表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
112/219

第九十八話 太助と小雨の修行(二)

遅れてすみません。

 

「そんなはずはありません。兄さんは…」

「そ、そうだ。いるはずはない」


 小雨と太助がそう思うのもおかしくない。

 何故なら二人はもう亡くなっている。

 ここにいるはずはない。


「えぇ、二人は既に亡くなっています。貴方方が目の前で見たようにね。だから、仲間の能力で呼んで貰いました。彼は亡くなった人をあの世からこの世に呼び出す能力を持ちます」


 実際に亡くなっていることは事実。

 だから、呼ぶにはそれなりの能力が必要とする。


 そして、亡くなった人を身体ごと呼び込むにはより強い能力が必要で、そのために陰秀が代わりの身体として傀儡を使い、そこに魂を入れた。

 そうすることで簡単に呼び込むことが可能となっている。


「疑いたければご自由に。しかし、それぞれで確認することも可能でしょう。今からはそれぞれでお話し下さい。私はお待ちしております」


 そう言い、陰秀は武者屋敷へと帰っていった。


「のんびりやっている場合ではない。それぞれで話をしよう」

「うん」


 隆雪は小雨へ。

 恵美は太助へ歩く。


 ーー太助側ーーーー


「太助、私はもっと一緒に居たかった」

「いや、そんなはずはない」


 声は確かに恵美だと太助は分かっていた。

 だけど、恵美の死体は確認した。

 トラウマのように頭の中に残っている。


 話せることは嬉しいが、唯一の好きな人だけにちゃんと判断したい。

 その判断能力があればの話だが。

 ただ、偽物に騙されたくないという意志だけはある。


「あ、あの時、確かに…」

「そうだよ。私は死んじゃった。何もできなかった…。でも、来てって言われて…言える!って思ったんだぁ」


 太助は困惑しながらも半分は話せることに嬉しく、涙を流していた。


 それを見て、恵美が。


「変わってないね。泣き虫太助」

「え?あぁぁぁぁ」


 恵美に言われたことを一瞬遅れ、それを隠すように大声を出した。


「大声出しても誰も聞いてないよ」


 隠すために大声を出したとはいえ、ここにいるのは小雨と隆雪だけ。

 だけど、二人は二人の世界に入っていて、こちらを聞いている様子はない。


 あと、ここにはいない陰秀だが、もしかしたら聞いている可能性はある。

 まぁ、陰秀が気にすることではないだろう。


「はぁ、はぁ。なんてことを言うんだ」

「だって私だって思われたい。だから、二人だけの話もするよ。例えばおね…」

「あぁぁぁぁ」


 またも大声で隠す太助。


「わ、分かったから。もうやめてくれ」

「じゃあ、もういい?」

「あぁ」


 太助と恵美の関係性というのはいくつか存在する。

 太助の親の会社が取引している取引先の農業系の会社が恵美の親の会社。

 親が決めた許婚。

 人付き合いが難しく、何かと心配させる幼少期の太助と人付き合いが良く、面倒見の良い恵美で姉弟のような関係。

 幼少期から付き合いのある二人は自然と仲が良くなり、太助は恵美を好きでいた。


 しかし、恵美は親の会社間の関係性も知っているのだが、それを太助に伝えることはしない。


「それならしよう」


 太助は気が乗らないが、恵美との修行を始める。


 ーー小雨側ーーーー


「兄さんは目の前で…」

「あぁ、そうだよ。ただ、小雨が生きていたことは嬉しい」


 隆雪からすれば、あの時自分が死んで、小雨も殺されてしまったのではないかと思っていた。

 だから、必死に守ろうとしたのだが、深具との力の差は大きく、殺されてしまった。


 それを今ここで小雨を見れるのが嬉しかった。


「まぁ、その可能性は低いんだろうが…」

「どういうこと?」

「いや、小雨が気にすることじゃない」


 隆雪は意味深なことを言ったが、小雨には隠す。


「それにそう遠くない話だろうからな」

「遠くない話?」

「それよりも証明すればいいんだよな」

「それはそうです。兄さんを語っている可能性はありますから」

「う〜ん、そうだな」


 今小雨にとって大事なのは目の前にいる男が本当に自分の兄なのかという話だ。


「僕達はあんまり関わることなかったしな」


 悩む隆雪。

 実際に会うことは少なく、増えたのは小雨の指南役になってからだ。

 それ以前は家族内の行事くらい。

 証明するための出来事は指南している時か三年間で数回許された一緒に寝れること。


「指南中に言っていたことは居合の構えの時に左足を少し下げることができなかったよな」

「た、確かにあったね」

「その様子だとまだできていないようだけど?」

「い、いや、そんなことはないけど……」


 隆雪が言っていることは普通、居合の構えをする時に足を広げ、腰を落として刀を抜く体制に入る。

 特に城月家では腰の高さが低い状態になる構えもある。


 それで隆雪が言うのは居合の構えの時に左足の方は膝が地面と付くか付かないくらいの低さになっており、その状態から左足を身体よりも後ろに移動し、膝の向きが左(身体や顔が正面を向いてる状態)に向いている状態のこと。


