戦闘機と天使
大海原を望む空軍基地
格納庫から出された色違い二機のアグレッサー戦闘機が、充電給油など、今や遅しと発進準備中
少し離れ整列する、フライトスーツ姿の隊員達は、普段職場では見ないであろう見知らぬ学生たちに軽くざわめいている
ここまで付いて来たは良いが、そのあまりの場違いさに恥ずかしくなったのか、真弓の背に隠れる優子に、申し訳なさそうな顔のジョニー
その雰囲気を壊すよう、ジョニーの父親が前に出て隊員に向かい声を上げ
「諸君、本日は今まで経験した事のない……いや会った事もないであろう相手と、一対一のドッグファイト、対戦を行ってもらう……来なさい」
真弓に視線を送る
「はい……お姉ちゃん行くよ」
「本日は彼女達が、諸君の対戦相手となる」
「初めまして、あたしは上田真弓、よろしくね」
「初めまして、姉の上田優子です……どうかお手柔らかにお願いします」
(誰があたしの対戦者かな)と目を輝かせながら隊員を見渡す真弓と、ふせめがちに目をそらす優子、そんな二人を見て一人の隊員が何の冗談だと言わんばかりの表情で
「ははは! いやいや教官どの、その天使と小悪魔ちゃんにどんなレッスンを、もしや手取り足取り」
隊員の言葉に、太郎達六人に加え、ブラックホークのパイロットが、一瞬言葉を失う
「どうして分かった」
「手取り足取り?」
「いや、そっちじゃない」
「えっ?」
数秒のシンキングタイム今度は、言葉を失う隊員たちに、今まで引っ込んでいた優子が
「どうして私たちの正体が……それに真弓が半分魔族であることまで分かったのですか⁈」
「「ハハハ」」
やはりそうきたかと冗談だと思い笑う隊員たちに『カチン』ときたのか、真弓が優子に目で合図しながら羽を実体化させる
周囲見舞い飛ぶ輝く羽と、眼前に立つ二人の天使に
ひきつった笑顔のまま固まる隊員たち
「え、いや冗談で言ったつもりでありましたが……ということは、そこのお嬢さんも?」
「いや、彼女は普通の女子小学生だ」
「おお、素晴らしい」
思考停止寸前か、ただのロリコンか隊員が一人、感嘆の声を漏らす
「軍曹、確認しますが……今回の訓練」
震えた指で真弓を指す隊員にうなづく軍曹
「そうだ、一対一のドッグファイトでこの天使二人を攻撃、撃墜する事だ」
「そんな事出来ません」
「確かに言うとおり、いくら実弾やミサイル攻撃したところで、彼女達には傷一つ付けられず、正に税金の無駄使いだ、しかし心配するな、我々にはこれがある」
「それはミサイルロック等のレーザー送受信装置」
「そうだ、これなら税金の無駄遣いもないうえ、空気も汚さず環境にも優しい、どうだ」
「まさに一石二鳥、夢の装置ですね軍曹……って違います」
「予想は付くが、言ってみろ」
「キリスト教徒である私たちが、天使を攻撃、あろうことか撃墜するなんて出来る訳ないでしょ」
眼前でコントをしている二人、真弓が軍曹も肩を叩く
「お姉ちゃんには無理だけど、これならどう」
と皆の目の前で一瞬にして、天使の翼を、黒いレザーの様な悪魔の翼に変えてみせ、笑顔で言葉を続ける
「悪魔だったら、遠慮なく攻撃できるでしょ……でも悪魔の翼の方が早く飛べるから手ごわくなるわよ」
「ありがとう、これなら……て真弓ちゃんもしかして、相手を攻撃しなくていいと考えてないかい?」
「だって天使が人を攻撃、キズ付けるなんて出来る訳ないでしょ」
「いや、わいの事挨拶代わりに殴っとったやろ」
「ジョニーだから良いの」
「そうだなジョニーだからな」
「ジョニーさんですからね」
「ジョニーちゃんだからね」
「俺の息子だからな」
「「軍曹のお子さん……将来は軍人になる男だからな」」
「おい!」
「ではこういうのはどうだろう、君達が勝ったら、優子ちゃんには太郎の昔の写真に、幼少時代の秘密の話を……真弓ちゃんには、ジョニーに何でも一つ命令出来て、結婚するんなら俺は賛成してやる……というのは」
顔を見合わせる姉妹、数秒の沈黙……普段とは異質な笑みを浮かべる彼女達に、なぜかおかんがはしった
真弓が口を開いた
「人の子よ……あたし達に勝てるかもなどという、あっぱれな思い上がり……見事」
「ほうびに、可愛がって差し上げます」
「さあ、お前たちが何者に喧嘩を売ったのか、死んだ後も後悔させてやる」
「あの優子さん」
「あかん、二人ともどうこう開ききっとる」
「お姉ちゃん達」
