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○○の中間テスト……気晴らし(前編)

 中間テスト前日の朝。

路地裏の電線でさえずりあう雀たちのこえに目を覚まし時計を見ると『六時十分』

 私は、机の上で開いたままの問題集に(予習は完璧かな)とさそわれ、パジャマのまま一時間ほどテスト勉強をした後「また夜にね」と呟きキッチンへ。


 二人分(真弓と私)の朝食を作り先に食べ……リビングで掃除機をかけながら、ふと壁の時計に目をやると、もう『十時』です!


 私は昨晩から姿を見ていない真弓の事が気になり……ノックしても返事が来ない『MAYUMIsROOM(真弓の部屋)』と書かれたドアを「入るわよ」と言いながら開き入る……


 濃い紫の遮光カーテンで締め切られ薄暗い空間は、どくとくな雰囲気を漂わせる、電気が付いたままの机には、飲みかけのコーヒーカップと、教科書ノートが散乱し、楽天的な真弓にしては珍しく、努力のあとがみえる。


 これもジョニーさんのおかげね……そして本人は、慣れない徹夜勉強の疲れでしょうか? だらしなく服を床に脱ぎすて……下着姿でベッドに転がり寝息をたてる。


 机の上以外いつもの光景。とはいえため息が出ます。



(真弓……もう少し自分が女の子だと自覚、意識しなさい)

 散らかった部屋……条件反射的に片づけを始める私の背後で、寝たままお尻をかき『へへへ』と笑う真弓。


 私は気持ちを鬼に、カーテンと窓を開け放ち。部屋中に降り注ぐまぶしい朝日と吹き込む風に、体を丸くする真弓に向かって大きな声で。

「真弓、いい加減に起きなさい!」

「あと五分」


 寝ぼけた声でもぐりこもうとする布団を、両手で強引に剥ぎ取り、大きな声で彼女を起こします!

「わがまま言うなら、朝ごはんあげない!」


(こう見えても、食いしん坊)

真弓は耳をピクリとさせ、眠そうに目を擦りながらうつろな目で私を見て

「朝ごはんどこ? ……お姉ちゃんおはよう……今何時?」

「もうすぐ十一時! キッチンのテーブルにサンドイッチ作ってるから早く食べて……午後から川原でマラソン付き合ってくれるんでしょ?!」


 真弓はベッド側にある姿見にうつる寝癖だらけの髪に気付き、ベッドから飛び起き両手で頭をおさえる

「そうだった……って寝癖! シャワーしてくる!」


二階の浴室に向かう真弓を呼び止めようとしたものの

「真弓! サンドイッチはどうするの?」

「後で食べる!」

こうと決めて走り出した彼女を止めるなんて不可能。


 気づけば十一時……昼ごはんに改名される、朝ごを見て

(空腹のままランニングは良くないわね)

と余った材料で小さなサンドイッチを作り……かるく(真弓の部屋)掃除のつづきを終え。机上に有ったカップを洗っていると


「すっきりさっぱり」

正午のチャイムとともに、まだ少し濡れた髪をタオルでたたいている、上下ジャージ姿の真弓がリビングにきた。


 私はインスタント・ホットコーヒーを、二人分つくり、互いのサンドイッチ横に置き。対面するように座る私を見た彼女は、すぐさまタオルを丸めてテーブルに置き、席につく。


「「いただきます」」

そして、コーヒーでサンドイッチを流し込んで一呼吸

「お姉ちゃん、待ち合わせって、たしか川原の河川敷野球場に一時だったよね、普通に行って間に合いそう?」


 私は時計を見ながら……彼女の質問『普通に』と言うをあえて考えてる……それはたぶん

羽を実体化して飛んだり、法術で瞬間移動などせず。

足で歩く走る、乗り物を使ったり、人として(人間レベル内で)常識的移動方をさしていると……思いたい。


「自転車でなら、なんとか間に合いそう、急いで行きましょ」

「うん」



 そして自転車を走らせること十数分……堤防を行く私の目に河川敷が見え……さらに近づくにつれ得点ボードの側で時計を見ている太郎さんと、腕組をしているジョニーさんの姿が見えた事が、自然とペダルをこぐ足を早くさせます。


