98/165
九十七話
キーンコーンカーンコーン……。
八時が示された瞬間だった。
校内中に、突き抜けるようなチャイムが鳴り響いた。授業でも始まるかと思うほどの軽快なリズム。隆幸がどういうことだと視線を送るが、こちらとしてもわかるはずがない。
すると、今度はなぶる様な、どこか垢ぬけたトーンの声が校内中を乱反射した。
「では、皆さんそろいましたね~桜井さんを誘拐した保高桐葉で~す」
放送室! 真樹は直感し立ちあがる。行くぞ、と隆幸も動き始めた。
自習室を出、真樹たちは廊下に出た。足音が慌ただしく、コンクリートの地面に反響する。
「さて、皆さんお待ちかね、ゲーム説明でもしましょうかねぇ。時間を無駄にしたくはないですからぁ」
放送室は二階。彼女を拘束すれば全てはそれで終わりだ。
人を小馬鹿にするようなリズムの口調を聞きながら、隆幸とともに階段を駆け上がる。
「ゲームは簡単です。サルでもわかると思いますよ~」
暗がりの中で段に足が引っ掛かり、真樹は前のめりになりかける。
「大丈夫か?」
「はい。すみません」
のばされた手をとり、体勢を立て直した時。
「ただ生き残ること。シンプルでしょう?」
は?
真樹は自分の耳を疑う。生き残ること?
……ならば、命が危険にさらされる状態も、あり得るということ?