「では皆、こっちに来たまえ……ルールー等を説明しよう」
沢山のモニターや機材の並ぶ野戦の即席指令所に全員集まり、説明が始まった
「まずは隊員諸君は、最新鋭のステルス戦闘機、アグレッサー仕様……兵装は先にも言ったように、レーザーの送受信によって行われ、残弾は無限……続いて、真弓ちゃん
優子ちゃんには、まずこのゴーグルと送受信機付きのベルトを着けてもらう」
「「はい」」
「では装置の赤いボタン電源を」
すると彼女達のゴーグルに数字などが映し出され……軍曹は全員に分かりやすいようホワイトボードに、それを書き説明を再開
「まず君達には、隊員諸君と違い識別レーザーが無い上に、兵装は機関砲が二千発のみで、百発命中につき、一機撃墜、それを七回……対して隊員は二発命中で、それを
三回で、勝ちとする」
「あたし達が七回なんて、ずるい、理由を教えて」
「簡単だ、君達は天使、ラッキーセブンで七回、我々はアメリカ人、野球でスリーアウトで三回」
小学生か、と言いたくなるほどの適当過ぎる理由だが
「うん分かった」
あれほどの大見得を切ったためか、あっさりと納得する真弓
ジョニーが手を上げながら発言する
「彼女らにレーダー画面がないなら、どうやってミサイルが近くにある、当たってしもたて、納得させるんや……全速力で飛んどるときにいきなり、あなたは撃墜されました
なんて言われたら、わいやったらキレるぞ」
「ははは、まあ突貫作業で下手なポリゴンではあるがミサイルはゴーグルに百発までなら同時処理で表示出来る……サンプルとして、こういう風に」
と父親がモニターに、ゴーグルの表示サンプルを映し出し言葉を続ける
「ジョニーと太郎君には得点役を御願いしようと思う」
「花子は?」
「あ、花子ちゃんには応援と、真弓ちゃん達が戻って来た時に、タオルや水を渡す役をしてもらおう」
「はい」
「真弓ちゃん、優子ちゃん、戦闘機の方はもう少し、十分くらい時間がかかりそうだから……向こうに見える防波堤の上空一万メートルくらいで待っていてくれないか」
「いいけど……スタートの合図は」
「すまない、そのゴーグルには無線機能がついているから、ちゃんとスタートの合図を出すよ」
「オッケー……行こうお姉ちゃん」
「ええ、では皆さん行ってきます」
「ジョニー、勝って来るから……首を洗って待ってなさいよ」
そう言い残すなり彼女達は、太郎達から離れ、一気に上空へと飛びあがった……レーザー画面に映り彼女達の識別信号、その高度が見る間に上がっていき、気付けば一万
メートルに達していた
数分後、戦闘機が続けざまに離陸したのを確認した父親は、マイクを握り真弓たちに連絡する
父『お待たせ今、離陸したところだ……すまないが高度を下げてくれないか……戦闘機が目視で君達を確認次第、左右に分かれるから真弓ちゃんは赤い方、優子ちゃんは
青い方で、頼めるかな』
真弓『オッケー、だけどお姉ちゃんの青い方が、見失ったら発見しづらいから、歯ごたえありそうで良いな……そうだ、先に終わったら、お姉ちゃんを手伝ってもいい』
父『ハハハ……エースパイロット相手に、勝つこと前提とは、頼もしいな』
優子『見えてきました』
父『最後に模擬戦中の無線は無しでお願い出来ないかな』
真弓『テレパシーも駄目?』
父『似たようなものだと思うから無しで』
真弓『はぁい、まるで前、ジョニーとしたテレビゲームみたい、って今分かれた(戦闘機)』
父『模擬戦開始、通信終了』
ジョニーが慌てた様にアドバイスする
「ゲームと同じて、おとん、パイロットにカウンターマニューバに気を付けるようアドバイスしたって」
「いや、彼女達の場合、そんな可愛いものじゃすまないだろう」
と言いあってる間にも、戦闘機、両機からの撃墜された知らせが届く
優ア『数十メート理前で、俺を見ながら後ろ向きに飛びながら、敵設定だから何言ってるか聞こえないけど、礼儀正しく頭を下げて撃ってくる』
真ア『頭を下げりだけまだましだ、俺なんてキャノピーハッチに立たれて、目を見ながら機体ではなく俺自身を狙って撃ってくるんだ、空力だんせいどうなってんだ……
しかも、頭上に立ってるからスカートを覗こうとしたら、ゴミを見るような目をするんだ』
父『お前、三か月の減給な』
『『当然の反応だろう』』
真ア『軍曹、納得できません』
父『報告せよ、何が見え、どう感じた』
