楽しみプールタイム
今回は、いわゆる「水着かい」なので少々性表現があると思います
プールの水かさが上がるにつれ………僕達のボルテージも上がっていく様な気がする!
しかし………
プールに水を入れはじめ………一時間が経過……長い!……さすがに、ただ溜まっていくだけの水を眺める事に飽きた僕達は……少し早いがもう水着に着替えようと
プール脇に隣接している、木造モルタル平屋のプール専用更衣室のドア口前に居る。
すると真弓が、僕達男子を指差し、はっきりとした声で警告する!
「覗いたりしたら……分かってるわよね!」
「ほな、一緒に女子更衣室で着替えるっちゅうのはどないや?」
ジョニーのとぼけた質問に、真弓は笑顔で答える
「べつに良いわよ~~!」
「ほんまか?!」
「ただ、そんなことしたら……今日があんたの命日になるって事くらい分かってるわよね?」
指を鳴らし笑顔で威圧する彼女に、ジョニーは少し青ざめ
「……つつしんで遠慮させてもらいます……」
「かしこい判断ね……じゃ」
そして僕達は男女に別れ更衣室に入り水着に着替えはじめた……
ここは男の園『男子更衣室』……壁越しに女子達の、とりわけ花子と思われる甲高いはしゃぎ声が聞こえてくる。
そして着替えずに、その壁をうらめしそうに見ているジョニーがいる
まあ大体の予想はつくが、一応聞いておこう
「さっきから壁ばかり見てどうしたんだ?……早く着替えないとおいてくぞ」
と水着に足を通しながら訊ねる僕にジョニーは、遠くを見るような目でゆっくりと言葉を返してきた
「なあ太郎、この壁の向こう側に何があると思う?」
やはりそうきたか
「そんなの、女子更衣室に決まってるだろ」即答した後「覗くなよ」と言葉を付けくわえようとする僕よりも早く、ジョニーが口を開いた。
「ちがうな!……この壁の向こうにはな……パラダイスがある」
「は?」一瞬で呆れる僕を尻目に、ジョニーの熱弁が始まった!
「そう、この壁の向こうには永遠のパラダイスがあるんや……男と産まれたからには誰もが目指す……否……目指さなあかん人生のゴールがそこにある!……しかし」と彼は
肩とテンションを落とし話をつづける「しかしや……わいらにはそこへ辿り着く手段があらへんのや」
「手段ね~~」
僕は、湿気の逃す通風の為に設けられたであろう……壁と天井との大きな隙間に目をやると……ジョニーが苦笑いしながら
「そんなの、わいでも最初に考え付いたし……向こうにおる誰かさんも気付いとるやろう……そやから、下手げあにそこから覗いた時には………それこそ人生ゴールして、終わってまうで」
「はは……」
オス、としては同意したいものの……下らない事に悩むジョニーに、僕は呆れ、つい乾いた笑い声を漏らしてしまう。
しかし、たぶん、あの表情からして……本気で悩んでるな。
そう首をひねっているジョニーに、メガネ君先輩が手招きをし
「少年よ……そんなに悩む事は無い……きたまえ……君に、数多くの先人達の努力により築かれ、受け継がれている秘宝を見せてやろう」
と声をかけるなり……壁に沿うように設置されている棚の、一段目の背板を外し………指をさした
僕とジョニーは軽く首をかしげながらしゃがみ……彼の指し示す秘宝とやらに目を向けた
「穴?」
脱衣棚二段目の底板の少し下に、親指が通る直径三センチほどの穴が一つ開けられていた
「覗き穴ですか……こんなの簡単に見つかってしまうんじゃ………?」
「心配無用………こちら同様、向こうでも脱衣棚二段目の底板が目隠しがわりとなり、気付かれにくく……第一、この低さだ……いくら背の低い女子高生がしゃがんだところで……女子高生には見付けられるわけがない!
それに普通……壁と天井との大きな隙間から覗かれないかと目がいって……こんな低いところ等、気に止めないだろう!」
う~~ん……メガネ君先輩の言っている意味は理解できるけど………。
「そんなものかな?」
「そんなもんやて……ほんま、太郎は心配性やな~~」
心配をよそに、「へへへ」とにやけ面を穴に近付けるジョニーの背中を見つめ…………僕は、最後にもう一度考えてみる……なにか、忘れてはいないかと…………何か…………………………
そうだ!
