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デッサン

 気が付けば今日は七月最終日……メガネ君先輩の提案のおかげで、僕達の夏休みの課題はもう少しで終わりそうだ!

そして、相変わらずの蒸し暑い朝……僕は目を覚まし、ベッドから出て伸びをしていると側で、携帯が着信音を鳴らす


こんな朝っぱらから誰だ? まあ予想はつくが……


一応、携帯電話の画面を確認すると、案の定ジョニーからの電話だ……僕は軽くため息をつき


「はい、もしもし……何?」

「おう、夏休みの選択課題の事なんやけど……お手軽なデッサンと、めんどくさい読書感想文章、どっちにするんや」

なんとも魂胆丸出しにわざとらしくデッサンを強調した質問を、まさに誘導尋問……まあ、僕も読書感想文は苦手で、デッサンをする予定だったからちょうど良いか……


「別に読みたい本も無いし、わざわざ本探すなんてめんどくさいからデッサンにするつもりだけど」

「いやあ、奇遇やな、わいもそれにしよう思っとってん……そこでや、今からそっちに行くから、友人ってタイトルで互いの顔描かへんか?」

「良いね、わざわざ外の炎天下に出なくてすむ……」


「決まりやな……ほな今からそっちに行くわ……半時間程、待っといてな~~」


そして半時間後……「約束どおり来たで」と、ジョニーが玄関のドアを開けた。

「遠慮なく上がって」


と僕が彼を迎え入れた、その時……しめしあわせたかの様に、一階廊下の固定電が鳴ったので


「ちょっと待って」

「ええけど、電話代掛かっとるから、すぐに戻って来いよ」

「ありがとう」

とジョニーに声をかけ、すぐに部屋を出て階段を降り、受話器を取った


「はい、もしもし山田です」

「もしもし」


受話器の向こうから聞こえる意外な相手の声に僕は少し戸惑った

「もしかして、真弓ちゃん!」つい裏返った声で女の子の名前を!……キッチンで皿を洗っている母さんと、二階で音楽を聴いてにいる花子が……急に静かになった……

聞き耳を立てるな……

「正解、だって携帯通じないんだもん……驚いた?」

「うん……大声で女の子の名前呼んだものだから……きっと家族に聞き耳たてられてる」

「ははは、ところで太郎君てさ……夏休みの選択課題、なんだけど……もう終わってる?」

「まだだけど……デッサンにしようって、今日ジョニーとお互いの顔を描くところ」


電話台に手をつこうと伸ばしたはずが、それてハンズフリーのボタンを押してしまった! 電話のスピーカーがオンになった途端!


真弓が

「じゃあ、今からこっちに来てお姉ちゃんとあたしの顔で、写生しない?」とんでもない言葉を口にした

「は!?」


僕も含め、僕の家に居る全員が、絵を描く「写生」を、生理現象の「射精」と間違え!


花子が階段をかけ降り、びっくりした顔で僕を見るわ

母さんに至っては驚きのあまり、手を滑らせ台所で皿を割る始末……とまあ、僕の家は一時、ちょっとしたお祭り騒ぎになった!


「真弓! 電話変わりなさい」

電話の向こうで優子が声を上げ、真弓と変わり、僕も彼女も安堵のため息をつく……


「あの子ったら、ごめんなさいね……それで、どうでしょう? 私の家で向かい合った者同士、お互いの顔をデッサンする、というのは……」

「良いですね、やりましょう……準備出来次第出発するので、待っててください」」

「はい、分かりました……では後ほど……失礼しました」そう言って優子が先に電話を切る


彼女たちとの電話の後……僕はリビングで、花子と母さんに、身振り手振りをまじえ必死に事の真相を説明し……花子の「な~~んだ」という一言で、ようやく二人に理解してもらうことが出来

