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第九十一話 タイナとバロンの修行(ニ)

前回とは違い、今回は長くなりました。

 

 タイナはハンマーを持ち、バロンは手に装着する爪を着けた。


 対して信正は刀を持っていた。


「全力で来い」

「はぁぁぁぁ」

「ちょ、真正面から突っ込むって…」


 信正の言葉でタイナは駆け出す。


 バロンは予想をしていただろうが、本当に真正面から行くとは思わなかった。


「どっちだっていい。今はお前達がどれくらいか知りたいだけだ」


 タイナの攻撃が信正に向かう。


「勢いがあっていいだろう。だが、勢いが強すぎるな」

「あれ?うっ」


 信正の横にくる攻撃を信正は刀で軽く流し、後ろ蹴りでタイナを飛ばした。


 その隙を突くようにバロンが攻撃を仕掛ける。


「お前の攻撃もあんまり変わらないな」


 右の爪が真っ直ぐ信正に向かおうとしていた。


 それを信正は腕を押さえていなそうとした時、


「いえ、まだです」

「!?」


 信正の目の前からバロンが消える。


『クロウアッパー』


 バロンは腰を低くし、信正の下から顔に向かってアッパーを仕掛ける。


「やるな。だが、攻撃は喰らわん」


 信正は下から来るバロンの攻撃に刀で防ぐ構えをしようとする。


「ここ!」

「速くなっただと!?」


 しかし、バロンは信正が構えに入る前に攻撃を速めた。


「舐めるな」


 折角騙して攻撃をしたが、信正はとっさの反応で防いだ。

 さらにタイナと同じように蹴り飛ばした。


「一人は一つしか見ない向こう見ず、一人は作戦を考えて勝ちを導く頭脳派か。正反対ということか」


 信正はすぐに二人の性格を見抜いた。


 立ち上がった二人に対して信正は一つ言い忘れていたことを伝える。


「そういえば一つ言い忘れていたが、お前」

「な、なんですか?」


 指を刺され、一瞬動揺してしまったバロンだったが、話を聞く。


「声を聞いたか?」

「え?どういうことですか?」

「固有能力を発動した時、お前は声を聞いたかと言っているのだ!」

「い、いえ、聞いていません!」


 怒鳴るように聞いていた内容は固有能力発動時に声を聞いたかというものだった。


 当然バロンはそんな声を聞いたことはない。


「そうか…。ならお前はこちら側ということだな」

「こちら側?」

「つまりお前はパルアンゲヌスということだ」

「パルアンゲヌス……どこかで……そういえば…」


 そこでバロンは『解放者フリーダム』が能力をパルアンゲヌスと呼んでいたと書いていた本を見たことに思い出した。


「どうした?」

「それを聞いたことがあります」

「ん?どういうことだ?それは知られていないはずだ」


 パルアンゲヌスという言葉が知られていないだろうと思っていた信正は混乱していた。


「ちょっと、時間がないんでしょ。話をあるなら戦闘中でも大丈夫じゃないの?速くしてくれないかな」


 そこでまた話に戻ってしまったことに不満を思ったタイナが言った。


「ちっ、後にするか…。時間がないのは本当だ。かかって来い」


 タイナに指摘され、パルアンゲヌスのことは後始末にし、戦闘を続けた。


 その夜、タイナとバロンが寝た後、信正はその二人から離れる。


「いるか」

「ここに」


 信正の呼び掛けに闇から現れた人物。

 見た目は忍者だ。


「本部に『組織の情報が漏れている可能性がある』と伝えろ」

「承知致しました」


 忍者は信正の言葉を聞き、闇へと消えていった。


「情報を知られない我達『解放者フリーダム』の情報が漏れている。穴がないとは言えないが、我達は『母の元に(オリジン)』に数で負けている。情報戦で向こうは情報網が広い。それに対してこちらは隠すことに対している。それが疎かになるだと大問題ではないか。仕方ないが、この修行を早く終わらせる必要があるな」


 今、日本での役割を任されていた信正は修行を早めることを決めた。


 その2日後、二人は少しずつ戦闘技術を上げていた。


 信正はバロンについては特に追求しなくて、タイナに対しては固有能力を使えるようにだけを言っていた。


 バロンは一日目に信正からパルアンゲヌスと言われ、不完全なのではと思っていたこともあり、『爪』の新たな能力が使えるようにならない限りは熟練度を上げることだけを努めた。


