いざ南国へ
五月末の休日、良く晴れた朝日降り注ぐ砂浜……そう、ここはジョニー宅の裏ビーチ
花子と、ケンケンパや、砂山づくりに、棒倒しと遊んでいる真弓。なんともほほえましい光景だろう
しかし彼女達の背景には、二機のブラックホーク(大型ヘリ)と、腕組をしてそれを見ていた優子がふりかえり……ゆっくりとした口調で
「真弓。ちょっとこっち来てお話ししましょう」
「はい、お姉ちゃん。あ、花ちゃん一緒に来て」
姉のいびつな笑みに、なにかを感じたのか花子を呼ぶ真弓
「真弓。花子ちゃんごめんね、姉妹で大事なお話がしたいの。太郎さん花子ちゃんをお願い」
「うん」
目線をそらしながら
「えと、何、お姉ちゃん」
「真弓。まえの『お願い手伝って』と了解するまで連呼してた電話のことだけど」
「ああ、あれ」
「そう。まだ五月なのにこんな真夏の服装させて、少し寒いんだから。私に何を手伝わせたいのか、答えいぇくれないかしら」
いびつな笑顔と口調から(お姉ちゃん怒ってる)思わず謝る真弓
「ごめんなさい……うん、この前した『空戦ごっこ』もう一回してくれないかなと思って」
「へえ。だったら……この大きなのは何かしら?」
「ヘリコプター」
「ええ。見ればわかるわ……あなたと摸擬戦するために、なんでこんなのが必要なの……あ。太郎さん達にこれへ乗ったもらって、上空、間近で見てもらおうって事」
「そういうアイデアもあったか……あ、でもちょっと違って今日は……アメリカ空軍の戦闘機と模擬戦闘する、なんて言ったら怒る?」
「それ何の冗談……あ、前に真弓とジョニー三が対戦したテレビゲームのことね。今回は私と対戦したいという事?」
「真似するようで悪いけど『だったらなぜこんなのが必要なの』」
「ははは、やっぱり姉妹やな……ボケ方が同じや」
「え?」
「ゲームじゃなくって、本物のアメリカ空軍の戦闘機」
「えっ……真弓知ってるとは思うけど今日はエイプリルフールじゃないのよ」
「うん分かってる」
「真弓あなたは人と戦争がしたいのですか」
「戦争じゃなくて模擬戦」
「同じ事です!」
まるで冗談を言うように笑うながら答える真弓に、目くじらを立てヒートアップする優子
「すない」
背後から駆け寄ってきたジョニーのおやじが、彼女の握り拳を押さえる
「すまない。妹さんを怒らないでほしい……彼女に『軍との模擬戦』(これ)を頼んだのは私なんだ。重ねて、どうか彼女を怒らないでやってほしい」
「あなたは」
「ああ、拳をおさめてくれてありがとう。私はジョニーの父、マイクだ……しかし『信じる者は……』とはよく言ったものだ」
「えっ……その言い方……もしかして」
「ご名答」
「流石はお姉ちゃん、そう、おじさんも私たちが天使だって知ってるの」
「いやしかし、魔法まで使えるなんて驚いた」
「魔法ではまく『アストラルワークス』です。って真弓!」
「別にいいでしょ、模擬戦前にあたし達の実力の一部だけでも知ってもらわないと……それにいずれ、家族になるんだから」
「……」
「もう、くよくよ考えない」
マイクについてきたのか、バイザー付きのヘルメットをかぶり顔は見えないが
いかにもパイロット(モブ)といった姿の二人が現れる
「あの軍曹、自分は本日の模擬戦における教官殿が登場されるよ聞いたのですが……まだ来られてないのですか?」
「ごめんなさい」
「申し訳ない。まったく君の言うとおりだ。反省する」
マイクに頭を下げられ、焦る優子
「どうして、あなたが謝るんですか」
「考えが浅かった。ブラックホーク(これ)を深夜に着陸させたはいいが、こんな明るい時間に飛ばすと……目立つだろうな」
「です、よね」
「いやあ『都合のいい時間や空間』なんてあればな」
「真弓」
「え。だって」
「おい、仮にも俺はお前の上官だぞ」
「迎えが来たようだ」
ジョニーの父親が指さす方角からブラックホークが静穏飛行で接近、着地した
(無音とはいかないまでも、ある夜こんなものにのった武装した兵士が来るなんて想像しただけで……)
と一人、恐怖感に身を震わせる太郎……とは正反対に優子と花子は感心している
「この静かなヘリコプター、これならご近所迷惑にならなくていいですね」
「ほしい」
「はい、一家に一機ブラックホーク『MH-60Gペイブホーク』千二十万ドル……って高すぎるわ」
その値段を聞くや太郎は(超高級、傷つけてはいけない)と庶民意識丸出しに、手すりを握りながらおそるおそる搭乗
「今日はよろしくお願いします」
「パイロットさんお願いね」
と挨拶すり姉妹に
「よろしく……あの軍曹、自分は本日の模擬戦における教官殿が登場されるよ聞いたのですが……まだ来られてないのですか?」
「いや、もう登場している……何を隠そうこのお嬢ちゃん二人だ」
「は⁈」
理解不能、開いた口が塞がらないといった表情のパイロットへ、たたみかける様に真弓が質問する
「パイロットさん、天使や悪魔って信じてますか」
「ははは、キリスト教徒に、いや、天使や悪魔の絵を見た者にとって、その質問は愚問です……居るなら会ってみたいですよ……と言うより軍曹」
「くどい……責任は私がとる……離陸したまえ」
「はい、知りませんよ」
かなりの高度を横編隊で飛行する二機のブラックホーク
窓に手をつけ張り付くような体勢で、流れる雲を目で追いかける真弓。さながら始めて電車に乗りはしゃぐ子供の様。