僕は安堵のため息を漏らしリビングを出て……携帯を切らず、ジョニーを待たせていることを思い出し、慌てて自室に戻る


「えらい遅かったな……電話代」

「ごめん……いくらだ」

「別にかまへんし、それほど怒っとらへん、待っとる間もテレビゲームしとったからな……まジュース一本で許したる」

「ありがとう助かるよ……それとデッサンの事なんだけど……………」

そう彼女達からの誘いと、一階でのてんまつをはなす

「ははは、皆で『写生』や気持ちええぞ、ははは!」


スケッチブックと画材(鉛筆と消しゴム)を持ち、ジョニーと一合流して、優子達の家へと向かった


そして一時間後……僕たちは彼女の家のインターホンを押し、カメラに向かって一言

「待たせてごめん、今、着いたよ」と言うと

「は~~い」すぐに真弓が玄関を開け迎えてくれた


僕は優子さんの姿が見えないのが気になり、彼女にたずねた

「あれ? 優子さんは?」

「あ……お姉ちゃんなら、今あたし達皆の分のコーヒー入れてくれてるの」


それを聞きジョニーは感心したように首を立てに振りながら

「さすがは優子ちゃんや、気い利くな……で……あんたは何しとったんや?」

「あたし? ……あたしは、さっきまでシャワーしてたの! 下手でも、せっかくなんだから少しでもきれいに描いてほしいじゃない?」


「意外……僕はてっきり、優子さんの手伝いをしていたのかと思ったよ」

「ははは……ええ心がけや、よっしゃ! ほな、気合入れてわいが真弓ちゃんのの顔かいたる!」

「仕方ないわね……じゃあ、お返しにあたしがあんたの顔描いたげる……」


そして僕達は三階のリビングに上がった……

「こんにちは皆さん」

優子がアイスコーヒーを盆に載せ座卓の上に置き、僕の前には優子さん、ジョニーの前には真弓さんと、男女向かい合うように座りスケッチブックを開き


「じゃあ、早速始めようか」と鉛筆をとり描き始めた


半時間後……真弓が突然深いため息をつき、疲れた顔で「ジョニー、あんた、あたしの顔から下……どこまで描くつもり?」

「まあ……首の根元あたりまでかな」

「あっそっ」と彼女は素っ気無い返事をし、突然服を脱ぎだした!


おいおい!

「おいおい! なに急に脱ぎだしとるんや? ヌードでも描いてほしいんか!?」


そう慌てるジョニーの姿を見て、彼女は一笑し、笑顔で

「んな訳ないでしょ! 単に暑いから一枚脱いだだけよ」


「でもな、男の前やぞ! 恥ずかしくないんか!」

「別に……いいじゃない……それとも何! あたしの下着姿になにか文句でも有るの?」


彼女にすごまれジョニーは肩を落とし……それを見た彼女は「一件落着」とばかり

「じゃ……再開するわよ!」と再びスケッチブックにむき、鉛筆ををはしらせる


それから……だいたい二時間後……ようやく僕達は全員スケッチを描き終えおのおの、伸びをしたり、天井を見たりと一息ついている


暫くして……真弓が僕とジョニーをぼんやりと見ながら口を開いた

「で、デッサンはちゃんと出来たのよね? 見せて」

「ほい……まあこんな感じや……あんたのも見せてや」

「オッケー……はい」


そんな二人のやり取りに、僕と優子さんも

「じゃあ僕達も……はい、これが僕のです」

「はいお返しに、これが私の絵です……下手ですいません」

「いえいえ、僕の方こそ下手で……って優子さん、本当に上絵手いですよ、とくにこのあたりが」


などと笑いながら絵を見せあい冗談交じりに評論ていると……窓の外、六時の鐘が聞こえてきた。


もうこんな時間かと僕が時計を見ている隣で、ジョニーが立ち上がりながら

「なんやかんや有ったけど……楽しかったわ……でや、今年の、ピチピチビーチの花火大会! 優子ちゃんらはどないするんや?」


という彼の質問に、真弓が不思議そうな顔で

「えっ? 一応、今年も行く予定だけど……市内なんだから、常識でしょ? ……それに多分、メガネ君先輩あたりから電話機そうだし」

「ははは……言えてる!」


「まだ少し先の話ですし……ゆっくりと計画を立てていきましょ……今日はわざわざ来て下さって有難うございました」

「いえいえ、こちらこそ」

「では、玄関までお送りします」と優子が歩き出す


そして玄関……靴を履いている僕とジョニーの後ろから優子が声をかけてきた

「しつこいようですが、今日は熱いなか来て下さって有難うございました……それではまた」

「またね~~」

「はい、また……多分花火大会の晩にでも」

「ほな、おじゃましました~~」


と僕とジョニーは彼女達の家を出て商店街の大通りに出た所で別れ、帰路に着く


ふふふ……どうやら今年の花火大会は……「ジョニーと花子と僕」毎年同じめんつの低刺激の花火大会にならずにすみそうで……今から楽しみだ!


読んでいただき、ありがとうございます。

『山田太郎たちの恋物語・Boys Meets Girls?』

第三十部『デッサン』

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by.メガネ君(作者)

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