おやくそくの球技大会
七月半ば……今年は例年よりも一足早く梅雨が明けでたおかげで、今日の球技大会は雲一つない快晴に恵まれ……運動場のコンディションもばっちり!
まさに球技大会日和といえる
照りつける日差しの中……生徒会長による
「只今より第??回球技大会を開始いたします」と短い開会の挨拶に始まり……メガネ君先輩の
「宣誓、我々男子生徒一同は、スポーツマンシップにのっとり、正々堂々と女子のブルマや、胸ををチラミする事を誓います」
なんともつっこみ所満載の選手宣誓? を聞いた後……
準備体操を通過儀礼のように淡々とすませ……生徒達はそれぞれの種目の行われるところに移動し始め……
僕達も顔を見合わせながら運動場の隅にあるドッジボールのコートに移動し、運営委員の指示に従い男女チームに分かれ、すぐに試合を始める。
僕とジョニーの一年男子チームは……対戦相手に恵まれ意外と楽に学年トップという偉業を達成し、喜んでいたのもつかの間……五分後には二年男子トップのチームと試合することに。
そして試合開始三分、流石は上級生……僕達のチームは見るも呆気なく、僕も含めほぼ全ての見方が当てられ外野に……一人残ったジョニーは……この状況にめげることなく歯を食いしばり目を血走らせ孤軍奮闘!
相手チーム三人を外野送りにする等活躍をみせるが……
最後はスタミナ切れか……ふらついたところをあっさり背中から当てられ……僕達のチームは負けてしまった……。
彼は一人コートに残り四つん這いになり涙を流し
「くそ~~!」
と運動場に響くほどの声で叫び、拳を地面に力いっぱい叩きつける……その姿に目頭が熱くなり軽くもらい泣きしていると……背中の方から視線を感じ、僕は振り返り視線を向けると……
女子チームのコートで真弓が腕組をし、じっとジョニーを見つめていた……が……不意に僕と目が合った瞬間、そっぽを向き素っ気無い態度で、女子の集団の中に戻っていった。
それよりも、とりあえず……
「ジョニー、学年トップに成れたんだからよしとしようよ……それと最後まで頑張ってくれてありがとう」と僕は彼をなぐさめ、次の試合のためにコートを空けた
「太郎こそ、皆もよう頑張った……そやな……来年こそは勝ったる!」
僕達に勝った二年男子も直後に行われた三年男子トップとの試合で敗退し……僕達同様、上級生の強さを思い知らされた事だろう
(気をとり直して……優子さんと、真さん弓の居る一年女子チームはどうかな?)
と視線を向けると……まさに今、彼女達の試合の最中で……案の定、真弓が『蝶のように舞い蜂のように刺す』といった感じにコートの中を縦横無尽に駆けまわり大活躍している
相手チームは体操服の色からして……三年生か!
僕達とは違い二年生チームには勝ったのか「さすがは真弓さん」と言うべきか……?
そして見る間に彼女達のチームが勝利し、真弓が走って優子に抱きついているのが見えた
(ほほえましい光景だ)
これにてドッジボールは終わったわけなんだが……どうやら他種目の試合はまだ続いているようだ………。
するとメガネ先君輩が突然ホイッスルを吹き、ドッジボールに参加していた生徒達の視線を集ると……首にかけているメガホンを持ち大きな声で
「すまないがもう一つコートを書いてくれないか? 空いた時間で、各学年トップの男女対抗試合をしたいのだが……どうだろ?」
彼の提案に周囲から拍手が起こり……賛成多数でその提案は可決され……すぐにコートが一つ追加され、それぞれのコートに各学年トップの男女が入る
つまり僕達一年のコートには……僕とジョニー、対、優子と真弓と、絵に描いたようなベタな展開……くわえて審判はメガネ君先輩と失笑並みのベタさ……
そんなベタだらけの試合前……やはりジョニーと真弓が火花を散らしている……
「先輩もなかなか『アジナコト』してくれるやないか~~」
「ほんと……アジ(味)といえば、今日はあんた、どういう風に料理してほしい?」
「ふっ……その言葉そっくりそのまま返したる!」
言い合ってる二人の間に、メガネ君先輩がボールを突き出し
「そろそろ試合を始めたいのだが……まずはボールの先取権のジャンケンをしてくれないか?」
と言い二人にジャンケンをさせ、ジョニーが勝ちボールを受け取り……試合開始のホイッスルが鳴り響く
「運動苦手な優子ちゃんが狙い目やけど、そないなかとしたらあんたにころされる」
「へぇ~~意外と分かってんじゃない……」
「だから、わいはお前ひとすじや~~!」と言い放ち全力投球!