「いい事思いついちゃった」

と言うなり真弓は、激しく自転車を左右に振りながら立ちこぎ『ダンシング』をし、

速度を上げ、見る間に離れていく背中からくる妙な不安を消せない私は、彼女に少しでも追いつこうとそろって『ダンシング』を始める。


 坂を下り自転車を止めようと駐輪場に向かう私をよそに、真弓は太郎さん達の正面で自転車を急停止させた……舞い上がる砂埃。

 驚いた表情で思わず一歩下がる太郎さんと、真弓の思惑にさからい、その場に立ち彼女の目を見るジョニーさん。

『気に食わないとばかり』真弓が彼を睨み返したのは言うまでもないでしょう。


「よく逃げなかったわね、その勇気ほめてあげる」

「勇気なんて関係あらへん、ワイら向いて自転車とばしてきた時『なんかしにくるな』てって思ったら、案の定や……それに第一わざと人ひくアホな事してまう女やないて信じとるからな」

「ふふっ。なにそれ、もしかして格好つけたつもりなの。笑える」


 真弓たち三人が居る得点ボード下に向かう私の目に、指をさし肩が震えるほど笑う彼女と、なにやらうつむき頭をかくジョニーさんの姿が

(このままじゃまた喧嘩に)

真弓に注意しようと急ぎ駆け寄る私の変わりに、電子アラームが彼女の笑い声を止め(見事その場を収めた)


 太郎さんが、アラームを鳴らしている携帯電話をポケットから取り出し

「あ、ちょうど今一時になったところだから……とりあえず真弓ちゃん自転車(それ)、駐輪所に止めてきて」

「はい」


 少しすねた顔で自転車を駐輪場についていく真弓といすれ違った私は、瞬間理解し、急いで太郎さん達の前に駆けよるなり、挨拶もそこそこに


「皆さん遅くなってごめんなさい……ジョニーさん、また真弓が失礼な事を」

 頭を下げ謝る私に、柔軟体操を始めたジョニーさんが体をひねりながら、苦笑いで言葉を返した。

「まあ、いつもの事やから気にせんでええて、それよりはよ走ろか」と鼻で笑うように明るい声で許してくれました。


 一件落着したところに、真弓が戻ってきた。


「でさぁ、この球場、堤防、どっち走るの?」

質問に太郎さんは、球場入り口の看板に目をやり、指さしながら


「学校のグラウンドと同じ土の上でするのがベストだろうけど、鎖がかけてあるうえ、ほら、許可がないと入れないから、堤防だね」

「ふん、鎖なんてまたいで入ればいいじゃない」

「おいおい、小学生までやったら大丈夫やろうけど、わいらの場合、学校に呼び出しくらって、テストどころやなくなるで」


 真弓の意見に同意してしまいそうなジョニーさんが、珍しく常識的な言葉をかえし、納得した彼女はため息まじりに

「じゃあ、堤防を何週走の?」

「すみません私、体力には自信がなく、つづけて何週も走れないので、一周してから河川敷のベンチで休憩させてもらっても良いですか」

申し訳ないと小声で返す私をフォローするかのように、真弓が胸の高さで拳を握り

「それを太陽が沈むまで、スタミナの続くまで何セットでも続けるんだよね、お姉ちゃん」


普段は私の事をおもい優しい真弓のスパルタ発言に

「ちょっまっ……」

と言葉を失う私の背中から、感化されたジョニーさん

「二人とも気合入っとるな、まけへんでぇ」


あれよあれよと事態は『少々私の望まぬ方向へ』……

(さぁ私の体と心は最後までもつのでしょうか)思わず諦めに似たため息がもれた。

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