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クリスマスダンスパーティー前夜・男性陣編

雨も雪に変わるほど寒くなってきた、十二月中旬の昼休み


「知っとるか、メガネ君先輩から聞いたんやけど……わいらの高校って毎年『クリスマスダンスパーティー』ちゅうイベントやっとるらしいわ」

「何それ、面白そう」

「ロマンチックですね」

「用事がなかったら僕達も参加しようよ」

名前からして、ロマンチックなイベントだろうと想像を膨らませていると

「ちとちゃうで太郎、これはな、正当な理由がないかぎり全生徒強制参加らしいんや」

その強制参加という言葉に、膨らんでいた想像が一気にしおれた



そして……六限目のホームルーム

担任が突然、一般常識問題を投げかけてきた

「皆、十二月二十四日は、なんていう日か知っているかな?」

「クリスマス・イヴ、です」


「正解……皆も新聞などで知っているとは思うが、近年都会では、この時期になるとハイテンションになりすぎた若者の、度を越えた行動による近所迷惑が問題視されており

……悲しいかな、それは年を追う事に増加傾向にある……よってわが校では、教育委員会の発案で……思い切りはしゃげる場所を用意しようと、

数年前より、わが校では全生徒強制参加のクリスマスダンスパーティーを行っている……ちなみに第一体育館(旧体育館)では三年……第二体育館(新体育館)

では一、二年……と別れて行われ、私服や、ある程度の仮想での参加も許可している……詳しくは今からくばるプリントに書いてある」


配られたプリントには、分かり切った規約が長々と書かれていた

が注目すべきは、千円でチケットを購入するだけで、商店街から提供されるケーキやジュースが飲み放題食べ放題という一文に尽き……ジョニーと真弓の目を輝かせている




そうして数日後……十二月二十二日の夜……



我が家では、母さんと花子の女性陣がてんやわんやと騒いでいる

「太郎、明日は何を着ていくの、貸衣装やに電話しようか、気合入れ過ぎも笑われそうだから、タキシード代わりに喪服……というのもちょっと違うから、やっぱり」

「母さん、落ち着いて……学校行事なんだから、無難に制服にするよ」

「そうね……目立たなくて良いわね、制服にしなさい」

納得してリビングのソファーに戻る母さんと入れ替わるように、花子がデジタルカメラを手に、駆け寄ってくるなり


「お兄ちゃん、そのパーティーって、真弓お姉ちゃん達も来るんでしょ」

「もちろん、全員参加だから、ジョニーも来るぞ……もしかしなくても、そのカメラで撮って来いとか?」

「えへへ正解、だってどんなドレス着て来るか気になるもん」

「分かった、聞いてみるけど……あまり期待するなよ」

「うん……でも真弓ちゃんなら」

その言葉に、渋い表情をする花子からデジタルカメラを受け取るなり僕はリビングを出て自室へと戻りながら


(さっきは期待するなと言っておきながら……実を言えば、きっと花子以上に僕の方が、彼女達のドレス姿を楽しみにしている)





所変わって、村上家、リビング

久しぶりに、沖縄の軍基地から戻ってきて、テレビを見ている父親を尻目に……入口に有る姿見鏡の前では、ジョニーをモデルに、何やらファッションショーが行われ

どこから引っ張り出してきたのか、そこには黒いタキシードを着たジョニーの姿が


「おかん、ようこんな服、家に有ったな」

「ああ、それおとんのハイスクール時代、卒業前のプロムで着たちゅうタキシードや……しかしあんたにぴったりって……あん人も意外とちっこかってんな」

「でもおかげで……わいもこんなええ服着れるんや……へへタキシードなんて初めてやわ」


タキシード特有のフロントラインのすそや、えりを撫でたり、ゴムで止めている蝶ネクタイを伸ばすなど……まるで子供の様に服で遊ぶジョニーを見ながら

母親が頃合いを見計らい口を挟む

「それはそうと……真弓ちゃんらもそのパーティーに来るんやろ?」

「そりゃあ全員参加やし……真弓ちゃんやったら、こんな楽しそうなもんに、参加せんなんてありえへんわ!」


笑いながら断言するジョニーに近付くなり

「だったら一発きめてきなさいよ」

と、何やら四角いビニール袋をポケットに入れ、軽く叩き…………苦笑いしながらジョニーはそれを取り出した


「おう、一発かっこええダンス決めてくるわ……て、今ポケットに入れてくれたの飴ちゃんか、おかんも好きやな……やっぱ大阪の女と言えば、飴ちゃ……んえっ……

こんどうちゃん……て、おかん、何入れとんねん」

「転ばぬ先の杖や……お守りみたいなもんよ」

「おいおいおい、息子をどこに転ばせるつもりやねん」

「ふふ……男ってテンション上がると……ついやっちゃうもんなんよ」


遠くを見るような目で、蛍光灯を眺める母親に、再びつっこむジョニー

「何適当なこと言って黄昏とんねん……そんな奴、おらへ(あ、真弓ちゃんのおとん)、おらへんわ、多分」


「ま、とにかくもっとき」

と再びジョニーのポケットに、こんどうちゃんを入れるなり、母親は反論が来る前にそそくさと、その場を去っていった

読んでいただき、ありがとうございます。

『山田太郎たちの恋物語・Boys Meets Girls?』

第三十九部『クリスマスダンスパーティー前夜・男性陣編』

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by.メガネ君(作者)

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