何度も『女子高生』と口にするあまり僕達は、とても単純かつ重要な事を忘れていた!…………そう……今、向こうには女子小学生という好奇心旺盛のイレギュラーが居る事を…………!!
「足首とふくらはぎが少しだけ……後は板が邪魔で見えへん」
「そういえば……先人たちは重度の脚フェチだったな」
「なんやねん、それ!」
ジョニーの声に、花子が反応……のぞき穴を見つけて、覗き返してきた
「ジョニーちゃん」
「やっほー、花子ちゃん」
「何してるの?」
「……目が挟まって抜けなくなちゃった、どうしよう」
あまりに苦しい言い訳に僕は、メガネ君先輩と二人笑いを我慢している……真に受けた花子は
「お姉ちゃん達に聞いてくる」とその場を後にする
僕達には見えも聞こえもしなかったが、花子たちのやり取りはこうだ
「真弓お姉ちゃん、あそこの穴、ジョニーちゃん目が挟まっちゃったんだって、どうしよう」
「……心配しないで、そんな時は、このスプレーをワンプッシュしたら大丈夫」
「それ催涙スプレー」
「何それ」
「挟まってる目が取れたって、涙を流しながら叫び声をあげて喜んでくれるから」
「メガネ君先輩……わい、どうしたらええでしょう」
「もうすぐ来る、審判の時を待て」言葉通り花子が戻ってきた
「この催涙スプレーかけたら、とれるって」
「催涙、いや花子ちゃん待って」人を助けようと焦ってる幼女に、それを止めろという言葉は通じない
「えい!」
「ぎゃー」
「ヤッター、とれた」
「早くシャワー近くの目を洗う水道に行こう」メガネ君先輩が大き目の声でジョニーの手を引っ張って行く
数分後……ジョニーの目も無事治り、着替え終わり、一足早くプールサイドに行き、彼女達を待つことにした……するとジョニーが軽く空を見上げながら
「さっきはえらい目におうたけど、ま……わいらは幸せもんや! ……女子高生と女子小学生のスク水姿を間近で堂々と見れる……しかも、クラスで人気の
優子ちゃんのスク水姿や……真弓っちゅういらんオプションついとるけど……もちろん花子ちゃんのスク着姿も楽しみにしとるで~~、
こんな時こそ青い大空に向かって叫ぶんや! ……わいはスク水女子が大好きだ~~! さあ、太郎も一緒に」
僕が返事に困っていると更衣室の方から、いやに色っぽい声がする
「ちょっと~~そこの茶髪のお兄さ~~ん」
その色っぽい声にジョニは興奮し鼻の下を伸ばし「は~~い」と振り向いたと同時に、彼の顔面にビート板が直撃!
この展開、どこかで……まあ、予想はつくけど……
僕は一応、確認の意味もふまえ声のした方を向くと……案の定そこには真弓が居た
「あんた! 真っ昼間から何てこと口走ってんの! 恥ずかしい!」
するとジョニーが頭を振りながら立ち上がり、彼は正面に立っている女性の胸を見て
「その声は真弓ちゃんやな……言っとくけどな、お前のぺったんこな胸に興味は無い!」
彼は正面で微かに揺れているている豊満な女性の胸を見……「って……どなたさん?」
「ちょっとあんた、どこ見てんのよ……人と話をする時は相手の顔見るようにって、ちゃんと親から教わらなかったの?」
ジョニーはその女性に言われたとおり顔を上げ……その正体が真弓であることに驚きのあまり後向きに転びそうになる
「真弓ちゃん、いつの間にそないに胸大きくなったんや! 病気か?」
優子は「病気か」という一言に……ジョニーが真弓の体調を心配してると勘違いしたのか、優しい口調で
「ジョニーさん、真弓は普段胸にさらしを巻いているだけで、彼女は元気そのもなので安心してください」
「お姉ちゃん、なにボケてるの!」
恥ずかしそうに顔を真っ赤にしてる真弓を見て……ジョニーはため息混じりに問いただす
「はぁそんな立派なお胸もっとるのに……なんちゅうもったない事しとんねん……なぜさらしなんか巻いとるんや、息苦しいだけやろ……第一、女やったらブラジャーやろ~~!」
普通ならここで真弓の一撃がくるのだが………意外なことに彼女はすねた口調で、彼の質問に答えだした
「だって……胸が揺れるのがいやなんだもん……肩はこるし……男にエッチな目で見られるし……」と台詞の途中、自分がとんでもない事を口走ってる事に気付き
耳まで真っ赤にして「……って、なんてこと言わせるのよーー!」
真弓は恥ずかしさのあまりジョニーを手加減なに殴り飛ばした!