 実はこの状態を保つことは難しい。

 何故なら、体重が後ろに掛かり、尻餅する可能性が高くなる。


 それなのに教えようとするのは居合をする時、事前に腰を左に回し、刀を抜くのと同時に腰も回して、力を上乗せすることできる。


 ただ、この構えはスピード重視という訳ではなく、力重視の居合となる。


 小雨ができなかった理由は別に体幹が悪く、バランスを崩している訳ではなく、先程言ったようにこれは力重視の居合だからとしか言えない。


 元々、小雨のフェアベルゲンはスピード重視の『刀』だった。

 そのため、熟練度によって上がる基礎能力は力もスピードも上がるのだが、その上昇値はスピードの方が高く、さらには技もスピード重視の技の方が多い。


 つまり何が言いたいかというと、この構えと小雨のフェアベルゲンは相性が悪いということになる。


 この構えを取れば、小雨のフェアベルゲンが発揮されない。

 でも、これを使えばさらなる力の上乗せができる。


 隆雪は小雨のフェアベルゲンと相性が悪いのは分かっている。

 それでも教えるのは武器の一つとして持っていて欲しいからだ。


 あらゆる武道家は武器が一つだけということはなく、臨機応変に攻撃パターンや構えを変えて、戦うものは多い。


 そのため、武器の引き出しが多いのは勝ち確率が増えるということになる。


 それでも避けてきた小雨。


「図星みたいだけど?」

「……」

「まぁ、いいや。これは家族でも分かる話だから。別のがいいかな」


 できていないことが隆雪に感づかれてしまったが、これは自分の証明には難しそうだ。

 何故なら、小雨と手合わせした者なら気づけることだから。

 なので、隆雪は別のことを考える。


 そこに小雨が逆に聞く。


「だったら、一つ聞いていい」

「何?」

「私と兄さんが一緒に寝る時、一つクイズを出したことがあったよね」

「確かにあったね」

「そのクイズ、今聞いてみていい」

「いいよ」


 小雨が隆雪に聞くこと、それは小雨と隆雪しか答えを知らないクイズ。

 他の者が答えられないクイズであった。


「当時、私は将来誰と結婚したいと言ったでしょう」


 そのクイズ、はっきり言えば恥ずかしいものだ。

 幼い頃なら、簡単に言えたことが高校生が言えるものではない。


 しかし、小雨にとって兄だと分かるには一番いいクイズでもあった。

 何故なら…


「自分で言うのも図々しいけど、兄ちゃんとか?」


 まぁ、当然とも言える答え。

 当時は隆雪と仲が良く、周りの人も側から見たらそう思えるのは不思議ではない。


 だから言って、これが答えではない。

 だってそれは二人だけが知ることではないから。

 小雨はハッタリをした。


 でも、答えはある。


「いや、違う。それなら証明ならない。となると確か…兄ちゃんの息子かな」


 隆雪も自分だと言った後、すぐにそれはハッタリだと気づき、答えを変えた。


「!?」

「どうなんだ?」

「はい、正解です」


 答えは隆雪の息子。

 その理由は確かに好きなのは兄である隆雪。

 しかし、十何歳差のある隆雪と小雨。

 流石に待たせるのは苦しかった小雨は隆雪の息子に目を向けた。

 もし、隆雪が早く結婚し、子どもが生まれれば隆雪との歳の差よりも短くなると思った小雨は結婚したい相手を隆雪の息子に変えた。


 結局は兄隆雪との繋がりを増やしたかったというのが一番理由かもしれない。


「本当に兄さんなんだね」

「あぁ、そうだよ」


 ただこれが目の前の男性が兄隆雪だと証明することができるとは当時の小雨には思わなかっただろう。


「待って」


 小雨は隆雪だと分かり、少しずつ歩き出し、隆雪の方に行こうとしたら隆雪が止めた。


「僕もそうしたいけど、今は修行をするよ。小雨に言いたいこともあるしね」


 隆雪がここにいるのは小雨の『呪化』をどうにかするのと小雨に言いたいことがあった。


「分かりました」


 小雨は久しぶりに兄と修行ができることに嬉しそうだった。


今回、遅れて投稿しましたが、その理由は恵美が六、七歳だからですかね。

実際、どんな喋り方をするのかが分からず、悩んでいました。

能力者は少し成長するのが早いとかはあったのですが、迅澄や初奈が浮き彫りになってしまうと思い、却下。

なので、少し大人びている方がまだマシだと思い、採用。太助の姉さん的存在にしました。


太助の性格については幼少期が臆病で泣き虫、本編中の恵美が言おうとしたおねしょをよくする。

しかし、それは恵美が亡くなって今のような感じになりました。


小雨の性格は兄に対してだけ甘え坊で、それ以外は割としっかりした性格を演じていました。

兄が亡くなってからは甘え坊の部分を隠し、しっかりした性格を表に出すようになり、今のような感じになりました。


まぁ、幼少期の性格については本編に関わるかは分かりませんが、ちょっとした小話だと思って貰えば嬉しいです。


次話は二人の修行が開始。

目の前の人物が分かり、嬉しく思う太助と小雨。

証明することが終わり、修行に入る太助と小雨に対して、恵美と隆雪は今の想いを伝える。


※今後の投稿頻度について

今回、恵美の喋り方で遅れたのもありますが、私も少し忙しく、投稿頻度を下げようと思います。

まぁ、いつもの不定期投稿みたいなものです。

少しずつ進めて、一話分完成したら投稿する感じとなるので、早ければ一日後、遅ければ一週間から二週間の間の投稿になるかも。

とりあえずは一ヶ月かかることはありません。

構想では次の章までは決まっていますので、そこまでは投稿したいと思っているので、気長にお待ち下さい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