はじめての部活?(太郎)
ここは図書室けん、僕達文芸部の部室。
カーテンを引き忘れた全開の窓からは、まぶしい夕日と、涼しい風が……
グラウンドや体育館から聞こえる元気な運動部の掛け声に、途切れ途切れの吹奏楽部の音が混ざり合った、放課後独特のアンサンブルを運んでくる……。
無人の貸し出しカウンターには『百人以上部員がいるんだ、今日こそは』と名簿が開いたまま置かれ……昼休み以降、五つしかチェックが入っていない。
つまり現在ここには……部長メガネ君先輩、僕、ジョニー、優子、真弓……の五人が、円卓を囲むように座り、漫画、小説、雑誌など思い思いに読書を楽しんでいる……。
「少な!」
図書室中に響き渡る真弓の愚痴に、驚き思わず周囲を見渡し息を漏らす。
そんな僕の隣で本を読んでいた優子が、遠慮がちに質問してきた。
「すみません。他の部員さんや、顧問の先生はいつこられるのですか?」
その質問に『待ってました』とばかりメガネ君先輩がすっくと立ち上がると、立てた指を振りながら、なんとも得意げな口調で答える。
「我が部は、本を借りるだけで、出席したことになるから、他の部員はみんな、休み時間などに本を借りに来て条件をクリアーしているから大丈夫……顧問の先生こそ『名ばかり顧問』といった感じでにめったに来ない……まったく困った先生だよ。ははは」
いまひとつ分からない自己満足な彼の説明を聞くたび。
((なんとも参加意欲に欠けてる部員と、無責任な顧問だ))
と黙ってり再び静かになった図書室。
ばらばらに立ち上がると、僕とジョニーとメガネ君先輩は寝転び漫画を、優子は椅子に座り詩集を、真弓はリクライニングシートでファッション雑誌を……各々すきな場所で、気ままに読み始める……。
数分後……。
「よっこいしょ」
とメガネ君先輩が口に出し、ゆっくり立ち上がり
「こっちに来てくれ」
と手招きし、再び僕達を円卓に呼び集めるなり彼は、窓の外を指さし、笑みを浮かべながら提案してきた。
「突然だけどみんな、新入部員歓迎を兼ねて、近いうちにカラオケに行こうと思う。もちろん部費で、どうかな? ん?」
ジョニーが質問を返す。
「メガネ君先輩、部費っつうことは……タダで行けるってこと?」
「もちろん……でも追加メニューや、延長は無しだけどね」
待ってましたと言わんばかりに、ジョニーが勢いよく立ち上がり『賛成』と手と声を上げる。
「タダでカラオケ? もちろん大賛成や! わいは行くで!」
それを見て負けじとばかり、真弓も立ち上がり、優子を誘う。
「あたしも行く! 皆にあたしの美声聞かせてあげる! お姉ちゃんも行くよね?」
「もちろん、太郎さんは?」
(みんな参加か……ジョニーと真弓ちゃんは、やる気満々だな……よし!)
「もちろん僕も行きます。カラオケは久しぶりなので楽しみです」
僕も頷き賛成し、全員一致でカラオケをする事が決まるなり、メガネ君先輩が集合時間と場所について提案してきた。
「ありがとう。みんな参加してくれるなんて嬉しいな……で、やるなら早い方がいいよね。ゴールデンウイーク初日の午後二時……集合場所時は学校の近くの『カラオケBOXドレミ』の正面駐車場……ということでどうだろう?」
すぐに僕とジョニーは頷き賛成するそばで……
優子と真弓は顔を見合わせている……と、申し訳なさそうに小さく手を挙げ質問する。
「集合時間については問題ありませんが……すいません、私達となり町にいるせいか『カラオケBOXドレミ』というお店がどこに在るのか分からないんです」
「学校の近くにあるってどこよ!」
二人の質問に、僕たち三人はそろって不思議そうな顔をして窓の外に目をやる
「ほら……そこに看板が見えるでしょ? あの店の駐車場が集合場所……分かったかな?」
と、メガネ君先輩の指差す先には『カラオケBOXドレミ』と書かれてる大きな看板が在り……それに気づけなかった優子は少し恥ずかしそうな顔でうつむき、真弓は「ははは確かに」と笑ってごまかした。
……そんなこんなで思いのほかスムーズに集合時間と場所も決まり……最期、付け足すようににメガネ君先輩がブレザーの内ポケットから携帯電話を取り出し円卓の上に置き
「もし急用等で、来れなくなった時の為に連絡先の交換したいから……皆、携帯電話出してくれるかな?」
言われるがまま僕とジョニーは携帯電話を取り出し、アドレス交換の準備をしていると……今度は真弓が照れ隠しで笑いながら
「いやあ、実はあたし達、携帯電話もってないんだよね……一応このゴールデンウィーク中に買おうとは思ってんだけど……とりあえず、今は、自宅の電話番号でいい?」
僕達は、真弓の言葉にそろって頷き、彼女の生徒手帳の電話番号を携帯電話に入力し……。
メモ用紙に三人の自宅と携帯電話番号を書いて渡している僕の気持ちをジョニーが、意地悪く代弁する。
「おいおい真弓ちゃん、そんな今風ななりして、携帯電話を持ってない女子高生って珍しいな……それにこの長い電話番号も……ほんまに隣町に住んどんのか?」
「うるさいわね!」
視線をそらし悔しがる真弓に、くっつきカメラモードにするジョニー。
「なに急にひっついてきてるの、殴られたい⁈」
「初めて真弓ちゃんに勝ったった記念にな」
「は⁈」
『パシャリ』携帯がシャッターをきる
「え、なに今の⁈ もしして写真」
「おう」
「携帯電話って写真撮れるの」
「おう、て、いつの時代の人間や……教室でも町中でも、みんなパシャパシャ撮りやるやろ」
「あれってそうなの……こんな小さい画面見ずらいからみんな離して見てると思った」
「どんだけ目え悪いやつおんねん……重症やな……よしゃ、これから二人には帰るまで携帯の基本機能のこうぎをしたる」
そして僕達は、夕方まで彼女達に携帯の講義をした。
読んでいただき、ありがとうございます。
『山田太郎たちの恋物語・Boys Meets Girls?』
第七部『はじめての部活?』
いかがでしたか?
そんなことより最近、娘たちに、どこの馬の骨とも知らぬ男が
わしと一緒に娘たちを見守ってくれるなら、ぜひとも!
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とてもうれしく、励みとなり「いずれあの男どもに天罰を」なんてな。
よろしくお願いします。
by.優子と真弓の父より




