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キャンプ


夏真っ盛りの八月中旬の早朝……


またもや僕達はメガネ君先輩の『気まぐれな提案』とやらで、今回はジョニーの家の裏手にある、浜辺に集合している


早朝から照りつける暑さのせいか、僕は少しイライラして、息を漏らし、正面で腰にてを当てているメガネ君先輩に質問する

「言われたとおり『ミネラルウォーター』一箱、自転車で持ってきましたが、そろそろ、僕達を集合させた理由を教えてもらえませんか?」

「ありがとう、太郎君……いやなに、夏の合宿がわりに、皆でキャンプをしようと思ってね」


まぁ、ある程度予想はしていたが……

「集合場所からして、海水浴とばかり思ってましたよ」

「あたしなんて、服の下に水着きてきたのに」

「花子も!」

くやしそうに文句を言う二人に、愛想笑いを浮かべながら、頭を下げるメガネ君先輩


「すまない……でも、キャンプもきっと、楽しいぞ」

「ところで、キャンプはどこでするんですか?」と気持ちを切り替え、明るく質問する


「あぁ……あそこに見える天神島でやる」


ここで「天神島て何?」という人のために簡単に説明しよう

天神島とは……その昔天神さまが、キャッキャウフフと水遊びをしたと言い伝えられ名付けられたらしい


「しかし、あそこまでどうやって渡るんです?」

そう優子が心配そうにたずねると、メガネ君先輩は待ってましたと笑みを浮かべ


「大丈夫、ほらジョニー君……例の物を」

「了解! ……いや皆、秘密にしててすまんかったな……皆を喜ばせようと、メガネ君先輩と用意しとったんやけど……不発みたいやな……すまんな」


「そんな、謝らないで下さい……私たちの事を思ってしてくれて、ありがとうございます」

「ありがとう」

「みんなでキャンプ、楽しみだね」

「あんたにしては、やるじゃない……で、例の物って?」

「ありがとう、持って来る」


「おまたせ」

家の影に隠していたのか、ジョニーが黒く大きなゴムボートを台車に乗せ、引っ張ってきた


「ゾディアック」(戦争映画でお馴染みの、特殊部隊が乗る、あの黒いゴムボートだ)

僕同様、公園に有る様な手漕ぎボートを予測していた、皆が目を丸くしてその光景を眺めていると


ジョニーは、ゾディアックを、滑らせるように台車から降ろした、その勢いを利用し、一気に波打ち際浮かべると、碇代わりに杭を打った

何とも手慣れた手つきである


「ほんじゃ皆、荷物積み込むの手伝ってや」

「「はい」」


小学校の町内会以来、キャンプなんかしたことなかったけど、意外と、荷物がいらないんだな、と思っているうちに、あっさりと積み込む事が出来た

「揺れんように、わいが支えとくから、はよ乗って」

「では、レディーファーストで……どうぞ」

メガネ君先輩が、両手の平を上に向け、優子たちを誘い、彼女達が乗り終えると


「忘れもんはないな……ほな船出すで」

と杭を外すジョニー、僕達男子は、ゾディアックを押し、反転させ、へそのあたりの深さまで押し出し、乗り込んだ


「では、早速行こうか」

「出発や!」

ジョニーが、モーターのスターターワイヤーを引き、エンジンを起動させ……ボートは海上を水しぶきを上げ波を掻き分けながら、目的の島へと一直線に進んで行く。


笑顔ではしゃぐ花子を見……改めて(今回も連れて来て正解だったな)と笑顔の僕は、心の中で自分をほめる


「しっかしあんた、よくこんなの持ってたわねー?」

真弓が風でで乱れる髪を手でかるく整えながらした質問に、ジョニーと僕が


「前に言わんかったか? わいの親父アメリカ軍人やから、こんくらい普通や」

「そうそうこの前なんて、フル装備の攻撃ヘリに乗って職場から帰宅してたっけ、思わず腰が抜けちゃったよ」

「あん時は、わいもびびったで!」

そうジョニーが笑いながら答えると、真弓と優子それにメガネ君先輩までが「ははは」と乾いたような笑顔をかえしてきた………

と、まあ、そんな事を話している間に、ボートは今回の目的地「天神島」の砂浜へとたどり着いた


「よいしょっと!」

僕達はボートを浜辺に上げ、引こずり………波に流されぬよう杭を打ち、太い木にロープでしっかりと括り付けた後、その木陰に座り一息ついている

向こうにはぼくたちの街の景色が見えるけど……なんともいえない静けさに、波の音と塩のかおりが気持ち良い



そしてリラックスし……目を閉じようとしたとき!

