遠足・天道寺動物園編(その三)
そして………売店コーナーに近づくにつれしだいに漂ってくる、生唾を飲む程のソースの焦げる匂い……たまんない。
ソース関連の食べ物を瞑想しながら……前を行く真弓さん達についていく
「あっ」
突然彼女が開いを止めた……それに気付かなかった僕は彼女の背中にぶつかってしまった
「ごめん」
「………」
無言………怒ってる様子もない………そう、なぜなら彼女も僕同様、食べ物の事に夢中になっていて周りが見えていなかったのだ。
顔を持ち上げ僕も、ジョニー達の見ている看板を見る『THE・TAKOYAKI・NO1』
何だ?……一呼吸おいて視界を広げ店全体を確認して見る………祭りの出店の様なごく平凡で簡素なつくりの屋台、そこまでは良いしかし、ひときわ目立つ金色ででかでかと書かれている『ザ・タコヤキ・ナンバーワン』ふざけている店名、
しかもローマ字で………極めつけは、たこ焼きを焼いている店員が燕尾服を着ている事だ……しかも鼻の下から伸びてるなまずひげ………先程のポップコーン屋のおじさんといい……流石はエキゾチックシティー大阪……侮れん。
その異様さに固まっている僕の前で……真弓が嬉しそうに問題の屋台を指して、ジョニーに
「ここにしようよ~~いいでしょ?」
「ええで、大阪ちゅえばたこ焼き……しっかし、おもろそうな店やな」
「本当に……楽しそうなお店ですね」
お~~い皆、それどうかんがえたって怪しいの間違いでしょ………と心で訴えながらも半ば、僕もワクワクドキドキ心躍らせていた……………さあ、店の前だ!
「ニーハオ……良く来たあるね、お客さん、ここ良いよ美味しい~~ああ、何するね~~?」
かたことの日本語を話し………『ある』と語尾につけるところからして中国人?………否、逆にそれを狙った日本人かも?
等とどうでもいい事で悩んでる僕の隣でまた、真弓さんが口に指をあて悩んでいる……僕と同じ事で悩んでる?
否!
よく見ると……悩んでいるわりに、彼女の目はどことなく虚ろ、締まりのない口元……そして、そこたら垂れかけそうなよだれ……と間一髪、彼女はよだれに気付き我にかえる………も、また……同じ繰り返し。
予想は付くけど訊いてみようかと口を開きかけた時……優子さんが一足早く彼女に話しかけた……どうやら優子さんも彼女の様子を見かねていたようだ。
「真弓、ほらよだれ、はしたないわよ……まあ、貴女の事だから何に悩んでるか予想は付いてますけど……一応念のため、何悩んでるの?」
「せっかく大阪に来たんだから、たこ焼きを食べるのは当たり前」と、そこに
「そや、あたり前田のクラッカー、や!」ジョニーがかなり古くローカルなギャグを放つが……あっさりとスルーされ落ち込む……そんな彼を尻目に彼女はつづけて言う
「なんだけど……これ……」そう言って彼女の指差す先には……「このたこ焼きソバ……それと、タコのから揚げ(略してタコ揚げ)(作者食べたことありません・食中毒にはご用心)……ね、美味しそうでしょ?」
「そうね……」
と姉妹揃ってごくりとつばを飲む……優子さんて、見かけによらず食いしん坊?
「でも真弓……貴女さっきポップコーン食べtばかりでしょ?」
「好きなものは別ばら……って言いたいんだけど……さすがに今回は無理」
「……そうだ……三つとも注文して半分こしましょ、お金は私が全部出すから……それならいいでしょ?」
「良い!……お姉ちゃん、ナイスアイデア!」
「じゃあ、行ってくるわね」
そう、飛び跳ねて喜ぶ真弓さんを横目に見た僕は……そのまま視線をジョニーに移し、一言
「じゃあ、せっかくだから僕達も同じ物を注文しようか……たこ焼きの代金は出すから……それ以外はジョニーのおごりで」
「おいおい、きっちり五分五分にしてくれへんか? って、さっきポップコーンの金、全部出してくれとったな……分かった了解や」
「じゃあとりあえず、代金は後日回収ってことで……じゃ!」
そして男女それぞれの代表として僕と優子さんが注文する為屋台の前に立つ……まずはレディーファースト優子さんから。
「すいませ~~ん」
「はいはい、何にするね?」
「たこ焼き一つと、たこ焼きソバ一つ、それとタコのから揚げ二本……お願いします」
「あっ……僕も同じ物を、お願いしま~~す」
僕と彼女の注文を聞くや否や……目の前の、見るからに怪しいなりをした店員のおじさんは、手を打ち鳴らし万歳をする等オーバーアクションで驚いたように声を上げる
「アイヤ~~お客さんあなたすごいよ、よくみつけたね!……それ看板に書いてない、とても人気の隠しメニューあるね!」
確かに看板には書いていない、しかし……隠すもなにもおじさんの後ろの、メニュー表に大きな文字で書いてあるじゃないか………つっこむべきだろうが、そこがかれの狙い……すぐさま寒いボケで返されエンドレスになりそうだな……よし!
