episode4
約一年間更新が無くて本当に申し訳ございませんでした。
よろしければ気長にお楽しみください。
…皆さん、いきなりですが質問です。目の前でこのパーティーの主役ハルツィット王子が吐いていたらどうしますか?
────まず状況を整理しよう。まず私はとりあえず王家の人たちに挨拶をし知り合いらしき貴族にも適当に挨拶を済ませたあと目立たぬようそっと会場を後にした。暇潰しにお庭を散策しようと思い歩いていたらこの状況だ………ってこんなことしてる場合かぁ!目の前で明らかに具合悪くしてるのにほっとくなんてできるわけないじゃん!
私はダッシュでうずくまっている王子のもとへ駆け寄りとりあえずハンカチを渡し背中を優しくさすった。
「大丈夫ですか?!ゆっくり深呼吸してください。気持ち悪かったら全て吐いてください。その方が楽になります。」
王子は突然の事で驚いたのか涙を流し震えながらエメラルド色の綺麗な瞳を私に向けて何度もごめんなさいと謝ってた。…まるで何かに怯えているように。だから私はドレスが汚れるのも構わずに王子を抱きしめ背中をさすりながら大丈夫と何度も伝えた。
────しばらくして大分落ち着いたのか呼吸も整い震えも収まっていた。それを確認しそっと王子を腕の中から解放すると王子は下を向いたまま涙を流していた。
「…本当にごめんなさい。僕のせいで大事なドレスが汚れてしまいまし、僕のせいであなたを不快な気持ちにさせてしまいました、僕のせいで……」
「…困っている人がいたら助ける。これは当たり前のことです。だからそんなに自分を無下にしないでください。ドレスは汚れても洗えばまた着れますし、ましてや不快な思いなどしておりません!むしろ助けられて良かったと思ってます!…だからごめんなさいよりありがとうの方が嬉しいかな?」
と王子があまりにも自分のせいでってうるさいから思わず怒るとなぜか口元を私の渡したハンカチで押さえながら笑っていた。
「…えっと、あのー」
「……こんな怒られ方したのは初めてです。助けて頂きありがとうございます。」
にっこりと微笑んでお礼を言った王子の笑顔に私は思わず見とれていると、ラムが私たちのもとへ歩いてきた。
「────フリージアお嬢様お時間です。着替えのドレスも迎えの馬車も用意できてます。…ハルツィット第一王子殿下の側近の方も呼んでいるのでまもなく到着なさるかと思います。では。」
「え?ラム?ちょっと待って!」
ラムは私の手をとりスタスタと歩いて行ってしまうので王子にさよならの挨拶も言えず、休憩室でドレスを着替えさせられ、馬車に乗せられてしまった。
ラムはずっと窓の外の景色を静か眺めていた。
「………」
「…ラム、挨拶はしなきゃダメだよ?」
挨拶もせずに帰ってしまったことに関してちょっと怒ってみた。
「………」
相変わらずラムは窓の外を静かに見ていた。
「…でも迎えに来てくれて、ドレスとかも用意してくれてありがとう。」
と笑顔でお礼を言うと一瞬瞳だけこちらに向け、また外の景色を見始めてしまった。
────
家に帰り、夕食を済ませベッドに横になると今日の出来事を思い返してみた。
「……ハルツィット王子、可愛かったなぁ。あ、あのあと気分悪くなってないかな?元気になったかな………ん?ちょっと待って?!私、早速ハルツィット王子に関わっちゃったじゃん?!」
ガバッと上半身を起こすと自分の失態に頭を抱えた。
「昨日あれだけ関わらないって決めたのに~!!でもあの状況じゃしょうがないじゃーん!……でも待てよ?私は髪飾りを落としてないし、ましてや王子と婚約してない、ってことは結果オーライ?なーんだ焦ることなかったじゃん!良かったー!」
と開き直り再び横になると一気に睡魔が押し寄せてきてそのまま眠りに着いた。
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「…お嬢様、おはようございます。起きてください。」
いつも通り起こしに来たラムにおはようと挨拶をし、家族全員で朝食をとり、テラスで暖かな太陽の光を浴びながらうとうとしているといきなり目の前に綺麗な金髪とエメラルド色の瞳を持つ顔が飛び出してきた
「こんにちは。フリージア嬢、今日はいい天気ですね。」
「?!うわぉ?!────ってハルツィット王子?!」
あまりの驚きに挨拶も忘れて目をぱちぱちさせていると王子は跪き、私の手をとってそっと自分の口元に寄せ
「フリージア嬢、僕の婚約者になってくれませんか?」
と告げてきた…。
「……、!えぇ?!私ですか?!どなたかと間違えていらっしゃいませんか?!」
私の反応が面白かったのかクスクスと笑いながら私が昨日渡したハンカチを差し出して
「いえ、フリージア嬢で間違っていませんよ?あ、ハンカチありがとうございました。ちなみに婚約に関しては僕の両親ももちろんあなたの両親にも許可をいただいてます。…なので僕の婚約者なっていただけませんか?」
ハルツィット王子は真剣な眼差しでこちらを見つめてきた。だが、ここで婚約者になってしまえば、ゲームと何もかも同じになってしまい断罪ルートに入ってしまう。どうしよう、どうしたら良いんだろう…ってそもそも王家からの婚約なんて断れるはずないんだけど……
と結論を出せないままいると王子は上目遣いでこちらを見つめながら言ってきた。
「どうか断らないでください、……ずるいのは分かっています。あなたが断れないことも…」
確かにゲームの中の王子は毎日厳しい教育、訓練、稽古に耐え誰からも優しい言葉をかけられず生きていた。ヒロインと出会ってからはヒロインの優しいさに触れて心を動かされ、立派なこの国の王になるが、今はまだヒロインには出会えない。だから、その間王子の心を支えてあげられる人はいないということだ。いくら数年後にヒロインに出会うとはいえ、出会うまでの間、王子には側にいてくれる、支えとなってくれる人はいないのだ。しかも昨日、王子は確かに泣きながら震えていた。体調まで悪くして。こんなに幼い子をほっとくことなんて出きるはずがない。
「……婚約をお受け致します。これからよろしくお願いしますね?ハルツィット王子。」
だから、私はヒロインと出会うまでの間、なにもできないけど王子の側にいようと思った。…だってしょうがないじゃん。ほっとけないし、何より私がヒロインと王子の仲さえ、邪魔しなければ断罪されないわけだし、と考えながら笑顔で答えるといきなり目の前が真っ暗になった……そう私は王子抱きしめられたのだ。
「…えと、あのー、ハルツィット王子?」
「ありがとうございます。本当に嬉しいです。」
と、王子が嬉しそうに呟いた。
王子が両親に報告に行くと言って城に帰ったあと私はさっきの婚約の言葉を思い出しながら目を瞑った。
結局ゲームと同じようにハルツィット王子と婚約してしまった。やっぱりあらすじは覆せないのだろうか、運命からは逃れられないのだろうか
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そんなことを考えながら太陽の光に包まれそのまま眠りについてしまった。