真ア『スパッツであります、非常に残念であります』
父『それが答えだ、除隊処分にならないだけましお思え』
と、くだらない問答をしていると
優ア『離れてく……仕切り直そうって言うのか』
真ア『その油断が命取りだ、くらえ』
現実ではありえないほどのミサイルがいっせいに発射され、彼女達を追い始め……
優子はそのミサイル群に、単発モードにした機銃でミサイルの本体を撃ち軌道をずらし誘爆させてみせた
優ア『ハハハ、なんでもありだな、もう大抵の軌跡がおこっても驚かないかもな』
真弓はブーメランのように、ミサイル群を撃ってきた戦闘機にぶつけようと、ユーターンし、すれ違ってみせるが、戦闘機の撃墜表示が出ない
なぜと思うのも当然だが、戦闘機の撃墜条件は、あくまで彼女達の機銃百発の命中によるもののみとされている
ルールは確かに大切だが、バーチャルゆえの現実では怒らないことに納得出来ない真弓は、フルスロットルで逃げる戦闘機を後ろからあっさりと撃墜してみせたがパイロット
を黙らせたものの、不満が治まらないのか仕切り直す事無く、あっという間に追いつき、戦闘機を中心に縦横むじんに飛び回り
戦闘機も、前方に来るであろうタイミングでミサイル機銃を発射するも、全てかわされ『こんなのありかよ』とばかり意気消沈
それを見かねてか、真弓がキャノピーハッチをノックし、左手の平を広げ、右手で自身を五回指さした『五発わざと当たってやる』とでも言ってるのだろうか
そのやり取りを見た優子も負けてはいられないと、同じ行動をとった
戦闘機と天使の間に無線は通じないが、地上は全ての無線を聞いてたので
父『真ア、優アよ……彼女達からスペシャルハンデだ、今から五発わざと当たってやるそうだ……これにより、諸君らは一発、彼女達はあと三回の撃墜となる』
優子と真弓がそろって相手の百メートルほど前で、俺を見ながら後ろ向きに飛びながら手招きをする
父『撃っていいそうだ、良いか五発だからな』
そして、優子は一気に加速し仕切り直すが、真弓は一気に加速し距離をとりながらも気銃を発射、一回撃墜してしまう
再び戦闘機は、レーザーの表示がおかしくなるほど無数のミサイルを乱発すし……彼女達はそれらを見事にすり抜けながら撃墜してゆき、急降下し、太郎達にも見える位置
、っ滑走路わきの芝生に着地……彼女達はともに弾丸一発で勝利……そう、最後の瞬間をじかに見てもらおうとしてるのだろう
真弓の視線の先には……彼女が勝つことは確定しているが、模擬戦とはいえ空軍が負けるのは見たくない、顔を曇らせるジョニー
だが真弓はちゅうちょ無く、戦闘機を打ち落とし……ゴーグルに『WIN』と表示させた
優子の視線の先には……何やら覚悟を決めた表情の太郎と、今や遅しと目を輝かせる花子が居る
「花子ちゃんごめんね」と言うなり、全弾を地平線に撃ち「降参します」と機銃を地面に置き両手を上げた
『模擬戦を終了する』と父親が無線を飛ばし優子に質問する
「どう考えても勝てる勝負、なぜ降参したんだい?」
「確かに太郎さんの写真や秘密は知りたいですが。……このような事でそれらを得るのは、何か違うと思ったので」
「なるほど、良い娘だ」
感心している父親に、今度は真弓が質問する
「おじさん、あたしの勝利報酬の一つはジョニーに命令できる……命令で良いのよね」
「ああ」
「ありがとう」
父親に笑顔を返した真弓は、落ち込んだ表情のジョニーに駆け寄り
「お願いジョニー、元気を出して、お願いよ、お願い」
「あ、おう大丈夫や、勝ったなおめでとさん……でも、こないな事で使ってしもてええんか」
「え、何を」
「わいに一つ命令できるっちゅう報酬や」
「あたし、命令なんてしてないわよ、ほら」スマホを取り出しボイスレコーダーを再生し、言葉を続ける「命令なんて一言も言ってないよね……ね、おじさん」
「おっと今、命令て言うたやろ」
「おい、その言いがかりいくらはなんでも、なさけないぞ」
この後の半日バカンスのイベントですが
内容が思いつかず、勝手ながら、今は飛ばさせていただきます
読んでいただき、ありがとうございます。
『山田太郎たちの恋物語・Boys Meets Girls?』
第四十八部『戦闘機と天使』
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by.メガネ君(作者)




