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お宅訪問……太郎編

 六月も半ばを過ぎると梅雨も本格化し、雨の日が多くなり……今も雨が降って、私の心を少し憂鬱にさせます。

今日は、来月前半に行われる球技大会について教職員会議があり、授業は昼までに終わり……

私達文芸部は降りしきる雨音をBGMにして土曜日の放課後……図書室で静かに読書をしています。


私の心以上に憂鬱な表情な真弓が一人窓の外を眺めながら少し大きな声で

「つまんな~~い!」

と愚痴をこぼし……私も心の中で頷いています……が

「真弓、図書館の中では静かになさい……」

「だって~~」


 するとジョニーさんが、すねている彼女に

「ほな暇潰しがてら、お宅訪問ちゅうやつせえへんか?」

「する! なんだか面白そう!」


 彼の提案で彼女の機嫌は一気に良くなり……そこへメガネ君先輩が

「それは興味深い……ぼくも参加して良いかな?」

「ええで~~、その代わり先輩の部屋にもおじゃまさせてもらうで」

「いやいや……むしろ歓迎するよ」


 太郎さんが、本を閉じ立ち上がり

「で、最初は誰の部屋にするんだ?」

「女子の部屋は、最後のデザートでおいといて……そやな……よし、この質問した太郎の部屋にしょか」

「いきなり僕から~~? まあ良いけど……でもつぎはジョニーの番だからな!」

「ええで……で、わいの次がメガネ君先輩……最後のデザートが……」

「デザート、デザートって……あたし達の家をなんだと思ってんの?」

ため息交じりに文句を言う妹に、ジョニーさんは苦笑いをし

「はは……たんなる例えやて……ほな、早速今から行こか~~」


 そして、私達は読んでいた本を本棚に戻し、太郎さんの家に向かうため図書館を出ました……校門付近で真弓が私に近寄り小さな声で

「太郎君の部屋……楽しみだね、エッチな本とか隠してたりして……」

「真弓、へんなこと言わないで!」

思わず声を上げる私に、前を歩いていた太郎さんが足を止め振り返り

「優子さん、なにか言いました?」

「いいえ、なにも」


「太郎君の家、行くの初めてだから楽しみだねってお姉ちゃんが……」

笑顔で話す妹に、彼は照れ隠しの愛想笑いをしながら

「はは……あまり期待しないでください……よくある普通の家ですから」


 その道中……私達は学校近くのコンビニで昼食用にと、各自おにぎりとお茶を買い……それから十五分後……太郎さんとジョニーさんが足を止め、二階建ての家を指差し一言

「はい着きましたよ、ようこそ、ここが僕の家です」


真弓とメガネ君先輩は、太郎さんの家を見渡し……感心したように

「思ってたより立派じゃん」

「確かに……駐車スペースに、小さな門と庭まで有るとは……」


 そして私達は小さな門を開け、両サイドに花を植えている庭を通り玄関の扉に向かっている途中……私はふと足を止め、アジサイに見とれてしまい……ドアの前に着いた太郎さんに

「優子さん、入りますよ」と呼ばれ我にかえり

「はい、今行きます」といそいで傘をたたみ駆け足で玄関へ。


 私がきた事を確認した太郎さんは頷き「ただいま」と玄関のドアを開ると……そこには靴を磨いている女性が一人。

「母さん、ただいま」

「ああ太郎、おかえ……えっ?」


 太郎さんのお母さん……当然会うのは初めてです……ですが……私と妹を見たまま固まってしまいました……来ては行けなかったのでしょうか?

少し困惑していると、玄関を上がり少し歩いた正面にある階段から花子ちゃんが降りてきて、笑顔で弾むような声で


「わ~~真弓ちゃんと優子お姉ちゃんだ早く上がって!」


 私が困った顔で、固まったままの太郎さんのお母さんに目を向けている事に気付いた花子ちゃんが、少し笑いながら

「お母さんの事なら気にしないで……多分、初めてお兄ちゃんが女の人連れてきたことにビックリいてるだけだから……」


 そして私達は……「おじゃまします」と太郎さんのお母さんに軽く頭を下げ、玄関を上がるとなにやら……左から……け・は・い……がしたので目を向けると……和室の隅の方に仏壇があったので、私は太郎さんに


「すいません、挨拶も含めお参りさせてもらってもかまいませんか?」

その質問に彼は一瞬不思議そうな顔をしましたが、笑みを浮かべ

「もちろん、多分、祖父母もよろこぶと思います」


私は快く了解してくれた太郎さんに軽く頭を下げ、真弓と一緒に仏壇に手を合わせ目をつぶり………目を開け振り向くと……花子ちゃんを含む六人が正座をし、一緒にお参りをしていたこと……その優しさに、自然に安らぎと笑みが浮かびます。


