episode3
攻略対象が何人いるかはまだ内緒( ´∀`)
────チュンチュン
「──さま、お嬢様。朝でございます。起きてください。」
誰かの手によって優しく揺さぶられる。
「……ぅん?あと、五分だけぇ…………ん?」
私は勢いよくがばっと上半身を起こした。
(あっぶな!転生してたの完全に忘れてたっ!)
「……えぇと、おはよっラム!」
「おはようございます、お嬢様。本日は昨日お伝えした通り、朝食をとっていただいたらドレスの打ち合わせがございます。」
そういえばそうだったなぁと考えていると、ラムは失礼します、と言い私の服を脱がせ始めた。
「っ?!うわっお?!」
驚いて咄嗟にラムと距離を取ってしまった。
「…………」
ラムは私の服を脱がせるポーズのまま無表情で停止していた。
(──あ!確か貴族って着替えを手伝ってもらうんだっけ?!)
転生前は自分で着替えるのが普通だったので、ラムの行動に驚いてしまった。
「……えぇと、朝だからまだ頭がボーッとしてたかもっ!ちょっとびっくりしちゃった!ごめんね!……じゃあ、お願いっ!」
「……はい。失礼します。」
それからラムに手伝ってもらい用意してくれたドレスに着替え、今はドレッサーの前で髪の毛をセットしてもらっている。
(…貴族はこれが当たり前なのかもしれないけど、暫くはなれそうにないな……。)
などと考えている間に準備が終わった。
そのあと、家族全員での朝食を終え、食後の紅茶で一息ついていると打ち合わせの準備ができたとラムが呼びに来たので、応接室へ移動した。
応接室に入ると軽い挨拶を交わし、早速ドレス選びが始まる…と思いきや、いきなり体の隅々をメジャーで測られ、この辺はもっと絞った方がいいとかここはフリルでボリュームを出した方がいいとかデザイナーによるドレスデザインの打ち合わせが始まった。
(……なんか、思ってたのと違った!まさか、一からドレスを作るなんて……貴族ってすごいなぁ)
────数時間後、無事ドレスのデザインが決まり、今は昼食を取り終え、自室で紅茶を飲みながら一息ついてるところだ。
「……そういえば、断罪されないように頑張ろうって意気込んだのはいいけど、具体的にはどうしたらいいのか……」
────考えること数分、私は一つの答えに辿りついた。
「っ?!そっか!攻略対象への恋心に気づいた事がきっかけなら好きにならなければいいのか!ってかそもそも攻略対象と出会わなければ全て解決じゃない?!なーんだ!とっても簡単な事だったんだ。」
私と攻略対象が無関係ならば、悩むことなくヒロインの友人になれるし、恋のサポートも全力でできる。そう、簡単な話だったのだ。
「もう何も心配することも悩むこともないじゃん!安心したー!……そういえば、フリージアが一番最初に出会う攻略対象ってハルツィット王子なんだよね。確かきっかけはバースデーパーティーで婚約者に選ばれたところから始まったってサイドストーリーで読んだような……バースデー…パーティー……バースデーパーティー?!」
私は勢いよく頭を抱えながら机に突っ伏した。
出会わなければいいと考えていたけれどもう出会いのイベントはすぐそこまできていたのだ。
「なんでバースデーパーティーって聞いた時点で気づかなかったんだろー!……って、そもそも王家からの招待を断れる訳ないか……これがゲームの強制力なの?!恐るべし…」
サイドストーリーで読んだ二人の出会いはハルツィット王子がフリージアの身に付けていた髪飾りを拾ったところから始まる。拾ってくれたお礼に何か自分にできる事はとフリージアがハルツィット王子に尋ねたところ、仮の婚約者になって欲しいと頼まれたのだ。そろそろ婚約を考えなければと周りから言われていたのだが、まだそんなこと考えられなくて困っていたらしい。少しでも困ってる王子の助けになれば、と思いフリージアは王子の仮の婚約者に名乗り出るのだ。こうして二人は婚約関係になった。
「…フリージアとってもいい子だなぁ……じゃなくて!……とりあえず、髪飾りがきっかけならパーティー当日は落とさないよう細心の注意をして、なるべく目立たないよう、王子に話しかけられないよう隅っこでパーティーを楽しもう!よし!この作戦でいこう!」
隅っこにいれば、王子の視界に入らず話しかけられなし、髪飾りさえ、落とさなければ王子の仮の婚約者にならなくてすむのだ。
「…パーティーは一週間後!気合い入れていこー!おー!!」
カップに残っていた紅茶を一気に飲み干し、空のカップを高い位置に掲げ、宣言した。
────しかし、この時の私はゲームの強制力を甘く考えすぎていた。




