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五十三話

 「ええ。覚えているよ。あの呪いを受けた、冷泉と西条含む四人の生徒の顔は。岩見はよい生徒だった。学業もこなし、部活のエースだった。それなのに……」

 言葉を詰まらす先生は目を伏せる。

 「自殺する数日前、幽霊が見えると相談しに来たんだ。他の先生は全く取り合わず、とても辛そうだった。目に見えて憔悴していたよ、岩見は」

 「彼女の身に、何があったんですか」

 隆幸は深く質問すると、先生はわずかに首を振った。

 「まずあったのは西条と同じ、命が危険に晒される事故が降りかかることだ。無人の車が突っ込んでくる。工事現場のワイヤーが切れる。それで彼女はノイローゼ気味だった」

 真樹と同じ、命を狙われている状況下。精神を病むのは時間の問題だっただろう。

 「数日後、連絡があったんだ。岩見から」

 「連絡? 先生に」

 「ああ。『首をつった女に追われてる。助けてくれ』と」

 嫌な静寂が開いた。ごくりと晴人が息をのむ。

 「学校に着いた時には、すでに手遅れだった。救急車をすぐ呼んだから、多量出血には至らず生還できたのが唯一の救いだったけれど」

 あれは騒ぎになったよ、と先生は苦虫を噛み潰したような、渋い顔を作る。

 「その霊は、二十八年前の如月歌月という女性、ですか?」

 「なぜそれを知っている」

 福田先生はわずかに眼を見張った。さすがにそこまでは知るまいと思っていたのだろう。

 「二十八年前如月がいじめにあい自殺した。その後学校裏サイトで首謀者の三人が不審な最期を遂げているのが書かれていました」

 「そんな裏サイトが存在したとは。全て消したと思っていたのだがな……」

 「当時、先生はその学校にいましたよね。やはり如月が呪いの元凶なんでしょうか」

 「そうだ」

 言葉は濁されなかった。先生からしたら確信があるのだ。


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