「いや~~どうも」よ愛想笑いで場の空気を流し、事なきを得た。
作り置きをしていなかったのか、店員のおじさんが手馴れた手つきで僕達の注文した料理を作る………強烈に立ち込める油とソースの匂い、たまらなく旨そう……すると、それに引き寄せられるかのようにジョニーと真弓もやって来た。
それから約五分後………完成!
僕達は代金を払い料理を受け取り……蓋をしていても昇ってくる匂いに、つばを飲みながら……すぐ側に在る丸テーブルにすわった。
「いただきます」
……と、毎度すぐ始まる優子さんと真弓さんの食前のお祈り……しかし今回は短く十秒ほどで終了……彼女達もとくに真弓さんは、この匂いには抗えなかったのかな?
そして………そのあまりの美味しさに僕達は………ものの十五分ほどで完食!
「ごちそうさま」
そして、五分ほど空を見上げるなり小休止をとり、立ち上がり……容器等をゴミ箱に捨て
「さあ、次は真弓さんのリクエスト……肉食動物エリアに向かいます」
「さあ真弓、まずはどこから回りたいの?」
そう言って、優子がテーブルに園内地図を広げると、待ってましたとばかりに真弓が覆い被さる様に覗きこんだ!
「やったーー! ……って喜びたいとこだけど……またここから、中央広場まで戻らなきゃ駄目なんでょ……やだな~~」
「真弓、わがまま言っちゃいけません」
「だって遠いいんだもん……ねえ、近道とかないの?」
ため息混じりで困り顔で訴える彼女に
「近道、ねぇ~~」とジョニーは、地図を独占する様に覗きこみ……そのため僕は地図を見る事が出来ず、彼のとなりで周りを見回してみた
すると……有った!
「近道の代わりに地下道ちかみなら少し歩いた所に在るけど……行く?」
そう、二十メートル程向こうに在る『エリア移動地下通路』と書かれている看板を指差すものの……言い方が悪かったのか
「は?、太郎君あんた、なに言ってんの?」とあっり真弓さんに鼻で笑われた……が、僕はあきらめず言いかえ、否、言い直す。
「ほらあそこの看板……よく見て……『エリア移動地下通路』……分かってくれた?」
「ええ、太郎君良く見つけてくれたわね……おてがらよ」
指先を合わせ喜ぶ彼女の斜め下では……
手柄をとられたジョニーが悔しそうな顔で睨むので、すかさず僕は「ごめん」と小声で謝ると、彼はためしかたないかと息を洩らし…………無言で許してくれた、と思う。
そして僕達はゆっくりと立ち上がり『エリア移動地下通路』へと歩き出した……………とその途中
真弓が僕達の前に飛び出し、何を見付けたのか嬉しそうに目を輝かせ、販売エリア長屋の様に並ぶ店舗の一つを指差し
「あっねえ、ちょっとここ寄ってって良いかな?」と聞いてきたので
僕達はそろって「どれどれ」と彼女の指差す店を見る………店先には幾つもキーホルダーが吊られ、ワゴンには動物のぬいぐるみ、棚にはクッキー、壁にはバックや防止などの装飾品………つまり土産物の店だ。
僕とジョニーはすぐに「良いよ」と頷き、優子も「可愛いお店ね行きましょ」と全委員一致。
「ありがとう!」嬉しそうに礼を言うなり真弓はすぐさまその店に駆けて行き……早速、キーホルダーを手に取って眺めている。
僕達は、そんな無邪気な彼女の姿に内心驚き……軽く笑い、顔を見合わせながら彼女のもとへと向かった。
ファンシーな店の中……その慣れない雰囲気に僕とジョニーは、言葉を失いたじろいでいると………
「これなんて、どうかな?」
突然、真弓に話しかけられ僕は「はっ」と我にかえる………見ると彼女は肩からバッグをかけていた……金色のチェーンに、トラ柄のバッグ……なんとも派手でけばく正直僕の好みではない……視線を動かす、どうやらジョニーも僕と同意見のようで……
二人揃って渋い顔をならべている。
しかし彼女は、そんな僕達の事はお構い無しに、もう一度「どうかな?」とコメントを求めてきた。
するとジョニーが渋い顔をさらに渋くし『仕方ないな』と一度ため息をつき
「なんかそれ、おばはんくさいで……げんにそれと同じもん、わいのおかん持っとるで………まあ、あれ見てみ」
僕達は彼の視線の指す方を見ると……「げらげら」と笑い声を上げ、アフロ寸前のパーマをした二人の年配女性が歩いており……肩には……今まさに、真弓が肩にかけているのと同じデザインのバッグが揺れている!