「きゃはは!」


目の前の浜辺を、花子がはしゃぎ声を上げ走りまわっている………すると、近くに座っていた真弓が


「ビーチボールで遊ぼ!」

と立ち上がり、膨らませたビーチボールを花子へパスするが……不意を突かれたのか彼女は、ボールを取れず追いかけるしまつに………


「もう、真弓ったら!」

優子も立ち上がり、ボール遊びに混じる


僕達男子はというと……女の子の輪の中に入るのが、なんとなく恥ずかしく、数分間か彼女達の様子を見ていていたが………

我慢出来ず「僕達も混ぜて」と立ち上がり駆けだした…………


そして、一緒にビーチボールで遊んでいると……僕はある重要な事に気がつき、金縛りにあったように固まり……飛んできたボールはそのまま地面に落下し転がって


「太郎君あんた、なにボーーっとしてんの!」

真弓のげきに、僕は我にかえることが出来たものの……少しひきつった顔で

「メガネ君先輩………キャンプ、なんですよね? ……テントは……食料は?」


すると今度は僕の一言に、皆が我にかえり急いで周りを見渡し、その二つを探しているとメガネ君先輩が


「食料なら大丈夫! 大量の肉と朝食用にとパンを多目に持ってきた!」

そう言い、自慢げに大きなクーラーボックスを開ける


「たしかに」

「わ~~い! お肉だ~~!」

素直に納得する僕と、大量の肉に歓喜するジョニー、真弓、花子の横で複雑な表情の優子が少し言い辛そうに


「野菜とご飯……それと調味料は?」


彼女の質問にメガネ君先輩は目線を外し、必死に作り笑顔で

「ほら肉なら有る……肉なら……それにほら試供品だがソースだって有るぞ~~!」

「忘れたんですね」

「ははは、そんなわけ……」

「忘れたんですね!」

「……ごめんなさい」

普段あまり聞かないきつい口調の優子に、謝るメガネ君先輩が頭を下げようとした時


「ごめんなさい」とそれを遮るように、優子が頭を下げ、言葉をつづける

「いえ、言いすぎました、ごめんなさい……私にも非は有ります……荷物が少ない時点で、気付くべきでした」

「あたし達も、海に集合って聞いたんだから、スイカ割のスイカくらい、持って来るべきだったね」


「……野菜なら、ほら……こんなに緑豊かな島なんだから食べられる野草や木の実があるかも」

「そや、残りのテントかて、くいもん探しとるうちに、雨風ふせげるとこくらい見つかるやろて」


そして、場の空気が和んだのを感じた僕は正面にそびえ、島の両端に向かい合う様に連なる二つの山、通称「二子山」を指差して


「じゃあ、食料探しといきますか~~!」

と荷物をもち、皆を先導する様わざと勇み足で歩き始めると


「そうですね」

「わ~い! ハイキングだ~!」


「とりあえず、パーカーはおって……山登りって疲れるから苦手なのよね」

「なら、わいが背中のあたり(尻)支えたろか?」

「遠慮しとく、なんか目がいやらしいから」

「?」


「まぁまぁ、二人とも喧嘩しないで……すまないね」

それぞれ荷物お持ち、人の手がほとんど入っていない、獣道にも原生林にも似た、山道を登り始めた。


しばらく登っていると、僕は木の根元にシイタケを見つけたが……それが食べれる類のものかという知識がないので、よしここはとメガネ君先輩に聞くことにした。

「すいませんメガネ君先輩………このシイタケって食べる事は出来ますか?」

「残念ながら僕も分からないんだ……役に立てずにすまん」

「いえいえ大丈夫です」

等と会話を交わしてる間に優子が顔を出し


「それ……弱いながらも毒性が有り、食べられませんよ」

「へえ~~詳しいんだ」

「いえ、以前図書館で読んだくらいで……残念ながら私も、さほど詳しくありません」


するとジョニーが、黄色に複数の赤い斑点がついた、いかにも毒々しい模様のシイタケを持ってきた

「この某ゲームに出てきそうなシイタケって食えるか?」

「勿論食べられません……あっ……そこに生えてる花の軸でしたら、煮て食べることが出来……そのまた向こうの大きな葉も同様に調理すれば食べる事が出来ます」


今の会話から、僕は思いついた

「もしかして優子さんて、ベシタリアン?」

「はい」


するとジョニーが笑い飛ばすような口調で

「肉好きの妹に、野菜好きの姉……まさしく」

「まさしく……何かな~? ジョニー君」

「あっ、いやべつに」

ふと足を止め、拳を震わせながら、作り笑いで振り向く真弓に、この後の展開が予想できたのか、ジョニーは、慌てて視線をそらし事無きを得た。


