終業式
今日は終業式……朝のホームルームが終わった教室で、のんびりと席に座っている僕は、窓の外を眺めながら………入学してから今までの事を思い出す
たしか………高校生になり……優子さん、真弓さん同級生の女子と……ついでにユニークで謎だらけなメガネ君先輩と出会い……その皆と一緒のクラブに入り……他にもいろいろ……
それだけでも、僕みたいな『ザ・凡人』にとっては十分すぎるというのに……明日から夏休みだ!
いったいどんな事が待ってるのか、否が応にも楽しみに思えてしまう………
おや? 僕を呼ぶ声が聞こえる………
「太郎、太郎、なに一人で黄昏とんねん……はよ体育館へ行くで」
振り向くとそこには、少ししかめっ面をしているジョニーと、その後ろには腕組をしている真弓と、少し心配そうに腕時計を見ている優子が並んで立っていた。
「ごめん、ごめん、ちょっと思い出にふけってただけ」
「ふっ……何それ、年寄りくさいわよ」
「ほんまや」
「それよりも早く行かないと、私達そろって遅刻しちゃいますよ!」
優子の一声ではっと周囲を見回した僕達は、教室に自分達以外誰も居ない事に気付き、ダッシュで体育館へと向かった……
終業式は立ったまま行われた……とてつもなく長い校長先生の言葉(演説)に今にも足が棒になりそうだ!
……しかし、校長の話の長いこと長いこと……よくも毎年同じであろうネタを飽きもせず、ああも長々言えたものだなと、ある意味で感心させられる。
と多分、今ここに居るほぼ全員が僕と同じ事を考えているにちがいない。
そして…………
長い終業式がようやく終わり、生徒達は教室に戻っり……僕は席に座り式からの開放感に「う~~ん」と伸びをしている。
すると間もなく、担任が通知表を抱え教室に入ってきて教壇に立ち
「では、皆の楽しみにしていた通知表を渡す……名前の呼ばれた者は前に来なさい、では………」
そしてなぜか通知表を渡され者は、きまって友達と照らし合わせ自慢大会をする習性があるらしく……それは僕達も例外ではない
ちなみに僕達の学校の通知表は、五段階評価である。
「わいらも通知表の見せ合いといこか? ……合計点で勝負や」
「ふふ……望むところ!」
「ええっと……う~~ん……やった! きん差であたしの勝ち~~!」
「こんなん勝ちとちゃう……ええとこ引き分けや!」
「あら、負け惜しみ? 大差だろうが、きん差だろうが勝ちは勝ちよ……どう? 男らしく負けを認めたら?」
「ジョニーの言いたい事は分かるけど、ここは真弓さんの言うとおりだと思う……ちなみに僕は体育で大幅に負けてるけど、合計点でなら勝ってる……」
それでも諦めきれないたジョニーは……念の為と、もう一度彼女の通知表に目をやり、観念したのか……肩を落として呟いた
「はあ……しゃあない……認めたる、今回はわいの負けや…………しっかし信じられへん数値や……」
「恐れ入った?」
自慢げに胸を張る真弓に、ジョニーは半笑いで言葉を返す
「ほんま……九十一って」
「九十一? ……それって、それってあたしの胸囲じゃない!」
その言葉で一斉に彼女の胸へと注がれた教室中の男子の視線は
「どこ見てんのよ~~!」
と次の瞬間、力いっぱい彼女に突き飛ばされ「わわわ」とコントの様に、派手な音をたて倒れるジョニーの姿へと移動した……。
僕はそれをため息混じりに見ていた……と、まあ、そんなこんなで一学期最後のホームルームは午前中に終わり。
……放課後……
僕達はいつものように部室である図書室に行くと……これ又いつものようにメガネ君先輩が椅子に座って……今日は珍しく、あごに手をあて、何やら真剣な顔で考え中のようだ。
僕は、考え中の彼の側に行き「あの~~すいませんメガネ君先輩、何を考えているんですか?」と率直に尋ねると
「いやあ、この夏休みの予定を立てていたんだ……あっ……それより今更になって気付いたんだが……ほぼ毎日、放課後の図書室で君達以外の部員の姿を見たことがないな」
「たしかに今更ですけどね……それよりも、夏休みの予定って、何か文芸部で特別な事でもするんですか? 例えば、合宿とか」
「いやいや、今のところとくに考えていない……だから思い付き次第連絡するかもしれないから、まぁ楽しみに待ってて……話は変わり、これは先輩としての助言というか提案というか……夏休み最終日に大量に残った課題を徹夜で必死に片付ける……等という、そんなベタな事にならない為にも! 夏休みの課題を少しでも終わらせる為も……今月、残りの日数は休部とする……質問や反対の者は? ……居ない様だね、よし! では来月八月一日午後一時に再びここで会おう! 以上、解散!」
そう言い残し彼は回れ右をして図書館を出て行き……その後……残された僕達は勉強の合間気晴らしに読もうと、本を数冊借り……ふとメガネ君先輩が休部の事を、僕達四人にしか伝えてないと思い出し……他の部員の為にと、図書室入り口の扉のガラスに
『八月一日まで休部』と書いたメモを貼り付け、これで良しと満足気にうなづき下校した。
読んでいただき、ありがとうございます。
『山田太郎たちの恋物語・Boys Meets Girls?』
第二十九部『終業式』
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by.メガネ君(作者)




