100話 過去を引き裂く
車に揺られる私と巴さんは森熊村に向かっていた。
「しかしあの頑固な当主が綾瀬家と協力関係を結ぶとは、どういう風の吹き回しなの?」
「綾瀬さんが無茶をして協力関係を掴んだんだよね」
「意味が分からない……どうせ賄賂でしょ」
「巴さんはどうして綾瀬さんに恨みを抱いてるのよ」
「だってレオを生み出したのは綾瀬でしょ?諸悪の根源は綾瀬で決まりでしょ。自分のケツは自分で拭けってね」
そんな話をしていると森熊村跡地に着いた。
「さてと、この廃墟から資料を見つけるの?」
「いや、私に触れて」
「どうして触れないといけないのよ」
「過去に戻るために、でも村の人に見つかると面倒だから草陰に隠れながらだけど」
「いいけど……戻りたいときは戻れよ」
「はいはい」
私は鉈に向けて念じた。そして空間を切ると奥に昔の風景が広がっていた。
「さて、入るよ」
「うん……」
私たちは裂け目に入った、すると米が炊ける匂いや土の臭いが充満していた。
「ここが森熊村?」
「そうらしいけど……村なのかな」
私たちは村の内部に入って行った。
「中は本当に村っていう雰囲気だね」
すると村の人に私たちの存在がばれた。
「旅人の方ですか?」
「あっ、旅人です~」
「そうですか……なら楽しんでください」
ここは数十年前の村だが全然先進技術が発達していないのか電線一つも通っていない。
「巴さん、儀式の日っていつか聞きます?」
「もちろん聞くでしょ」
私たちは村人に儀式の日について聞いた。
「供え物の日かい?今日だね、それであの子が今年の供え物だ」
村人が指さす方向を見るとおそらく12歳か13歳の女の子がやぐらの上に座っていた。
「物凄く美しいな……」
「ああ、まるで絶世の美女のようだ」
「おそらく数十年はこの村は安泰だろう」
その時、私の心の中で村人に殺意が湧いた。
「……そうですか」
私と巴さんは村の外で話をすることにした。
「しかし、あの村人、いや村全体は絶対保身のためには人をいけにえにすることをいとわないんだろうなって」
「ああ、私も薄々感じていた。そりゃレオもこの村滅ぼしたくなるなって」
「だが今日がその儀式の日か……どうする」
その時、笛の音と共に鈴の音が鳴った。
「この音、なんだ!?」
私たちは戦闘態勢を取ったが後ろで巴さんの断末魔が聞こえ、その次に私の腹が刀に貫かれている光景が見えた。
「なんだ……」
私は鉈を後ろに振ったが聞いている様子はなかった。そして私の意識は途切れてしまった。
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