 そんなこんなで一時間ほど歩き……僕達は、山の中腹にある、開けた場所へとたどり着いた


そこには湧水と雨水で出来たであろう、大きな池があり……まあ、この歩き疲れた足を休めるのにはうってつけな場所となっている……


「よし、ここで一旦休憩!」

僕、メガネ君先輩、優子の三人が木陰に座り休んでいる前で、元気印の三人組は池の周りを駆け回っている……

すると花子が立ち止まり、嬉しそうな声でさけんだ。


「野菜畑発見!」

その意表をついた一言に、僕達はいっせいに、彼女の指差す広場の一角に目を向けたが、そこは雑草生い茂る雑草畑……しかし目を凝らしてみると……

草の合間から赤い何かが見え隠れしている

僕達は半信半疑、雑草畑へと足を進めた……


「トマト」

そう不思議そうな顔をしている僕の前に、少しいびつな形をしたトマトと思われる植物がはえており……それは、支える支柱が無いためか途中から緩やかに曲がり地面を這っている……そして隣に見目をやると

トマト? 同様……これまたいろんな形をしたキュウリ? が転がっている


野生化したトマトとキュウリ、それにナス………正に完全無農薬


「これ……食べれるの~?」

発見者でもある花子が考え込んだ顔で「それ」を見ていると


「花子ちゃんて、お店に売ってる野菜しか見たことないのかな?」

「ううん……学校の理科でジャガイモ育てたことあるもん……でも……」

「これこそ野菜本来の形! ……かな?」

「でも……食べれるの?」

「もちろん、美味しいよ!」

優子と真弓が花子の前にしゃがみトマトをもぎ取り、そのまま食べて見せると……花子の顔に安心したような笑みが浮かんだ


その様子を横目で見ていたメガネ君先輩が

「よかった……これで野菜のほうは何とかなった」と、人安心と汗を拭き空を見ている


「スイカやで~~!」


その言葉に案の定、花子と真弓が反応し……スイカを収穫しているジョニーの方へと駆けていく、が



「どうくつ発見!」と、またもや花子が何かを発見して、笑顔で指をさす


こんな所に洞窟って……と苦笑して駆け寄り、それを見た僕達は驚きと戸惑いのあまり、絶句した………それは紛れもなく


「防空壕……」


ということは! 僕は慌てて周りを見渡した!

なんで今まで気がつかなかったんだろう……


僕達のすぐそばには、かつて人が住んでた民家……であろう廃墟が、屋根にたくさんの雑草やもを茂らせ、ひっそりとたたずんでいた


まだ見落としている物はないかと、好奇心全開で周囲を見回している、僕の横をとおった優子と真弓が、廃墟の前に立ち静かに頭を下げる

先程、野菜を食べた詫びだろうか? ……そういえば、僕達も後でその野菜を食べるんだとその場で頭を下げ……思いが連鎖したのか、

ジョニーと、花子も頭を下げている。


そして頭を上げ、再び周囲を見ると……花子が防空壕に入ろうとしている


「花子ちゃんダメ~!」

その声に花子はビックリしてかたまり、目でを丸くして優子を見る


「いるね」

「ええ……」

うつむきかげんに防空壕を見ながら話す、二人のやり取りに背中が寒くなる


「おっ、おるって……ナニがや?」

「……たぬき」

「はっ?」

花子の声に、ゆっくりと中を覗くと……確かにたぬきの親子が、同じくこっちを見ていた


「……ほな、何処で寝るんや?」

「いくら廃墟でも、ひとさまの家に無断で入る、なんて論外」

「さっき休憩してたあの大きな木下で、しかないよね~~」


「天気の方は気温は……私達はともかく、花子ちゃんの健康が………」

「う~ん…………! それなら大丈夫、ほら!」

真弓が、スマホを取り出し天気予報の画面を見せる『夜の天気、晴れ……気温は昨晩より暖かく……しかも運の良い事に満月』



「これでオールオッケイ……さあ、ご飯の準備だ~!」

メガネ君先輩が大きなかばんの中から、一風変わったカセットコンロを取り出す

それを合図に僕とジョニーは、椅子代わりの大きな石を持ってきたり……優子と真弓は、野菜や肉を切り……花子は紙皿を並べ紙コップに水を注ぐ

と、どどこおりなく準備は完了して食卓につくも


「そっ……じゃみんな」

真弓の言葉に全員が、改めて、この土地に踏み込み、野菜をいただいたことに、廃墟に向かい一礼し……

「いただきます」

優子の言葉で食事を……否!……優子のゴングで争奪戦を開始する!


