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二十七話

 十一月になった。涼しいから寒さになり、人々が上着や厚着をする季節。冬の到来だ。

 真樹が消えたのは、十二月八日だった。この時期になると十二月が近いせいか、時の流れは速いなと少し感傷的な気分になってしまう。

 「おい、見ろよこれ」

 隣の席でスマホをいじっていた晴人が、ディスプレイを差し出してきた。

 「何これ」

 「中学の女子がいじめを受けたことが発覚して、数人が少年院に送られたって」

 ニュース記事の見出しには『増えるいじめ犠牲者!』と書かれ、事の詳細が明記されている。多いもんだな、最近。昔は無かったはずなのに。

 「ああ。大人社会は最悪とか言われるけど、子供の世代も大変だよな」

 隆幸の友人が行った高校でも、一人いじめを苦に自殺している。

 「で、なんでそれを見せるんだよ、今。スマホ禁止だろ」

 「いいだろ。……もし楓の子供がいじめられたら、俺どうすればいいのかなって」

 笑っている物の、目は真剣だった。早すぎるだろと思うと同時にそんなところまで考えているのか、と意外だった。それほどまでに楓に対して本気なんだなと思うと、少し羨ましくもある。

 「そういうのはガキが中学生くらいになったらしとけ。それと桜井の可愛さとお前のコミュニケーション能力を引き継ぐ子供だろ? いじめどころかクラスの中心だ」

 「そんな話上手じゃないぜ~桜井が可愛いのは認めるけどよぉ!」

 誇らしげにオールバックを撫でつける晴人を無視し、隆幸もスマホを起動する。

 「赤門高校っていじめとかあったのかな?」

 何の気なしに 赤門高校いじめ と打ち込んでみる。

 「そんなの出るわけねーだろ」

 にやにやしている晴人の表情が、見る間に強張った。

 何件かのヒットがあったから。

 一番上のタグをクリックすると、とても古いページだとわかる。二十八年前の記事だ。

 「マジかよ」

 晴人がつぶやく。隆幸も信じられない気分だった。本当に出てくるとは誰が予想しただろうか。

 読み込んでいくと、大体このような事が書かれていた。

 いじめを苦に自殺したのは如月歌月という女子生徒。学校裏サイトから標的になり、無視、暴力などを受けたそうだ。主犯格は三人。十二月のある日、教室で首をつった状態で発見され、遺書には三人に対する罵詈雑言が書かれていた。

 顔写真もあった。眼鏡をかけた、大人しそうな少女。年頃の女子としては短い髪をした、可憐という言葉が似合う人だ。

 「いたんだな、うちの高校にも」

 「そうみたいだな。……ったく、朝から最悪な気分だわ」

 母校で自殺事件があったなんて知りたくもなかった。結局その場はお開きになった。


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