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二十六話

 夜。外は雨が降り注いでいて、とても冷え込んでいる。隆幸はベッドに寝転びながら、朝の回想をしていた。

 福田先生。隆幸らがずっとお世話になった先生だ。真樹もそうだった。晴人と楓とつるんで馬鹿なことをしたり、授業をさぼったりしたら説教された。特別指導を受け持っていたため、最初は反感をもっていた。

 しかし事件後、寄り添ってくれたのは先生だけだった。誰も信じてくれない。それどころか真樹を行方不明にさせたと責められる。

 されど福田先生は、責めるだけでなく、隆幸ら三人の話を信じてくれた。あんなにしかり、寄り添ってくれた先生は初めてだった。だから隆幸らは生きている。先生がいなかったならばどうなっていたか。だから隆幸は先生に対し、敬慕の念を抱いていた。

 その先生から、隆幸は色々と現在の状況を知った。

 ある女子生徒の周辺に怪異が訪れていること。そして、授業中に家庭課室の包丁が机に突き刺さったこと。

 「ひょっとしたら、あの子も二年一組、今の一年四組に行ってしまったのかもしれない」

 「ではその呪いに触れている人間が在籍してるということですか」

 「名前は言えないがな」

 わずかに眼を細め、福田先生は頷いた。

 「呪いに触れた女子生徒、か」

 ……接触してみようと考えている自分は、愚かなのだろうか。

 だけどそれしかない。真樹に会えるかもしれないのだ。それだけでなく十五年前のけりをつけられるかもしれない。

 「導きか、落とし穴か」

 どの道悪夢を見ない方法が分からないのだ。乗ってみるしかない。

 数秒後、迷わず隆幸は晴人に連絡を入れた。


 「だけどどうやってその女子生徒を見つけんだよ?」

 あっけなく隆幸の方針は肯定された。最初は耳を疑ったくらいだ。

 「待てよ。あの事件をほじくり起こそうとするの止めるだろ。普通」

 「止める? あいにく俺も楓の悪夢を止める方法を探りたいんだわ。協力するぜ?」

 馬鹿笑いをする晴人。それは本気か、空元気か。いずれにせよ協力してくれるならば、後には引き下がれない。

 「で、どうやるつもりなんだよ?」

 「しらねーよ。学校を張るしかないけど、誰が誰だか分からない」

 「だよなぁ」

 電話の奥でう~んと唸る晴人。

 「一応俺は福田先生に会ってみるよ。ちょうど近くにいるしさ」

 「了解。俺は別ルートで探ってみる」

 「ああ」

 電話を切ってから、隆幸はわずかに笑みを浮かべる。解決こそはしていない。だけど、解決につながる道に立てられた。それだけが嬉しかった。



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