辛抱たまらず真弓がジョニーに言い寄る
「ねえ、もういいでしょ、あたし我慢できない」
「もうちょい待て」
「そうよ真弓、おとなしくなさい」
「うう。そういうお姉やんだって、外チラチラ見て」
「おい太郎も何か言ってくれ」
「マイクさん、もうそろそろ」
「ねえジョニー、あたしたち姉妹を欲求不満にさせて、満足?」
『ないかすごいこと言ってますが、どういうことですか?』
状況がつかめないパイロットが口をはさむ
「パイロット。ここは民間空路からどれだけ離れている」
『は。数十キロ以上離れていると思います』
「なら大丈夫か。パイロット、今一度『オートバランス・オン』を確認し操縦かんをしっかり握りたまえ……ジョニー、太郎君、花子ちゃん、シートベルトは完璧だね」
彼は周囲を確認するなりサイドハッチを開ける
急激な減圧なのか、機内の空気が外へ凄い風だ
『おいマイク。何をする、すぐ閉めろ!』声を荒げるパイロット
「ああ少し待ってくれ。せっかくの空、こんな狭い空間に閉じ込めて申し訳ない……さあ、行きなさい」
「ありがとう」
頭を下げるジョニーの父親に、がっかりする真弓と、安心する優子だが
「すまないがパイロット君、操縦かんをしっかり握り、こちらを見ないことをお勧めする……ジョニー、太郎君、花子ちゃん、シートベルトは完璧だね」
「へ⁈」
手の平返しに唖然とする優子をよそに、彼は周囲を確認するなりサイドハッチを開ける
急激な減圧なのか、機内の空気が外へ凄い風だ
「先程の言葉で予想してましたが、軍曹何をなさるのですか⁈」
「さあ、行きなさい」
「ありがとう、おじさん」
「みなさん、すみません、行ってきます」
ちゅうちょなく飛び出す真弓に、迷惑をかけて申し訳ないと頭を下げ、機外に出てスキッド(ソリみたいな足)に立ち丁寧にハッチを閉め一礼し、背中らダイブする
「何やってんだあんたら!」
感情任せに声を上げるパイロット、そんな彼をなだめるよう優しい口調で
「ふふっ……彼女達なら大丈夫だよ……前を見てごらん」
「ぬ、スカトの中にブルマ、スパッツ、残念!」
息荒く驚くパイロットに、呆れる一同
「おい……もっと全体を見てごらん」
「白と、グレーの翼……天使っていや、軍曹……言葉が出ません」
「出とるやんけ」
想像上の存在と思っていた存在を目の前にし、思考停止寸前のパイロットにつっこむジョニー
ブラックホークの前では、追い抜き合いをしたり、ばれるロールなどアクロバットをしたり、機内の皆に手を振ったりと楽し気に飛ぶ姉妹の天使
我に返ったパイロットが、顔をひきつらせレーザー画面を指さす
「軍曹……これ、まずくないですか?」
そうレーザーにとって、彼女達天使はまさしく未確認飛行物体
もちろんそれは、今から向かう基地の広範囲レーザーでも、味方機のそばを飛ぶ未確認飛行物体として表示されてるであろう……案の定
『ブラックホーク、そちらの数百メートルの周囲に未確認飛行物体を感知した……確認し報告されたし、なお当基地はスクランブル中につき、サム(地対空ミサイル)
起動中なので識別信号を忘れない事』
「軍曹、基地からスクランブル機が準備中……五分ほどで会敵します」
「パイロット君、私が話す」と、インカムをかぶる父親「こちらブラックホーク、その未確認飛行物体は敵にあらず……繰り返す未確認飛行物体は敵にあらず、
スクランブル解除を要請する」
『その声は軍曹……ではそれは大型の鳥……もしや今回の模擬戦における新型兵器』
「いや、女子高生だ」
『はぁ?』
「ああ、とにかく敵ではない……ジョニー、彼女達を呼び戻せ」
「うん、その方がよさそうやな……パイロットはん、飛行中禁止行為やけど、スマホ使ってええか」
「……仕方ないしかし、すぐに終わらせろ」
「おうきに」
ジョニーは真弓にメールを送信する……数秒後、真弓がスマホを取り出し画面を確認していると、優子が怒った顔で近づき、二人はきりもみ状態で急降下するが、
和解したのかすぐに、ブラックホークと平行飛行し、サイドハッチをノックする
「おかえり」
と、ジョニーがベルトをしたままハッチを開け向かい入れる
『あれ、未確認飛行物体……消滅、消えました』
「よし……スクランブル解除および、接近と着陸許可を求める」
『了解、許可します……十番ヘリポートに』
「了解、感謝する、通信終了」
インカムを外した父親の目の前では、優子が真弓に声を上げている
「真弓、飛行しながらの、ながらスマホは駄目、だって何度言ったら分かるの」
「優子ちゃん、そんなに怒らんでも」
「確かにそうですね」
「分かってくれたか」
「はい、ジョニーさんがメールを送信したのが原因なのを忘れてました」
「あ墓穴、でもあん時は」
「ハッチを叩くなり、た招きしてくれたら分かります」
そうこう言い合ってる間に、ブラックホークは無事、基地に着陸した
二年に進学した話はいずれ、時系列重視で割り込み投稿しようと思います
読んでいただき、ありがとうございます。
『山田太郎たちの恋物語・Boys Meets Girls?』
第四十七部『いざ南国へ』
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by.メガネ君(作者)




