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五十四話

 「彼女は三人を殺すだけでなく、他の無関係な生徒も次々と不幸に陥れた。まだそれはとどまることを知らず、君たちの代にまで影響を及ぼしている」

 それほどまでに怨嗟は強いのだ。そして真樹と岩見を襲い、現在は西条真樹が狙われている。立て続けに、今、隆幸らは異常な状況へ追い込まれている。

ふと思い、隆幸は質問する。

 「……先生、先ほど先生は西条さんと真樹を含む四人と言いましたよね。二人は岩見さんと冷泉。もう一人、誰かいるのですか?」

 その指摘をした瞬間、先生の表情は明らかにこわばった。晴人がちらりと隆幸を見る。

 「それは……言うことができない」

 「どういうことっすか、それは」

 晴人がわずかに眉をひそめた。話せないとは、一体どういうことだろうか。

 「言葉どおりの意味だ。これだけは言うことはできない」

 断固として口を割ろうとしない先生。そう言えば桐葉から受け取った、事件についてまとめた冊子も二ページ目だけが不自然に破かれていた。

 「悪いが、察してくれ」

 先生は訳を言わず、ただひたすら懇願した。

 「先生、そりゃ言い辛いのは分かりますけど、それでも」

 「平野。いい。呪いを解く手がかりがないのなら知らなくたっていいだろう」

 あの先生が言い淀むというのならば、無理して聞く必要なんてない。先生もわずかに表情が弛緩した。晴人も、ま、確かになと納得はしてくれた。

 「すまない」

「いえ」

 そう答えながらも、隆幸は例えようのない不信感を抱いていた。福田先生は言いたがらず、おまけに記述されてある冊子からはページが抜け落ちている。

 まさか、ひょっとしたら。

 冊子のページが抜き取ったのは、先生? もちろんそんなことはないと信じている。信じているけれど。

 「それに、これは確信にも似ているんだけれど、一応忠告しておく」

 先生は周囲を見渡し、誰も聞いていないのを確かめると、小声で隆幸らに囁いた。

 「保高という女子生徒には、気をつけておいた方がいい」

 「保高……あの女子生徒か。なんで彼女が」

 笑顔だけれど、どこか油断ならない雰囲気をまとう桐葉の姿を思い出す。交渉事をする時ならば一番厄介なタイプだとは思う。むしろ、桐葉の頭の切れのよさは頼りになるのではないだろうか。


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