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九十七話

 キーンコーンカーンコーン……。


 八時が示された瞬間だった。

 校内中に、突き抜けるようなチャイムが鳴り響いた。授業でも始まるかと思うほどの軽快なリズム。隆幸がどういうことだと視線を送るが、こちらとしてもわかるはずがない。

 すると、今度はなぶる様な、どこか垢ぬけたトーンの声が校内中を乱反射した。

 「では、皆さんそろいましたね~桜井さんを誘拐した保高桐葉で~す」

 放送室! 真樹は直感し立ちあがる。行くぞ、と隆幸も動き始めた。

 自習室を出、真樹たちは廊下に出た。足音が慌ただしく、コンクリートの地面に反響する。

 「さて、皆さんお待ちかね、ゲーム説明でもしましょうかねぇ。時間を無駄にしたくはないですからぁ」

 放送室は二階。彼女を拘束すれば全てはそれで終わりだ。

 人を小馬鹿にするようなリズムの口調を聞きながら、隆幸とともに階段を駆け上がる。

 「ゲームは簡単です。サルでもわかると思いますよ~」

 暗がりの中で段に足が引っ掛かり、真樹は前のめりになりかける。

 「大丈夫か?」

 「はい。すみません」

 のばされた手をとり、体勢を立て直した時。

 「ただ生き残ること。シンプルでしょう?」

 は?

 真樹は自分の耳を疑う。生き残ること?

 ……ならば、命が危険にさらされる状態も、あり得るということ?


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