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八十三話

 衝撃のカミングアウトに、真樹は言葉を失っていた。

 「二十八年前、俺は如月のクラスの担任だった。当時は以前より治安が悪かった。授業は破たんしてたし、俺もまだ若かったからそれにいら立ちもした。十二月のころだった。ちょうど、十二月八日。突然如月が自殺したんだ。いつも気丈に振舞っていた子だったから、それこそ俺も驚いた」

 リビング内は水を打ったように静まり返っていた。その中で淡々と福田先生の言葉がしみこんでいく。

 「後からいじめのことを知って、気が狂いそうだった。俺は全く気付くことができなかったんだから。それからさ、呪いの噂が流れ始めたのは」

 「じゃあ、先生のクラスが、始まりだったということですか……」

 「ああ。一月から次々とクラスのメンバーが不幸になったり、不審死を遂げたりした。そして十二時に肝試しに訪れた人間も呪いに関係することになった。だから俺はこの学校に残っている。おまけに冷泉も、何の偶然か十二月八日。……この日は、間違いなく呪いが最高潮となるとみていいだろう」

 それが俺の義務だからな、と先生はこぶしを握った。

 そうか。

 真樹は心の中で確信した。

 普通あんなことがあったらまず間違いなく転勤するだろう。こんな恐ろしい所に進んでいられるはずがない。なのに残っているのは、いまだに悔恨に駆られているからだろう。後悔しているからこそ、先生は観測者となる道を選び、呪いを解くために教員をやっているのだ。

 全ては、二十八年前何もできなかった贖罪をするために。

 「呪いは弱体化するわけなく、どんどん強力になってる。正直手の打ちようがなくなっているんだ」

 「そして、保高さんのように呪いを利用するものも現れた」

 「ああ。だけど、呪いを解けるかもしれない確率が上がったのも事実だ」

 福田先生はにやりと苦笑した。

 「明日、俺は保高の言うゲームとやらに行ってみるつもりだ。十二月八日であるのも、偶然とは思えない」

 「それは罠です。保高の目的は分からないけれど、だけど先生を指定するなんて絶対何かあります」

 桐葉の黒い微笑は、何も考えてないなんてありえない。

 「だが呪いに関連する何かがあるなら、俺も知りたい」

 「……私も一緒に行きます」

 福田先生は高齢で、もう少しで六十歳になる。そんな彼だけに行かせるなんてありえない。

 「俺だけで行く。八日は他に先生もいない。おそらく、俺と保高だけだ。万が一のこともあるからな」

 福田先生はそうやんわりと拒否した。


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