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二十二話

 「福田先生が何かを握ってる、ということだよね」

 福田賢治先生。高校に入学して一年半の真樹らにはどんな経歴の持ち主か分からない。少し、気になる。

 気になる人といえば。

 「それとさ、一真。保高さんって、知ってる?」

 「保高? 委員長だろ。その子がどうしたの?」

 「いや、何でもない」

 その場で打ち明けなくてもいいだろう。

 「そうか。まあこっちは何とかするから、気をつけろよ」

 一真は少し不安そうに真樹に忠告した。気遣う調子の彼に、思わず真樹の頬が緩んだ。心配性なところは昔から変わらないままだ。とても安心できる。

 「うん」

 一真の優しさに心地よさを覚えていた時、彼の手首に大きな傷の跡が目に入った。痛々しい傷跡に、無理やり湿布のようなものが貼り付けられている。

 「ねえ。一真。その手首どうしたの?」

 「ん? いや、別になんでもない。少し擦ったんだ」

 「そうなんだ。……気を付けてね」

 ああ、と一真は頷き、そのまま真樹達は角で別れた。


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