 そして、和室を出て玄関前に戻ってきてふと横を見ると、今もまだ太郎さんのお母さんは固まったまま動きません……本当に大丈夫でしょうか、少し心配です。

私は花子ちゃんに背中を押され振り返りながら、階段を上がると……正面にはベランダに出る為の大きなドアが、そして両サイドのドアにはそれぞれ、左には太郎、右には花子とオーナメントが掛けてあります。


私達は、まず太郎さんのお部屋にお邪魔することにしました。

ドアを開け、まず正面に一人用としては少し多きい丸い座卓が目につき、その上には教科書や開いたままの教科書ノートが……どうやら勉強机のようです

そのまま座卓に座り前を見ると……液晶テレビと、ミニコンポが……そしてドアの側には本棚があり……右を見るとクローゼットがあり、左を見ると……ベッドと、その下を覗き込んでいる真弓が…………ってあの子!


「ちょっと真弓、人の部屋で何してるの!」

「エッチな本、隠してないかな~~って……ねぇどこに有るの?」


あまりに率直な質問をする妹に私は声をうしない、太郎さんを見ていると……彼は数秒目を閉じ恥ずかしそうに苦笑いしながら

「ははっ……一応僕も健全な男子だから、エッチな本は持ってるけど……さすがにそんなベタなトコロには隠さないよ……ちなみにジョニーは僕の倍持ってるよ」

「ちょ! 太郎、道ずれ?」

「へ~~、それは、探しがいがありそうね……ダンボール用意しなきゃ」

探す手を止め不適な笑みを浮かべる真弓に、ジョニーさんは手を合わせ

「それだけは堪忍しして~~」

「ははっ……冗談に決まってるじゃない……」

「目がわろてへんで……」


すると、メガネ君先輩が気をきかせ強く手を叩きながら、話に割り込み

「はいはい……優子ちゃんがどん引きしてるよ、エッチな話はここまで……さて次は?」

と、なかば強引に話題を切り替えてくれました


「あれってゲーム機?」

私の横で真弓がテレビと繋がってる黒い箱のような物を指差し太郎さんに質問していると……ジョニーさんが割り込むように

「そや……なんならわいと勝負するか?」

「いや、あんたにきいてないし……で、勝負って何するの? 囲碁? オセロ? 将棋?」


「おいおい、いつの時代のゲーム機や!」

「じゃあ……いろんな形のブロックが落ちてくる……」


「それも古い! 今回やるのは……これや!」そう言ってジョニーさんは飛行機の絵が載っているパッケージを、自信たっぷりに真弓に突きつけるものの……彼女は少しさめた口調で

「スカイコンバット、撃墜王………飛行機? これがしたいの?」

「そや……今回の舞台はソラや……なんや元気ないのう……勝ちはもろたで!」


(ジョニーさん……残念ですが今回はあなたの負けです……天使である私達がが空でヒトである貴方に負けるはずありません!)

それを私以上に思っている真弓は勝利を確信し笑みを浮かべ、両手の指をくみかわいい声で「あの~~、おてやわらかに~~お願いします!」


(この子ったら、また……)


意外なことにジョニーさんは、彼女の甘い声にに引っかかることなく

「もう、そんな下手な色仕掛けにはだまされへんで~~!」とゲーム機のスイッチを入れ……

「さあ好きな飛行機、選んでや……わいは最新鋭戦闘機や!」

「じゃあ、あたしは……ゼロ戦!」

「ほんまにそれでええんか? ……ほないくで……」


さあ、ゲームスタートです……すると真弓は、自機を急上昇と思いきや、急降下、今度は急旋回させたりと操作法を覚えようとしているところを遠距離からのミサイルであっさりと……ジョニーさんに撃ち落されてしまい

