修学旅行(東大寺)(後編)
そしてゲートをくぐると、金を払ったせいか、やはり大仏様パワーか、周囲の空気が一気に変わり……なんとも穏やかな、思わず深呼吸をしたくなるが、ここでも太郎達は注目の的
大仏殿右側、閻魔大王の像の前
閻魔大王の息子だろうか、ヘッドホンを首からさげ、スカジャンに、JHK(ジャパン、ヘル、キング)と書かれているTシャツ姿、
いかにも時代遅れ、世俗に染められている男(名前不明)『通称キング』が、周りの人間には見えないんだからとばかり、ラップでディスっている
真弓と優子が、太郎たちに軽く説明しながら、石段を上がる
「ヤッホー、相変わらずご機嫌だねキング」
「ザッツライト……ヘイヨー真弓アンド優子も元気そうだね……で、ユー達がうわさの彼氏ってやつかい⁈」
「あ、はい初めまして」
「おう、よろしゅうな、って聞いたか太郎、どう見たってべたべたに日本の神さんやのに、ユーやて」
「神様……に向かって失礼だろジョニー、彼だって頑張っているんだ……優子さん、彼は誰ですか」
「閻魔大王は知ってますよね、彼は直系のの息子にあたり……キング、さんです」
キングは、赤い目を見開き光らせながら、太郎、ジョニーそれぞれの顔を間近で睨みつける
例えるなら、チンピラ不良が、獲物にがんを飛ばしている
「太郎、良いね、目線をあせない、その怯えた表情が、正に根性無し『ザ庶民』といった感じが、ははは」
その言葉に太郎以外の肩がピクリと揺れる
「ジョニー……ほぅ良いね、ちゃんと視線をいや殺気を返してくる……流石は真弓の男だ、だがお前さえいなければ真弓は俺のものになってただろう」
「ごしゅうしょうさま、寝言は寝て言え……あんたみたいな小物、元から眼中にないから」
笑いをこらえるサティアの肩が揺れる
「おい、そんな冷たい事言うなよ……数日とはいえ地獄幼稚園でいっしょっだったろ」
真弓へしつこく詰め寄るキングの前に、フードをかぶったままのサティアが割り込む
お楽しみ中、進路に割り込まれたことに腹を立てたキングは、声を荒げ彼女にくってかかる
「このガキ、さっきい俺の事笑ったよな」
頷く様に下を向くサティア
「俺達が見えている……という事は真弓の知り合いか」
「ええ、あたしの妹分よ、あんたも知ってるでしょ」
キングも真弓が「妹分」と呼ぶ者は一人しかいないのはしっていたにも関わらず、
「真弓の妹分……はっ笑わせないでくれ妹分なら、真弓同様胸があって当たり前……だがこいつにはそれが無い、まるで胸板まないただ、弟分のまちがいじゃないか……で、お前さっきからなぜ俺を見ない……さては怖いのか?」
何度も頷く彼女を、鼻で笑い図に乗るキング
「俺は怖くないぞ」
としゃがみ、彼女のかをを見た途端、閻魔大王譲りの赤い顔が、冷気すらまとうよな青い顔に変わる
「おおこわいな」
「ササササティア様」
「やあキング、ひさしぶり相変わらず元気そうで何よりだ」
キングとサティアが話し合ってる中、ジョニーが真弓に質問した
「あいつ閻魔大王の息子なんやろ、同じ王様の子供やのに、なにあんなにビビっとるんや?」
「魔王様と閻魔大王じゃ、話にならないくらい地位が違いすぎるからよ」
「どんくらいちゃうんや」
「信じられないと思うけど地獄は、魔界のほんの一部なの……魔界と言う国が有れば、地獄の閻魔大王は、辺境の村の村長さん、良くて領主といったところね」
「もうちょい分かりやすく」
頭を傾げるジョニーに、優子が口添えする
「会社で例えると、『魔界』という世界的企業の次期会長兼社長のサティア……『地獄』という日本支店の雇われ店長のキング」
「そう、だから次期魔王の座が決定してるサティアの気分次第で、閻魔大王の首なんていくらでも変えられるの」
さきからキングの青ざめっぷり、社会人の方なら分かってくれるとおもう
「なぜこのような所に」
「答える義理はないな……アストラルを抑えているとはいえ、この僕の存在に気付かず、いや、むしろ気付いてないふりをして」
「そんなめっそうもない」
「誰が口を挟んでいいといった……客人である彼らを罵倒するだけでは飽き足らず、ぼくには胸が無い、あまつさえ男だとのたまうしまつ」
「猛省しております!」
「では猛省ついでに、お前の父、閻魔大王の言葉を借りる様で何だが、良い年をし職にも就かず、『俺の職業は冒険者、ただ自由を探求する、
他人に従った瞬間に自由の意思が負けてしまう』など馬鹿げた事はやめ……そろそろ跡継ぎの覚悟を決め、ゆくゆくは、ぼくの下についてみないか?」
「サティア様の下に」
「ぼくの下では不満か?」
「いえ、めっそうもないです」
「まぁお前の好きな真弓も、数年すれば働きだすんだ……彼女にこれ以上嫌われたくなくば、親父さんを安心させるためにも、職につけ……ぼくの下の席も一つは開けておく」
「……ありがとうございます」
「話はそれだけだ……よく考え決心してくれ」
と一方的に会話を終わらせたサティアは、軽く手を上げキングの横を通り東大寺の敷居をまたぐ
「サティア様、ここに来られた目的、話したい相手とはもしかして」
「うん、キングだ……図にのるといかんから秘密だぞ」
僕も二人の後につづいて大仏殿の敷居をまたぎと、神社仏閣じんしゃぶっかく独特の重く静かな空気が増したような……それは羽を持っていない通常時……今僕の目の前には(これこそ極楽浄土か)と納得してしまう幻想風景が広がる