すると彼の体は、水面を跳ねる石のように二度ほど跳ね、水面に浮かび……運良く彼は意識を失うことなくすぐにプールから上がってきて、彼女に
「力いっぱい殴るとこないやろ?」
「ははは……ごめん、ごめん……それより競争しない?」
笑顔で謝る真弓に、腹を立てるジョニーだが……それ以上に「競争」と言う単語に反応してしまい、先程までの怒りはどこへやら………。
「競争?」
「そっ……負けた方が帰る時、全員にジュースおごるの……どう?」
「ふっ……そんなでかい胸やと水の抵抗受けて遅くなるに決まっとる……よっしゃ受けてたつ……勝ちはもろたで~~!」
少し考え、勝利を確信し笑顔で返事をするジョニー
彼としてはなかなか良い考えだが……着眼点にいやらしさを感じるのはなぜだろう?
そして競争内容はこの二十五メートルプールを一度ターンする五十メートル競争に決まり……ジョニーは一コースに、真弓は二コースの飛び込み台の前に立ち、メガネ君先輩のスタートの合図を待っている……
すると真弓は軽く跳躍やぜんこうくつ等準備運動をし、ジョニーはその様子を見て生唾を飲んでいる。
推測するにどうやらこれは彼女の心理作戦のようだ……なぜなら現に僕もメガネ君先輩も彼同様、生唾を飲んでいるからだ……。
メガネ君先輩は咳払いで気を落ち着かせ、プールサイドに立ち
「そろそろ始めるよ~~」
と手を叩き、二人を飛び込み台に立たせたが……真弓は急に飛び込み台から降りプールの中に入って胸の谷間を隠しながら、スタート体勢で水面を見ているジョニーの前をゆっくりと通過し……けのびスタートの体勢をとる。
メガネ先輩は再び咳払いをしてしきり直し
「では、気をとり直して、用意…………スタート!」
と一気に手を振り下ろした!
当然ながら飛び込みスタートジョニーが優位にたち、彼は見事なクロールで差を広げていく……一方、真弓はなんと平泳ぎをしている!
飛び込みクロールに対し、けのび平泳ぎ……彼女に勝算などあるのか?
そう僕が考えているうちにジョニーはターンをきめ……真弓とすれ違う……
勝負あり、だな……
しかしその直後!
ジョニーのクロールのフォームが一気に崩れ……彼は頭をプールサイドにぶつけ泳ぐのをやめ、プールの中で立ち上がり頭をおさえもんぜつし
リタイヤとなり………この瞬間、真弓の見事な逆転勝利が確定した!
競争終了後……
ジョニーはまだ痛む頭を摩りながら、プールサイドのベンチに座り花子と談笑している真弓に近づき軽く睨み一喝!
「卑怯もん!」
「なによいきなり! 人聞きの悪い……何、いいがかり?」
ジョニーの言葉に納得がいかず腹を立てた真弓は立ち上がり、彼を睨み返す!
「泳ぐ前、これ見よがしに胸強調した準備運動して、わいの集中力をそいだやろ!」
まさにいいがかりである……真弓は呆れたような顔で
「はっ……そんなの水泳の授業で男子だって、女子の方に向かって股間突き出していやらしい準備体操やってる人いるじゃない!」
「うっ……わいも含めて、確かにおる……でもな、スタート前にわいの前を胸隠して横切ったり……わざと平泳ぎ選んだり、お色気作戦してたやろ!」
「ばれたか……それは認めるわ……でもね、それって競争中によそ見をした、あんたもわるいと思うけど、違う!?」
ジョニーは真弓に言い返されるたび渋い顔で、一歩、又一歩と後ろに下がっていく……
「くそ……何一つ否定できん自分がにくいで……」
悔しがるジョニーに、真弓はため息混じりに
「ジョニー……まあ、泳ぐのがあたしより早いって事だけは認めてあげる……あのままだと負けてたと思う………でも、この勝負はあたしの勝ちよ!」
「しゃあない……でも夏はこれからや! 今度は負けへんで~~!」
「受けて立つわ」
そんな二人のやり取りを、少しはなれた場所で見ている僕に、優子が嬉しそうに話しかけてきた
「もしよろしければ、私達も、競争しませんか?」
「やろう……実は、さっきの競争見て僕も誰かとしたいと思ってたんだ」
そして僕は一コース、優子は二コースの飛び込み台に立つと……皆がそれに気付き
メガネ君先輩は「また僕が合図するからね」と率先してプールサイドに立ち……ベンチからはジョニー達の声援が
「太郎~~! わいのかたきとってくれ~~!」
「お姉ちゃんガンバレ~~!」
「二人ともガンバレ~~!」
やっぱりスタート前はな緊張する~~
「それじゃあ、位置について……用意…………スタート!」
くそ、緊張のあまり一瞬出遅れた!