彼女は少し悔しそうにな顔で彼に

「もう一回、もう一回……お願い」と可愛い声でお願いし……再勝負のチャンスを得ることに成功……すると彼女は一瞬不適な笑みを浮かべ、再び可愛い声で

「ありがとう……あたし頑張る!」とポーズまでとった。


そして第二回戦が始まると……

ジョニーさんの機体はアフターバーナーをつけ急加速ロールしながら真弓に機体と至近距離ですれちがいすぐさま旋回し、彼女の後ろにつき張り付き速度を落とし狙いをつけ

「ミサイルロック! 勝ちはもろたで!」


声高に勝利者宣言! ミサイルを発射! しかし……彼女は

「単純」

と呟き、減速と同時にバレルロールそれを余裕で交わし……最加速し、再び彼の前につき機体をやじろべいの様に揺らし

「ほらほら、最新鋭機じゃなかったの?」と鼻で笑いながら挑発


と、この様なやり取りが三度ほど続くと彼は………未だ無傷で反撃すらしない彼女に頭にきたらしく

「くそ~~! こうなったら一気に全弾発射!」


一発ミサイルを撃ち彼女が避ける、ここまでは今までどおり………すると彼は彼女の逃げる方に機銃を長い打ちしながらでたらめにミサイルを乱射!

そのことごとくを彼女はわざとミサイルに接近してかわす等し、余裕で回避。


結果、ミサイルや機銃を撃ち尽くし、残弾ゼロになった彼は全力で逃げるしかない


すると彼女は急減速して一気に彼の機体を引きつけて距離を詰め、宙返り!

「な! ゼロ戦でカウンターマニューバーやて~~!」


見事彼の後ろにすべりこんだ彼女は……一彼が逃げようと加速するより早く機銃で打ち落とし対戦終了!

容赦ないまでの勝利に彼女は笑みを浮かべ伸びをしながら、コントローラーを落とし唖然とする彼を見る


「勝たせてくれてありがとう……もう一回する?」

彼女としては珍しくフォローを入れたものの……自信を喪失した今の彼には無意味。

「やめとくわ……勝てる気せえへん……」


(いけない雰囲気がだんだん暗くなってきてる、話題変えなくちゃ)

私は部屋を見回し……花子ちゃんがお腹に手を当てうつむきため息をついてることに気付き、すかさず

「そろそろゲームはやめて……遅くなりましたがお昼にしませんか?」

「そうですね」

「うむ、昼食だ」

「そやな」

「あたしも丁度お腹すいてたんだ」


すると花子ちゃんは元気を取り戻し

「わたし、キッチンからお昼ご飯持ってくる、待ってて」と足音を立てながら階段を駆け下りていきました。


十分後……彼女がお盆に昼食をのせ戻って来て一緒に

「いただきます」をし、食事や談笑をしていると隣に座っている花子ちゃんが私と妹を見て突然!


「優子お姉ちゃん、真弓ちゃん……お兄ちゃんのことスキ?」


そのあまりにストレートな質問に、真弓は咳き込み、太郎さんは驚きのあまり立ち上がり


「はっ、花子いきなりなんて質問するんだ」


するとジョニーさんが「まあまあ、落ち着けや~~」と太郎さんのの肩をおさえている側でメガネ君先輩は冷静にお茶を一口飲み

「花子ちゃん……ベタだがいい質問だ……皆、落ち着きたまえ平常心、平常心」


(先輩、そののわりに手が震えてますよ)


私は一呼吸し……気を落ち着かせ素直に

「好きですよ」と答え……つづけて真弓は「あたしもお姉ちゃんと一緒で友達としてスキかな」

と笑顔で答えると……花子ちゃんはよほど嬉しかったのか

「ありがとう」

と笑顔で私と真弓に抱きつき……私達の顔にも自然と笑みがこぼれ

太郎さんは

「とりあえず、嫌われてなくてよかった」と腰を下ろすと……ジョニーさんが自身を指差し


「ほな……ぶっちゃけ、わいのことどう思っとるん?」


彼の質問に私は「面白くてスキですよ」と答え、つづけて真弓は

「誰にも譲りたくないお気に入りのおもちゃ」と即答すると……彼は私達の、とくに真弓の答えに

「おもちゃ、おもちゃて……あんまりやで」と肩をを落とし、うつむいてしまいました……。


(ジョニーさん……彼女の言葉に隠された本当の想いに気付いてください)



そして私達は昼食を終えて……

食後の腹ごなしと犬の散歩も兼ね、お庭でポチと戯れ……その後……男性陣と女性陣にわかれ……

私と真弓は、人形やぬいぐるみいっぱいの花子ちゃんのお部屋にお邪魔して……三人女子、水入らずといった雰囲で人形ごっこや、お互いの学校のことを話したり……六時のチャイムが鳴るまで楽しく過ごしました……


さあ次は、まだ天界から見たことないジョニーさんのお宅……ちょっと変ですが雨が降る日が楽しみです

読んでいただき、ありがとうございます。

『山田太郎たちの恋物語・Boys Meets Girls?』

第二十三部『お宅訪問……太郎編』

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by.メガネ君(作者)

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