 タイナは固有能力のことを言われていたが、あまり考えることもしないので、あんまり気にしていなかった。


 ただ一つ言えるのは『力』を求めていたこと。


(日本のみんなはそれなりに『力』があった。単純な『力』では勝てても勝負に勝てないことくらい分かってる。でも、私に頭を使う方が無理なんだ)


 なぜここまでタイナが『力』を求めているかというと、それしかできないからだ。

 逆に頭を使うことが戦闘に支障が出るくらいだ。


(前に見た迅澄は私の行き着く先かもしれないな)


 前に見た迅澄というのは太助と小雨に対して怒っていた時のことだ。

 あの時の迅澄はタイナの何倍以上の『力』を持っていた。

 その時思ったのは憧れにも近いのかもしれない。


 そこに声が聞こえた。


(『力』が欲しい?)


 その声は女性の声のようで、信正とバロンにはきこえていないようだ。


(『力』って?)

(圧倒的な『力』ですよ)

(圧倒的な!)

(そうですよ)

(欲しい!欲しい!)


 タイナは大いに喜ぶ。


(いいでしょう。存分に使って)


 タイナに何が入り込んでくる。


龍手化ハンディドラゴン


 雰囲気が変わったと信正は分かり、少し本気になる。


 タイナの腕が『手槌ハンディハンマー』のようにハンマーが腕に吸い込まれていくが、ハンマーも形が変わっていき、龍の手となった。

 さらに足も龍の手になる。


 その姿は獣のように四足歩行となり、タイナは駆け出す。


『地割れ(ドラゴニックスタンプ)』


 信正の前でジャンプをし、地面に着地して地震を起こす。


「お前、危険だ下がれ」

「はい」


 信正の指示に従い、タイナから下がる。

 その瞬間、バロンは『分析眼』を発動し、タイナの発動した能力を見る。


(どうなっているのですか?デタラメすぎる)


 タイナの能力は構築がグチャグチャで、『分析眼』でも全て見るのが難しくなっていた。


(こんなのどうやって発動している?私が変えたところで何も変わらないのでは……)


 バロンは今まで見てきた能力の構築は綺麗になっており、そうじゃないと発動しないと思っていた。


 それが目の前の能力で否定されてしまった。


(でも、それがタイナの答えなのですね)