柱には綺麗な大輪の花々巻きついたり、見た事もない果実が房を垂らし、天井には羽衣をまとった精霊達が戯れ……。
目の前には、男か女か区別しずらい人? が至近距離で僕の顔をガン見している。
(あいさつすべきか)と半ば混乱しつつも口を開く
「こ、こんにちは」
「はい、こんにちは……優子、この子があんたの旦那だんな」
「ルシャナ様……旦那なんてやめて下さい、私まだ結婚していませんが……私の思い人、彼氏の山田太郎さんです」
(ルシャナ様……ああ、東大寺盧舎那仏像とうだいじるしゃなぶつぞう様だから)
「で、ルシャナはん、あんたは男、女、どっちなんや? はじめまして、わい真弓の彼氏の、村上ジョニーいいます、よろしゅうお願いします」
「おお、なかなか肝がすわってるね……で、どっちだと思う」
「ジョニー、あんたルシャナ様になんて口きくの! すみまん……ルシャナ様は男女なんて些細な壁、超越された存在なの」
「おお、お〇まはん」
「あんた死にたいの……ルシャナ様、かさねがさねすみません」
「ははは、いいよ気にしてない……この身が男か女かは人の世では謎とされっているからな……それに優子、真弓、私に様など付けなくてよい」
「ですが」
「神力なら、すでにお前たちは私と互角といえようし、その方が私も気がねなく話せる」
「うそや……なら真弓て神さんか?」
「いいえ私も真弓もまだ、神の称号職についていません」
(神様って……優子さん達にとっては職上?)
「いくら神力が強くなろうが……少なくともあたしは神様になんてなろうとは思わない……だって、色々しんどいもん…………でも、あんたのカミさんには、なるつもりよ」
「ははは、おあついな」
「真弓、神さんと同じ力持っとるんなら、空飛んだりバカ力から見せるだけやなく他にも色々出来るやろ……それにサティアちゃんにも」
「バカ力ってね~、それにあの子の本気って、あたし達なんかとは次元が違うから……それに力なんて見せ物じゃないし、あまり使いたくないの」
「そう真弓の言うとおり、大いなる力(神力)とは、戯たわむれに見せびらかすものではない……それは憧れと同じく恐れにもなる……だからこそ力(神力)とは秘めながらも日々鍛え、人々を守るなど、ここぞという時に使うものだ」
話していると、サティアが戻ってきた。
「ルシャナさん久しぶり……今日は彼らと共に過ごしているから、かえしてくれないかな」
「これはサティア様、お久しぶりです……ここからあまのじゃくが逃げ出さないよう結界をはっていいただいて以来でしょうか……どうぞ」
「うむ」と、サティアが言葉を続けようとした時
「は~はっはっは」
大きな笑い声をあげ、パンツ一丁の男の子が全速力で角を曲がりそのまま走って……サティアに体当たりして尻元をつく。
よく見ると、男の子の頭には角は有り、大きな口からは牙が光っている
(鬼……もしかして話題に上がっていた、あまのじゃく)
いたずら好きなサティアは、彼が尻餅をついたと同時に、すかさずフードをかぶり視線を逸らす。
怯えてると勘違いしたのか、彼は立ち上がるなりサティアの顔を覗きこもうとしながら声を上げる
「おうおう、俺様がぶつかるってことは、お前この世のもんじゃねえし、変わった気配して、新人の神か精霊か」
(チンピラ、いや何とも小物臭ただよう言動だろう)
怯えた様に首を振るサティアを見て、調子づく彼はうそぶく
「ほう……なら教えてやるよ、俺様はな、そんじゃそこらの神より、今ここに居る誰よりも力のある『泣く子も黙る』いや『泣く子は、もっと泣く』あまのじゃく様よ! 頭が高い、ひざまづいて俺様の顔を見ろ」
「はい、おおせのままに……よろしければ、この中でとびぬけて一番ひ弱な僕の顔を目を見て、覚えていただけるとうれしく思います」
「おお、良いぜ…………てサティア様」
驚き、恐怖のあまり抜けそうな角をおさえるあまのじゃく
「あまのじゃく様……名乗ってもいい無いのにどうして僕の名前を」
「だって、貴方様は魔王様の」
「ああ、覚えていてくれたようで、うれしいよ……悪さはしていないだろうね」
「はい、おっしゃられた通り。参拝してくる人間についている、私よりも低級なけがれをはらい、私の食料としています」
「ありがとうございます。あまのじゃく様」
「どうして、天使である優子さんが感謝を」
「少し考えたらわかるでしょ……参拝に来た人々にとってこれ以上にない厄払いはないわ……しかもあまのじゃくの『におい』(霊的なにおい)が残るから再付着もしないし、けがれを食料にしてるから、あまのじゃくも成長し、より上級のけがれも払えるようになるの」
「で、どんだけ強くなっとるんや」
「ああ、今まで彼を踏みつけてた四天王の足を振り払えるぐらいかな……でもサティアの結界は絶対だし、悪ささえしなければ」
そうして大仏殿の神々と話し合ったサティアたちは。
一路、若草山へ。距離は約三キロ、徒歩で一時間前後といったところで、夕方までに若草山正面の民宿に着いたら良いと『修学旅行のしおり』に記載されている。
読んでいただき、ありがとうございます。
『山田太郎たちの恋物語・Boys Meets Girls?』
第五十一部『修学旅行(東大寺)(後編)』
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by.メガネ君(作者)




