↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/76

プロローグ(前編)(太郎)

『時の経つのは早いもの』なんて十六歳の僕が口にいたら、きっと皆に

『親父臭い』等と笑われてしまうだろうるだろう。


 だけど事実、時々そう思ってしまうんだから仕方ない。

何せつい先週、入学式があったかと思えば『あっ』という間に今はもう四月も半ばなんだから。


 ここは『県立メリヤス高等学校』一年三組の教室。


 僕は今日も後方窓際二列目の自席に座って、ただ黒板に書き出される文字を淡々とノートにうつし大人しく授業を受けている。


『これで良いのか満足か僕の人生』と言いたくなる程、なんとも代わり映えのない退屈な毎日で、欠伸が出そうだ。


 と不意に、中庭で満開の花を見せる桜の香りを微かに含んだ柔らかな春風が教室のカーテンを揺らし、その隙間からは木漏れ日のように光が差し込む。

 そのなんともいえぬ『春の誘惑』が、優しく僕の意識を夢の世界へといざなった。


……所変わって『夢の世界』……。


 どこまでも広がる青空と、そよ風になびく緑豊かな草原に寝そべっている僕は、ここでも眠りにつこうとしている……とそばに、白い服を着た少女が現れ、耳元で優しくささやく

「起きて……起きて下さい……はやく」


 その優しくせかす彼女の言葉に

「あと五分」

なんともベタな寝言を返す僕……すると少女の声は徐々に聞き覚えのある、野太(のぶと)い男の声へと変わってゆき……しまいには


「ウェイクアップ ミスター 山田!」


英語の怒声に変わり果て、夢の世界は破裂する風船の様にはじけとび、一気に現実へと引き戻された僕は上体を起こし、寝ぼけまなこで周囲を見渡す……。


 当然ここは教室、クラスの皆が苦笑交じりの複雑な表情で僕を見ている。

(注目の的?、照れるな)と愛想笑いを返そうとした時


「おはよう山田太郎くん、先生の英文朗読は眠ってしまうほど心地良かったかね~!」


(よかった今度は日本語だ)

などとふざけた思考すら出ないほどの怒りに震える声に、僕は悪寒に肩をすくめおずおずと声の主を見上げると、そこには鬼瓦の如く真っ赤な顔をした男が腕組をして仁王立ちしている!


 これが条件反射というものか、僕は思わず「はい」と肯定してしまった。


「そうか正直でよろしい……では『先生が納得するまで英文で反省文』と『教室の隅でこの授業が終わるまでヒンズースクワット』どちらがお好みかな?」


 相手は陸上部顧問も兼任する『火口先生』通称『鬼の英語教師』……そう、模擬回答はすでに出ている。


「ヒンズースクワットでお願いします!」

「よくぞ言った、では反省しながら教室の隅で、思う存分ヒンズースクワットを楽しみたまえ」


 僕は一人心の中で(反省すれば良いのか、楽しめば良いのかどっちなんだ)と軽くつっこみを入れながら教室の隅に立ち……溜め息一つ……すぐにヒンズスクワットを始めた。

『一・二・三・四・五・六・七・八・九』

 授業とスクワット終わりのチャイムが鳴り……十五分間スクワットをやり終えた僕は、妙な達成感と疲労を胸に自分の席にもたれ両腕を垂らし『ぼ~』と虚ろな目で天井を見上げている……と窓際の席に座る親友のジョニーが、笑いながら僕の隣の右肩を小突いてきた。


