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八十四話

 「分かりました、ありがとうございます」

 電話を切り、隆幸はため息を漏らす。十二月七日。真樹が消える、一日前。

 あの時はただ真樹が転校することを知ってひたすら悲しかったっけ。

 だからこそせめて最高のパーティーにしようとした。

 最後にあんなことになるなんて、思いもしないで。

 「どうだった?」

 楓が日ごろ利用している図書館を調べ終えた晴人が戻ってきた。

 「駄目だ。西条の家の方にもいないらしい。平野は?」

 「図書館にもいねーよ。どうなってんだよタカちゃん!」

 「とにかく探すしかねーだろ」

 結局一睡もせず隆幸らは捜索を続けていた。片っ端から楓が行きそうな場所を探しまわってきた。しかし、かすりもせず、楓の痕跡は完全に断たれている形だった。

 「ちっくしょうがよ!」

 壁をけりつけ鬱憤を放つ晴人。ここまで来ると寝ていないのも相まって晴人はいら立っていた。隆幸も同じだ。予想できないほどの異常事態に隆幸も焦りを隠せない。

 「西条さんとも連絡が取れないし」

 ラインの画面が開けないのは、隆幸も真樹も同じだった。

 「一体どうなってるんだろうな、ほんと」

 図書館前のベンチに腰をおろし、髪をかき上げる。汗で額がべたべたしてるし、クマもできている。

 隆幸はスマホの画面を開く。待ち受けには隆幸、晴人、楓、真樹の写真がある。

 歯ぎしりする。どうしてこんなことになったんだよ。焦りで胸がむかむかする。

 寒さには慣れ、今ではワイシャツ一枚で町を走り回っている。

 「明日が十二月八日か」

 なんでこんな時に限って……。


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