
その一言でフローズンさんは私を抱え、台所の奥に押し込んだ。次の瞬間、ドアから4本の弾道が見えた。
(何何!?!?)
「襲撃だ、だけどどうして私の家に襲撃をかけてくるのかなぁ」
フローズンさんは持っていた拳銃を構えた。
「姉ちゃんは大丈夫?」
「大丈夫、ちょうど回避行動が間に合った」
「ならよかった」
フローズンさんは玄関の方向を観察していた。
「フローズンさん、これって……」
「うん、軽機関銃を持ってきているね、ドアが破壊されるのが先か、それとも家がつぶれるのかが先か……」
フローズンさんは手榴弾を玄関に投げ込んだ。
「こんな狭い所でこれを使うのは嫌だけどこれしかないんだよなぁ」
手榴弾は玄関で爆発し、ドアが木っ端みじんになった。
「さて、どう調理しようかな」
いつのまにかフローズンさんは襲撃者の背後に陣取っていた。
「おっと、動いたら撃つから」
凍るような声で襲撃者に話しかけた。
「千尋ちゃんはこっち」
莉奈さんが私の手を引いて部屋の奥に連れてきてもらった。
「さてと、ここで身を隠しておいてね」
「……こんなに椅子をもっきゅとするのはどうかと思う」
私は椅子に押し込められ、そして莉奈さんはナイフを持ってゆっくりと玄関に忍び足で向かって行った。
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