プロローグ(後編)(太郎)
『プロローグんおくせして後半あるのかよ』
などと嘲笑したい気持ちは理解できるが……気にせず話を続けさせてもらおう。
放課後のチャイムが響く
僕は鞄に筆記用具を詰めながら安堵の息をつき……今日もやっと終わったと、隣で同じく帰宅準備をするジョニーを見て『いつもの一言』のように気軽かつ気の抜けた声で
「とりあえず図書室行っとく?」と疲れ気味の声をかけると
「ええな行こか!」
元気な声がかえってきて……その声に元気をもらえたような気がする
(ありがとう)
鞄を手に僕達は一緒に教室を出る。
目的地である図書室は、正門から見て正面三階に位置し、そこから見える景色は(正面で回転するカラオケの看板を除けば)格別なもの正に『オーシャンビュー』だ、遠くには小島『天人島』も見え、学校一の絶景ポイントといえよう。
感心するのはまだ早い!
僕達の学校の図書室は……といっている間に大きなガラス張りの扉の前に到着。
中に入ると相変わらずの大空間が広がり、沢山の机とイスが並ぶのは図書室だから当然といえるが、この図書室は一味違う、革張りの豪華なリクライニングシート数脚、ネットの出来るPC十台以上、寝そべって読書するコーナーまで有り!
本棚には辞典・専門書・名作小説・ライトノベル……ゆくは漫画・新聞の切り抜き四コマまで、とありとあらゆる書物が並び……ついで奥の『重要書庫』と書かれた怪しげな、鍵のかかった扉の向こうには、呪いの原書すらありそうないきおい!
と、最後の呪いの原書は冗談として……僕達はすぐさま図書室入り口右側、司書の机に置かれている名簿の出席欄に斜線を入れる。その表紙には『文芸部出席名簿』と書かれている。
言い忘れていた……僕達は二人揃って文芸部員だ……似合わないって?
では説明しよう。
メリヤス高校の生徒は厄介な事に、必ず何か一つのクラブに所属しなければいけないと校則で決められている。
中学校で帰宅部だった僕達が、今更運動部に入ったところで『皆の足を引っ張る』というよりも『居辛いだけ』……では美術部等、文科系のクラブ、といっても手先がそれほど器用じゃない僕達には不向きだ。
あれもだめこれもだめと、無気力でわがままな取捨選択のを繰り返して導き出した答え……それが、本を読むだけでちゃんと部活動した事になるの文芸部だ、しかしここにもわがままな問題が。
僕達は活字離れ真っ只中の世代『長い文章を読むなんて、まっぴらだ』
よし、こうなったら……薄暗い室内で本を読むふりをして、そのまま本をアイマスク代わりに顔にかぶせて寝よう、等ふざけた事を頭の隅で画策しいたところに…………この衝撃的な図書室!
正にカウンターパンチを食らったような衝撃をうけた。
それからの僕達は、夢中になり毎日楽しくせっせと図書室に通うようになり部員になった、というわけだ。
話をもとに(現代に)戻そう。
僕達は、前で椅子に座り少し俯き加減に本を読んでいる男子生徒の背後に近付き「先輩こんにちは」と背中越しに声をかけると、彼は本すぐにを閉じ僕達へと振り向くと「太郎君ジョニー君こんにちは」と軽く頭を下げた。
(これはいけない)と僕達もあわて会釈を返す。
もののついで簡単う紹介しよう……彼の名前は『メガネ君先輩』二年生で、この文芸部の部長をされている………ちなみに外見は、痩せ型でメガネを掛けた根暗なオタクといえば容易に想像がつくだろう……つまりそういう類の男性だ。
それから僕達は思い思いの場所での場所で読書、を始める……もちろん終始無言というわけでもなく、ちゃんと会話もあったものの
「後輩諸君、もう学校には慣れたかね?」突然の質問。
「まぁ慣れてきている最中です……でも通学距離は中学時代よりも少し短くて既に慣れっこです」焦り気味に答える僕。
「嘘こけ今日、火口先生の授業中に寝てとったくせに……まぁわいも授業中寝る事あるよて人ん事言えんけどな」ツッコミを入れるジョニー。
「ほぉ、あの鬼の英語教師の授業で、そりゃたいしたもんだハハハ」笑うメガネ君先輩。
など、なんとも社交辞令的なプツプツと途切れるような内容だが……図書室で男同士、しかも読書中の会話だ、この場合これ以上に話さなくて良いと僕は一人納得し読書を再開する。
一時間後……多少の誤差はあったが、僕達は本を読み終え、その気持ち良さにため息をつき、数分余韻に浸っているとジョニーが口を開きながら立ち上がり僕の肩をポンとたたく。
「ほなわいら、そろそろ帰りますわ、太郎、行こか」
「うん」
僕は頷き立ち上がりジョニーと本を漫画コ-ナーの棚に収めて、また別の本を読んでいるメガネ君先輩の側に立ち
「ではメガネ君先輩、お先しに失礼します。さようなら」
「メガネ君先輩、さいなら」
「さよなら、また明日」
そう少し早口にメガネ君先輩と挨拶と会釈を交わし、鞄を手に図書室を出ていった。
校門前……振り向く僕の目にうつる、ゆっくりと黄昏染まっていく校舎が、なんとなくもの悲しく思えた。
「今日も一日、終わった」かるく感傷に浸る僕に
「せやな……さっさと家に帰って、飯食って、風呂入って、屁ぇこいて、寝よか」
「宿題と歯磨き、忘れてる」
「わかっとるって、ちとボケただけやがな……ほな一緒に帰ろか」
ジョニーは笑顔で僕の背中をポンと軽くたたくなり、足取り軽く先に歩き出した。
親友ながら、つくづくジョニーって、元気だよな「うらやましい」
……………………………って! これで一日おしまい!?
いやはや、全く『時の経つのは早いものである』と心底思い……加え、こんな変化に乏しい僕達の日常を読んでくれてる人達『読者様』に申し訳なさも感じつつ
プロローグを終わらせてもらい……続く第三部を読んでくれることを期待します。
「さようなら」「さいなら~」