衝撃の事実!………さすがの真弓もこれには慌ててバッグを肩から外し、急いで元の場所へと戻した……ものの……バッグへの思いが消えずぼ~~っと壁にかけられているバッグを見ている……どれも高そうな物ばかり。
どう声をかけて良いのかと困っていると………
ジョニーが店先で「真弓ちゃん、こんなんはどうや」と少しボリュームを上げ声をかける。
すると彼女は素直に彼の呼びかけに応え店先に出てきて、彼の側にあるワゴンに積まれたバッグを一つ手に取り見ていると……テレビ伝道師よろしくジョニーが説明を始める
「どうやこのバッグは?艶のある合成レザーと金メッキの金具で豪華に見えながらも……お値段はなんと一個九百八十円!……お買い得でっせお客さん」
「ごめん……ちょっと子供だましみたいで、好みじゃない」と申し訳なさそうな声でバッグを戻した。
そのまま……打つ手無しと落胆にも似た表情でうつむいている真弓が、軽くため息を漏らしながら僕達の方に振り向こうとゆっくり顔を上げた時
「あっ」呟くような声をもらしげワゴンの隅を見つめている………どうやら何かを発見したようだ!
すぐさま彼女は手を伸ばし、視線の先にある物を手にとった………それは……先程彼女が「子供だましみたいだ」と戻したバッグよりも「子供受けしそう」幼稚園児が使うような、なんとも可愛らしいライオンの顔したショルダーバッグだ……。
こんなの女子高生に……ましてや、革ジャン姿の真弓さんに似合うわけが………って、何気に似合ってる……焦げ茶色の革ジャンに、ストレートジーンズにブーツを高クオリテーィーに着こなしダンディズムさえ感じさせる、しかし時折見える可愛いライオン
これはまさか……ファッションにおける『ツンデレ』というものではなころうか!
一人、衝撃を受け固まっている僕の耳に「それ違う、ただのアクセントと思う」と真弓さんが呟く。
まさか口に出してしゃべってた?
慌ててジョニーの方に目をやったが……べつだん変わった様子は無く、彼女の持っているライオンのバックを見ている
勘違い? ……まあいいか……とりあえず庶民なら誰しも気になる事を。
「真弓さん、そのバッグいくら?」
「なんと三百八十円!、安いでしょ~~」
「たしかに……」
と言いながら僕はバッグのタグに貼られている値札に目をやる……値札は何重にも貼られ……バッグが元はそれなりに高かったであろう事をものがたっている。
どうやらジョニーもその事に気付いているらしく「ええんやないか」と半ば感心した様な顔で返事をしているころに、ちょうど優子さんも来て「真弓、良い物見つけたわね」とほめ言葉を……。
その事に気を良くした彼女は満面の笑みを浮かべ、声高らかに
「でしょ~~、ちょっと待ってて買ってくるから………その後すぐ地下通路を通って肉食動物エリアに、レッツゴーーー!」
拳をつき上げレジに向かう彼女
その後ろ姿を見……ご機嫌だなと僕達の顔も、自然とと笑顔になる。
そして、レジで会計を済ましついでにタグもその場で取ってもらい……財布やポケットのハンカチ、携帯電話等をバッグに詰め、肩にかけ戻って来た彼女は、そのまま足も止めず「お待たせ、レッツゴーー!」と僕達の側面を通過しながら明るく号令をかけ……
僕達三人は回れ右して彼女の後に続いた。
そして階段を降り…………エリア移動地下通路……思っていた以上に長い通路と、予想どおりむき出しの蛍光灯意外何もない殺風景なトンネル………まあ部分的に白いペンキ剥がれているとはいえコンクリートむき出しよりはましか……って
こんなトンネルさっさと出るにかぎる。
「しっかしそのバッグ、なんでライオンなんて選んだんや……女の子やったら他にウサギとか可愛いのあったやろ?」
そう不服そうな顔でバッグを見ながら質問するジョニーに、真弓はバッグを撫でながら答える
「想像してみてよ……ね、ライオンて猫みたいで可愛いじゃない、ほら、たてがみとかふわふわしてて、顔うずめたくなるじゃない……それに毛並みも良さそうだし……喉なんか撫でたら、気持ち良さそうに『ガオ~~』って鳴いてくれそうじゃない」
「猫みたいって……だったら」と苦笑いしながら返事をしてる途中………
『ジリリリリン!!』突然鳴り響くサイレンに、僕達は口と足を止め『何事だ』と周りを無まわし、顔を見合わせた!
直後、肉食動物エリアの方から沢山の叫び声が!
読んでいただき、ありがとうございます。
『山田太郎たちの恋物語・Boys Meets Girls?』
第十七部『遠足・日本橋オタロード編』
いかがでしたか? 気に入っていたたけたら是非
ブックマーク ・ ☆一つでも、評価をいただけると……
とてもうれしく、励みとなります。よろしくお願いします。
by.メガネ君(作者)