「ヤーイヤーイ、授業中になに寝て怒られとんねん、シャキッとせんかい」

しかしあまりしつとく突くので、僕は席に座っているジョニーを睨み声を上げた


「常習犯のお前になんかに言われてくない、僕は初犯だ!」

「冗談、冗談やてそんなに怒らんでもええやんけ」笑い飛ばし言葉をつづける「昼休みや……腹も減った事やし学食(学生食堂)いこか」

「うん」


 僕は頷き立ち上がり、ジョニーと一緒に教室を出た。


 ちなみに僕達の教室は二階に位置し、裏門付近に在るの学食とは歩いておよそ五分と少し距離がある。

(今日は何にしよう)と考えている僕の肩にジョニーが手をのせ声をかけてきた。


「手ぇ洗うついでに、小せえへん?」

大阪人の血が混じっているせいだろうか、女子生徒が側を歩いているにも関わらず、ジョニーは平然と『トイレ宣言』をし階段わきのトイレを指す。

「うん、べつにかまわないよ」


 数分後……僕達は用を済ませ手を洗っている。

顔を上げると少し鏡面の剥がれた鏡があり、当然そこには僕とジョニーの姿がうつっている。


 ちょうど良い、簡単に僕達の外見と紹介説明しよう。


 最初は僕から、名前は山田太郎。

ルックスは背が少し低い以外はいたって平凡、だと思う。

学力、体力共に平凡と……とまあ凡人を絵にかいた様な自身と、変化の乏しい繰り返しの毎日に不満を感じる反面、それに安心している、どこにでも居そうな一高校生だ。


 続いてジョニー、名前は村上ジョニー。

僕とは小学生からの親友、アメリカ人の父と、大阪人(日本人)の母の間に生まれ、その為天然ふさふさの茶髪をもち、身長と鼻が高い。そのチャラチャラした言動で友人は多く、や外見のおかげか妙にもてているとか……短所は、負けず嫌いで怒りっぽく……少し、いやかなりスケベな男だ。


「なに『ぼー』としとんねん、早よ行くで」

ジョニーの声で我にかえった僕は

「ごめんごめん」とすぐさま言葉をかえし、トイレを出て一路、学食へと向かった。


 数分後……僕達はお腹をすかせた学生でにぎわう学食前に到着した。

校舎と同じ白い鉄筋コンクリートの平屋……外にはジュースの自販機三台と、所々錆びた自転車小屋が隣接している。

 二段ほどの階段を登り早速入ると、柱が無い為か、中は相変わらず広く、出入り口のすぐ側には『食券の自販機』が二台並んで稼働中。

 視線を下に向け濃い緑色の床に描かれている矢印を辿っていくと……注文カウンターには今日も軽く十人以上、長蛇の列が出来ている。


(出遅れたかな?)


食券販売機の前『カレー』『ラーメン』等、人気上位のメニューには売り切れを意味する赤い光が目立つ。

仕方ないかと僕とジョニーは、さほど迷わずそろって人気の無い『サケ定食』と渋いメニューを選び……注文カウンターに並び数分後、推定年齢四十歳のオネエサン(以降、学食のおばちゃん)に食券を渡し

カニ歩き、横の受け取りカウンターに移動すると……表情から察するに、予想外の注文に作りおきが無かったらしく怪訝そうな顔をした学食のおばちゃんから、アルミトレーにのった旨そうに湯気をあげる昼食を受け取る。


テーブル席は満員なので、今回は外を見るように並ぶ窓際のカウンター席に決めた。


 僕達は座ることすぐ「「いただきます」」と手を合わせ、食べ始めた。

余談だが割り箸が『上手に割れました』今日は良い事あるかも。


 食事中……少し空腹も落ち着いたところでジョニーが僕に質問してきた。


「さっきの寝言『あと五分』てゲームのしすぎか?」

「まあね昨晩、花子(妹)とレースゲームで白熱して。ぼろ負け……今度こそ今晩にでも勝ってやる……でも、あの声」


「例の『時々聞こえる女の子の声』っちゅうやつか?」

急に心配そうな顔で僕を見るジョニー。

(これはいけない)と僕も真面目な顔で答える。


「うん……忘れようと意識すればするほど、妙に気になってしまうんだ」

と言葉をかえし、つづく彼の言葉に期待する……しかし


「それって」

「……」


「それって単に、欲求不満やないんか? 性的に」

笑いながら答えるジョニー『なんとも彼らしい』というべきか、箸を止め真剣な表情で、検討外れ予想外の返答を言うジョニーに、僕は思わず咳き込んでしまった!


「エロ本百冊(以上)隠し持ち、僕も含めクラスの男子に貸し出してくれてる本人に言われたくない……夜中、使わせてもらってるよ」

「そりゃなによよりや。ハハハ」と笑いながら僕の背中をたたき「で、この後どないする?」



 話題を変えてきたジョニーに、僕は携帯を開き時計を確認した。

(あと十分で昼休み終わりか)

「もうすぐで授業だから大人しく教室で寝てるよ」

「そやな、わいも大人しゅうしとこか」


 数分後……昼食を食べ終わった僕達は、アルミトレーごと食器を返却棚に置き、学食を出て、宣言どおり教室の自席で束の間の休息をとった。



 そして、少しノイズ混じりのチャイムに起こされる………さあ授業の始まりだ。

退屈な授業風景はかつあいして……放課後。

読んでいただき、ありがとうございます。

『山田太郎たちの恋物語・Boys Meets Girls?』

第一部『プロローグ・日常(太郎)』

いかがでしたか? 気に入っていたたけたら是非

ブックマーク ・ ☆一つでも、評価をいただけると……

とてもうれしく、励みとなります。よろしくお願いします。


by.メガネ君(作者)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。