 否定されたとはいえ、タイナが完璧とは言えないことは分かるし、むしろデタラメの方がタイナらしいと思った。


 バロンはタイナと信正の戦いを見る。



 信正は『地割れ(ドラゴニックスタンプ)』を避けるため、バク転で下がる。


「大丈夫なのか?」


 信正はタイナを見る。

 その姿は獣そのもの。


 自分の能力が避けられたことが分かり、信正の方に突撃してくる。


「お前!もっと下がれ!」

「どうしたんですか!」

「こいつ、正気を保ててないぞ!」

「ほ、本当ですか!」


 信正は姿、行動、そして目に正気がないことに気づき、バロンに離れるように言う。


「私に何か……」

「お前がどうにかできるもんじゃない!離れろ!」

「わ、分かりました」


 信正が必死に言うので、バロンは従い、離れる。


「もしかしてあっち側じゃ…ないだろうな」


 信正は暴れるタイナを避けながら、考えていた。


「可能性は大いにある。『オリジン』の声を聞いたか」


 信正はすぐにタイナの固有能力が発動に気づき、声を聞いたのだと思った。


「倒すことは可能だが、助かるべきだろうな」


 こんな状況でも信正が勝ててしまう。

 でも、倒しては『解放者フリーダム』の理念に反する。

 必ず助けなければならない。


「仕方ない、能力を使うか」


 信正の目の前に突然馬が現れる。


 信正はそれに乗り、タイナの突撃を躱していく。


「周りがバラバラじゃないか」


 タイナにより、地面が割れ、木は倒れ、畑や田んぼが荒れてしまっていた。


「動きを止めるしかないか」


 右手も横に持っていき、そこにスナイパーライフルが現れる。


「ちょっと!信正さん!」

「心配するな。動きを止めるだけだ」


 信正はスコープを覗き、タイナの足を狙う。


「少し速いか。しかし問題ない」


 信正は発射する。


 その狙いは移動するタイナの足に不規則に移動し、確実に向かっている。


「は!何!?」


 その弾はタイナの足に当たった。


 しかし、それは龍の鱗に弾かれた。


「まさか堅くなっているだと…」


 これにより、手や腕、足には並の攻撃では効かないことが分かった。


 信正はスナイパーライフルを仕舞う。


「お前はそこにいろ」

「分かりました」


 信正はバロンに指示し、この場を離れる。



 木が生い茂る森の中、信正は馬に乗り、駆けていた。


 その後ろにはタイナが走ってくる。


 バロンから離れ、駆けている途中で信正は降りる。

 馬は信正が降りると同時に消えた。


「かかってこい。肉弾戦だ」


 手や腕、足を傷つけて動きを止めることができなくなった今、可能となるのは気絶させること。


 あまり傷を負わさないために武器を使わないことにする。



 タイナは信正に突進をする。


「いい突進だ。だがそんな『力』じゃ、我には勝てん」


 タイナの突進を体で受け止めた信正はタイナの腕を掴み、後ろに飛ばした。


 タイナは飛ばされながらもすぐに態勢を整え、木に着地し、すぐに信正に向かっていった。


 それに対して信正は手をつき、タイナを蹴り上げた。


「空中ならどうだ」


 流石に空中から向かって来ることはなく、落ちてくるだろうと思った信正。


 しかし、


突風ドラゴニックウインド


 タイナは不安定ながらも、信正に向かって腕を振り落とす。


 すると、そこから風が発生し、信正に向かってくる。


「空中も可能なのか。だが、それも防がせても貰う」


 信正はかかと落としをし、地面を隆起させ、その風を防いだ。


「お前の能力を見てもいいが、あまり見てられねぇから終わりにしてやる」


『八卦掌−風圧弾』


 信正の右手から放たれた風圧弾。

 それは信正が隆起した地面を飛ばし、その後ろにいたタイナに当てた。


「ぐふっ」


 タイナは吐血する。

 体内の臓器のどれかがダメになってしまったのかもしれない。


 そのまま、地面へと落ちていく。


「やり過ぎたか」


 信正はすぐにタイナの下に向かい、抱えた。

 地面に着地し、寝かせた。


「少し治療が必要か」


 信正はタイナに向かい、手を翳す。


 ものの数秒でタイナは治る。


「少しの間、休んでくれ。だが、合格は合格だ」


 こんなことになってしまったとはいえ、タイナが固有能力を使えるようになったことは間違いない。


 信正はタイナを心配するバロンの下に向かう。


 バロンはタイナを心配していたが、問題ないと信正が答え、安心したようだ。


 それから二日。

 タイナが目を覚ますことはなく、信正はバロンの相手をし、可能な限りの戦闘技術を上昇させた。


 信正は元々一週間という期間だった修行を二日も早めた。


 元々固有能力を持つバロンは合格しており、暴走したとはいえ固有能力を使えるようになったタイナも合格となった。


 タイナの方は戦闘技術を高めたところで意味がないと思っていたこともあり、固有能力だけを目指していた。


 バロンは固有能力を持っていたから、戦闘技術だけを努めさせた。


 目標は違えど、信正のここでの仕事は終わった。


「すぐに救護くる。すまんが、我は先を急ぐ」

「分かりました」


 事前に早めに終わらせること、少し用事ができたことを聞いていたバロンは納得していた。


 バロンは信正に対し、感謝を言うと…


「これが我達の仕事だ。気にするな」


 と言い、行ってしまった。


 数分後、救護員を連れた拓流が現れて、救護員がタイナを診察し、問題ないことを確認してから、二人はモイヒェルメルダー学園に戻っていった。


今回はタイナの固有能力と固有能力による能力の違い。

タイナの固有能力である『龍手化』は手足を龍手化にする能力ですが、手だけは『ハンマー』の能力を使用することは可能です(まぁほとんど固有能力の方が強いけど)。


固有能力による能力の違いは声が聞こえるか聞こえないかになります。

詳しいことは後に話しますが、一つ言えるのは何故パルアンゲヌスの人は声が聞こえないのかということです。

前にソロモン(後に名前変更予定)がアンゲヌスだったと本に書いてありましたが、その理由はその人のことで話を書く時にするかも。


次話は予定では夕実と李音の修行になります。

ですが、その相手である『解放者』の者を誰にしようか迷い中なので予定より遅れるかもしれません。

一応いつも通りやりますが。

最近、息が合ってきた夕実と李音。

だからと言ってこうなるとは思っていなかった二人。

これからの戦いはキツくなるだろう二人はどのように試練を達成するのだろうか。


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