表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
殿下、親密度の向上って何ですか!?〜強引な王子は、ひたすら花びらを集める〜  作者: HARUHANA


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/16

13.責務……?

 ――もう無理……!

 殿下の肩を押して「限界です……」と。


 

 ハハッと笑う殿下は、そのまま優しく私の頭を撫でた。


「帰る前に……名前で呼んでほしい、な」

「……ノア様」

「んっ、もう一回」

「ノア――ん!」


 また、きつく抱き締められた。


「今日から名前で呼ばなかったら、こうやって抱き締めるから」


 ……随分と意地悪だ。

 そんなこと言われたら、名前で呼ばざるを得なくなる。いつも、殿……いや、ノア様の掌で転がされるんだ。


 帰り道の馬車の揺れは、心地良い揺籠のようで。「しばらく休んで良いよ」と自分の肩を叩いて、頭を支えられてしまった。

 スッと眠りに入る私を見て「危ない危ない……」と呟いたなんて、知らず。


 王城に着く少し手前。名前を呼ばれ、寝惚け眼の私の額にキスをした――

 

「よく眠れたかな?」

「た、大変失礼しました。ごめん……なさい」

「なんで? こんな間近で、フルールの寝顔を見れたんだから、役得でしょ?」

 

 恥ずかしくて離れたいのに、腰に回された手がびくともせず、結局王城に着くまでずっと硬直してた私。

 漸く扉が開き、開放されたと思った矢先――


「ノア!!」

 

 鈴を転がすような、可愛らしい声がロビーに響いた。

 少し早歩きに聞こえるヒールの音が、どんどんこちらへ近付いて来る。


「ノア王太子殿下にご挨拶申し訳あげます。この度、留学して参りました、ルス王国第一王女アブリルでございます。本日よりお世話になります」

「アブリル王女、よくお越しくださいました。部屋はすでにご覧になりましたか?」

「もちろんですとも。素敵なお部屋を用意してくださり、心から感謝申し上げます」

「それは良かった。お疲れのところ申し訳ないが、書簡の内容を確認したいので後ほど時間を頂けますか?」

「準備して参ります。それでは、後ほど」


 チラっと私を見たアブリル王女殿下は、そのまま通路の奥へ消えていきました。

 あの方が……アブリル王女――

 

「フルール、すまないが先に応接間で待ってて?」

「……」

「フルール?」

「はっ、はい?」

「応接間で待っててほしい」

「えっと……はい、わかりました」


 ただ、留学と挨拶しただけ。

 それなのに、ブリーズ様の言葉がどうしても引っかかる。


 “ノア王太子殿下との親睦が目的みたいで“


 そういえば、今日のデートで、アブリル王女の話しは何も言わなかった。

 それは、私のために?

 ――それとも自分のため?


 案内された応接間には、仕立て屋の方々が着々と衣装や布地、宝飾品などを手際よく並べている。そんな様子を眺めながら……どこか上の空になってしまう。


 ノア様の気持ちが、自分に向いてくれてる安心感が……一気に何処かへ退いてしまった気分。今日のデートがあまりに楽しかったから?


 ――そもそも、どうして……私なんだっけ。


 思い返せば、ノア様の瞳が漆黒という特殊な王子で、舞い姫が必要で、舞い姫と添い遂げる事が国の繁栄に繋がる。

 それなら……ノア様の想いは、責務――?


 ……だとしたら。

 今日の「可愛い」も、「名前で呼んでほしい」も、全部――必要だから……?

 

 色んな思いが溢れ出したら、とてもドレスを選ぶ気分でなくなってしまった。

 ……このまま帰ってしまいたい。仕立て屋の皆様には、大変申し訳ないけど……モヤモヤした心のままノア様と会えるほど、大人になれない。


「あの……」


 傍に控えていた使用人に、声を掛けた。


「ノア殿下へ、伝言をお願い出来ますか?」


そうして、体調不良なんて尤もらしい言い訳を残して、応接間を後にした。


 

 

「そこのあなた……!」


 振り返って驚いた。

 だってまさか、すぐ後ろにアブリル王女殿下がいるなんて……。


「貴女、先ほどノア殿下と馬車を降りてきた方よね?」

「……ご挨拶申し上げます。コルザ侯爵家のフルールと申します」


 震える手にギュッと力を入れた。

 

「わたくし、ルス王国のアブリルよ。明日から、学園へ行くのですけど、貴女も学生でしょ?」

「左様、ですが」

「良かったっ。一人じゃ心細かったのよ。明日から宜しくね」

「はい。何かございましたら、遠慮なく――」

「そう……それなら、ノアの事も聞いていいのよね?」

「え……?」

「ノアったら、自分のことは何も教えてくれないのよ。それに、これから沢山一緒にいることになるのだし」

「わ、私で良ければ……」

「それじゃ、また明日ね」


 コツコツとヒールを鳴らして、残り香だけ残し、またどこかへ消えて行った。

 

「部屋から出なければ……良かった」


 アブリル王女は、ノア様のこと……好きなのかな――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