しかし……僕が着水したとほぼ同時に、僕の後ろで複数の叫び声とプールに飛び込む音が聞こえ!
直感で、これはただ事じゃない!
僕はすぐに泳ぐのをやめ、立ち後ろを振り向き驚いた!
そこには二コースの飛び込み台のすぐ側に集まり優子を呼び続ける皆と、力なく水面に浮く優子の姿があった!
僕は必死で二コースに駆け寄り優子の体をプールから……プールサイドのベンチに移し……メガネ君先輩は「先生呼んでくる!」と校舎の方へと走って行った
僕とジョニーは混乱して右往左往するばかり……情けない!
そんな役立たずな男二人を尻目に、真弓はすぐ優子の胸に耳を当て、首筋に指を当てる等して脈を確認し胸をなでおろす
「よかった、脈はある……」真弓は優子を腹ばいに寝かせ……「花子ちゃん!」
すると花子は優子の口に指を突っ込み、異物の確認をする
「優子お姉ちゃん、何も飲み込んでないよ!」
そして再び優子を仰向けに寝かし気道の確保をする……じんそくな応急措置であり、こういった時の女子の行動力には驚かされる……いやはや、見習いたいものである
さあ残るは……マウストゥーマウス、人工呼吸である……誰がする……いや、運の良いことにここには女子が二人も居るじゃないか、これで一安心。
と安心している僕に……その頼みのつなである
二人の視線が……と思いきや、ジョニーまでが僕に視線を注いでいる!
ちょっと皆さん…………実の妹と、患者の妹の前で異性に人工呼吸しろと? これ、なんて罰ゲーム?
僕は「ダメもと」藁にもすがる思いで目の前にいる二人に、質問に似たお願いを言ってみた。
「真弓ちゃん、なんで人工呼吸しないのかな?」
「あたし、実は虫歯があってお姉ちゃんにうつしたら大変でしょ!」
虫歯は移らないと思うが……
「花子……お願いがあるんだけど」
「わたしじゃ、肺活量が足りないよ~~」
それはたしかに……こうなればジョニー!
視線を送った瞬間ジョニーは僕が口を開くよりも先に、少しふるえた声で真弓を見ながら
「無理にきまっとるやろ……そないな事したら、今度はわいが永遠の眠りにつかされるわ~~」
はは……否定できない
こうなると、僕がしなきゃいけないのか?
でも恥ずかしがってる場合じゃない! 優子さんの命に関わるかも……背に腹は変えられない! ……よし
僕は恥ずかしがる気持ちを振り払い、目を閉じてゆっくりと優子の口に自分の口を近づける……すると、すぐそばで
「あの……太郎さん……」
緊張してるような優子の声がしたので、目をあけると……
まさに目と鼻の先で顔を真っ赤にそめ目を丸くしている彼女と目があってしまい
僕は驚き勢いよく立ち上がったが、その勢いでバランスを崩し、腕を回しながら器用に後ろ歩きして……「あ~~!」と声を上げながらプールにダイブした……まるでコントだ……。
いやはや、我ながら情けない姿である……
と心の中で嘆いていたところに、タイミングよくメガネ君先輩が先生を連れて到着した……が……先生は僕と優子を交互に見て
「で……患者はどっちかね?」
すると優子は先生の質問に、小さく手を挙げ……
「はい、私ですが、もう大丈夫です……ご足労かけて申し訳ありません」
「いやいや……どうやら私の出番は無いようだね……大事にならずにすんでなによりだよ……」
そして先生が去った後……僕達は再び、日は暮れるまで今年始めのプール遊びをを満喫した。
読んでいただき、ありがとうございます。
『山田太郎たちの恋物語・Boys Meets Girls?』
第二十二部『楽しみプールタイム』
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by.メガネ君(作者)