皆さんの予想どおり僕の横では、ジョニーと真弓が、他人の焼いている肉を「それあたしの肉~~!」と取る等……ある種、別次元での肉の取り合いを繰り広げている


そんな中……向かい側では、ベジタリアンの優子に焼いてもらった肉を花子が食べている……しかも、なぜか優子の焼いている肉には、あの二人ですら手をつけない

僕は今、初めて思い知らされる……(優子、恐ろしい娘!)



そして……片づけを済ませた僕達は、腹ごなしと、プチ肝試しをしようと、懐中電灯一つを手に、再び山を登り始める


薄暗い森林を抜け、再び開けは場所に出る

「なんだろうこの寂しい所は」

そのあまりにも殺風景な風景に思わず言葉が出る

円状に開けた場所の中心には、ぽつりと石碑が立っている……何が書かれているのかと近づきライトを当てたが、残念ながら表面の大半が風化し、わずかに読める字から文面を予想することが出来ず

僕達はそのまま石碑を眺め……目を閉じ手を合わせ一礼し、その場を立ち去り、廃墟の広場に戻った頃にはもう、月と星が池の水面を照らしていた


目をこすり時折ふらふらと歩く花子に

「そろそろ寝ようか」

「そやな、寝よか」

「はい」

「ところで、どこで寝るの」

「廃墟や、防空壕はだめだから……あそこなんてどうかな」


廃墟や、防空壕から離れたところに立つ大きな木の下にブルーシートを広げ、寝ることにした



そして真夜中……


「お兄ちゃん……」

花子の遠慮がちな声に目をさます……月明かりに照らされる花子……我が妹ながら、なんて綺麗なんだ……って、なに寝ぼけてる!


「……花子、こんな夜中になんだ」

「トイレ……」

「……暗くて怖いから? でも月とか星とか、明るいから大丈夫だ」

「うぅうぅ」

僕の言葉に、ぐずる花子に背を向けながら


「それなら、優子さんたちのほうが」

「お姉ちゃんたち居ないよ」

「え?」

僕は驚き周りを見渡してみると……花子の言うとおり二人の姿が見えない

町中とは違い、ここは星がよく見えるから、もしかしたら何処かで星空でも見てるのかな?


「仕方ない……じゃあ、行こうか」

僕はため息混じりに答え立ち上がり、花子の手を掴んで歩き出した……しかし、月明りがこんなに明るかいとは思わなった……


野菜畑近くの雑木林に入り、雑草などを倒し

「ここでトイレするしかない……後ろ向いて見張ってやるから、いいだろ」

無言でうなずく花子と入れ違い、数秒後


不意に……草むらのむこうから、水の音と「笑い声」が聞こえてきた


「お兄ちゃん、今の何? ……ってこっち見ちゃダメ」

しゃがんでるのか、下から聞こえる花子の声

「分からない、けど、ちょっと見てくる、すぐ戻るからそこで待ってるんだぞ」


(何だろう? もしかして幽霊?)

と思いながら、ある種の怖いもの見たさに、草を掻き分けながら、音のしている方へと歩いていくと……草の合間、池で戯れる二つの人影を見つけた……

(優子さんと真弓さんかな?)


と一歩踏み出した僕は……不覚にも足元に転がっていた木の枝を気付かず、踏み折ってしまった!

やばい! と思いとっさにしゃがみ込み、すぐさま前を見た時には、すでにそこには人影は無く……確認のため、ゆっくり立ち上がり、

周りを見回そうとしたとき!


突如! 何者かに後ろからティーシャツのすそを引っ張られ驚いた……が、そのあとに続く


「お兄ちゃん、終わった」という花子の声に安心し


「ついてきてたのか、じゃあ、戻ろうか」と再び花子の手を掴んで歩き出した


……しかし……さっきの二つの人影はいったい?