しかし
「あんたの気持ちのこもった、パ・ス、しっかりうけっとったわ、ありがとね」と彼女は余裕でボールを受け止め「だから、あんたと太郎は最後にしてあげる!」
そう言い返すと真弓は宣言通りに次々と僕とジョニー以外の男子をかたづけてゆくが……男子達も負けじとジョニーの忠告に従い、優子と真弓以外の女子を外野に送る事に成功し……またまたベタな展開となる
「まあ、予想通りの展開……といったところね」
「ほんまやな……」
もう、どうにでもしてくれ……ため息をつき油断した瞬間!
「すきあり!」
真弓の速球が僕の上腕部に直撃!
「がは!」
あまりの痛さで、その場にひざまずき腕を押さえる僕に、周りが騒然となり……優子と真弓が血相をかえ、センターラインを超え僕の側に来た事に安心し気が緩み……そのまま気を失ってしまい、保健室には配れる羽目に……。
……気になる試合の結果について…………
これは後でメガネ君先輩から聞いた話だが……彼女達がセンターラインを超えてしまった事により女子チームは失格……男子チームの勝利という微妙な結果に……皆ごめん……。
話を戻そう…………少し固いベッドの上
「見慣れない天井だ」
意識を取り戻した僕は……充満する消毒液の匂いですぐにここが保健室だと気付くことが出来た。
腕になにやら感触が……視線を向けると、椅子に座っている優子さんが僕の腕を軽くおさえ、ベッドにうつ伏せになり眠っている……微かに手にかかる彼女の寝息が、何故かくすぐったくかんじる……。
深く息をし気を落ち着かせ、窓から空を見上げるともう夕方である。
「優子さん起きて下さい」
僕は彼女の肩をゆすると……彼女は起き上がり少し眠たそうな目で僕を見て一言呟いた……。
「よかった」
「看病してくれてありがとう」
と礼を言いながら立ち上がり……ベッドのカーテンを開けるとそこには、ジョニーと、真弓と、メガネ君先輩がパイブ椅子に座り小声で雑談していた……。
すると僕に気付いたジョニーが、制服の入った脱衣かごを指差し
「おう……やっと目え、覚ましたんか……制服とかはそこに持ってきたから、はよ着替えて、いぬで」
「ほんと……待ちくたびれたわよって、さっきはごめんなさい……腕、大丈夫?」
と頭を下げ謝る真弓さんに心配かけさせまいと、僕は軽く腕を動かしながら、笑顔で答える
「大丈夫、大丈夫、気にしないで、って三人とも保健室で何食べてんだ! 優子さんからも何か言ってくださいよ……って、食べてるし!」
「おいしいですよ」
「大丈夫、保険栄養補助食品のカルリーメイトやから……校則的にもセーフや……太郎の分も有るから、はよ着替え~~」
僕は苦笑いをし、脱衣カゴに入れられている自分の制服を取り……カーテンを閉め、そっこうで着替えた
「じゃあ、帰ろうか」
僕達は一緒に下校した……そして最後にジョニーと二人になった時
「あの時、太郎を保健室に運んだのはな……」と彼から衝撃の告白を聞かされ絶句した!
そう……あの時僕の体を背負い保健室のベッドまで運んだのは誰か……信じられない、信じたくない………僕を運んだのは……あの運動の苦手で、か弱い…………あの!
…………メガネ君先輩だと
(いやはや全く……『人生とは思うようにいかぬもの』である…………はぁ……)
読んでいただき、ありがとうございます。
『山田太郎たちの恋物語・Boys Meets Girls?』
第二十八部『おやくそくの球技大会』
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by.メガネ君(作者)