そう答えが出ないのが分かっていても、考えずにはいられない僕の前に、強烈なライトの光が!


「そこに居るのって、もしかして太郎君?」

「その声、真弓さん?」

真弓は僕に直接あてていたライトの光を下ろし……優子と一緒に近づいてきた


「なに? 二人、デート?」

「違います! 妹のトイレにつきあってたんです! 真弓さん達こそ、何してたんですか?」

「……私達、この山頂の石碑を視てきたんですけ」

「ああ、あの石碑ね」


その後、僕達四人はとくに会話もないまま……大きな木下の寝袋に入り………眠りについた…………


…………そして、翌朝…………



「やあ、みんな良い朝だね! ……それとイイ寝顔だったね!」

「たしかに旅の思い出にはなるかもしれませんが……寝顔隠し撮りするなんて、少しひどいですよ先輩」

「ほんま、ほんま」

とふざけあっている僕達男子とは正反対!

「すぐ消去して下さい!」

「いくら眠ってたからとはいえ……このあたしが……抱き枕と間違えて、事もあろうにジョニーに抱きついてたなんて、一生の不覚……出来ることならいっそデータと一緒に消してやりたい」

と真弓は、拳を振るわせながらジョニーをじっと見つめて(睨んで)いる。


「おいおい、そんなに情熱的な視線を送られたら……照れるやんけ」


おいジョニー、それ情熱と殺意、読み間違えてないか?


「とにかく消して下さい!」

「そうそう消して」

彼女達の必死な願いが届いたのか、メガネ君先輩がため息をもらした。

「そこまで言うなら……惜しいが、仕方ない……分かった、消すよ」


と彼が削除ボタンを押そうとした、その時!


「待って!……消すんだったら欲しいな……ねぇ、良いでしょ?」


花子が潤んだ目で優子と真弓を見ている……でたよ花子の年上殺し、うるうる子犬の目攻撃……今は慣れたとはいえ……過去、僕もこれに何度苦汁をのまされたか


数秒後、真弓が視線を反らした……やはり堕ちたか


「やめて!、そんな目でお願いされたら…………もう、花子ちゃんだけだからね」

つづけて優子が質問する

「でも、どうしてこんな写真が欲しいの?」


すると花子がデジタルカメラを手に、画面を指差しながら



「いつもきちんとしてる優子お姉ちゃんが、ほら、気持ちよさそうな顔でおよだれ垂らして寝てるんだもん、赤ちゃんみたいだし……真弓お姉ちゃんは抱き枕と間違えてジョニーにだきついてるのが木の上のコアラみたいで……どっちも可愛い!……良いでしょ?」


「ええ、良いわよ……でも他の人にはあげたり見せたりしないでね」


「ありがとう!」

「そうと決まれば早速……といきたいんだけど……どうしたら?」

「これにいれて」

と花子がポケットから携帯電話を取り出し、デジタルカメラに近付けた


「赤外線通信の携帯電話……了解……いくよ……」

数秒後、データ転送完了の電子音が鳴る


「よし、後はこのデジタルカメラからデータを消せば…………完了っと」

とメガネ君先輩は、最後に消去実行ボタンを優子に押してもらい解決し……僕達は朝食の準備を始めた……とはいえ


「今朝のメニューは、昨晩の焼き肉の残ったものをパンではさんだその名も……焼き肉パン」

「まんまやね」

「でも美味しそうですよ」

「確かに……とりあえず、いただきます」


そして食べ終わった僕達は念のためもう一度、昨晩の焼き肉のした跡に水をかけたり砂を被せたりと後片付けをした後

廃墟の民家にお別れの挨拶をして山を降り始めた……


そして浜辺のゾディアックを全員で海面へと移動させ乗り込み……エンジンスタート!


島を離れて行く……


僕は一人、小さくなっていく天神島を見つめて呟く「また来年……」


すると

「ええ」

「そやな」

「今度は天神島で泳ぐぞ」

「うん」

「今度こそは野菜忘れないよ」

メガネ君先輩、まだ引っ張ってたんですか?


とまあ、来年も皆と一緒に来れそうなので……それを楽しみに、皆、心置きなく帰ることが出来た。


天神島よまた来年……

読んでいただき、ありがとうございます。

『山田太郎たちの恋物語・Boys Meets Girls?』

第三十二部『キャンプ』

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とてもうれしく、励みとなります。よろしくお願いします。


by.メガネ君(作者)

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