二十一話
帰宅途中。真樹はメモ帳を一真から渡された。
「一年四組の呪いを受けた人間がいたことが分かった」
思い出したのは桐葉の言葉。呪いを受けた人間が以前にもいると桐葉は言った。これだったのか。そう言えば生徒手帳を落としたと言っていたが、見つかったのだろうか。
「岩見翠。三年の女子生徒だったんだけど、十九年前に投身自殺を校舎で起こしてる」
眼鏡を中指で押し上げ、一真は淡々と語った。
「岩見さんの友人の記録では、彼女は以前一年四組に行って霊に襲われたらしい。そしてこの後も何度も彼女の身の周りに怪奇現象が起こり、錯乱状態で飛び降りたそうだ」
同じだ。真樹は内心戦慄する。このまま行けば、私も――。
「幸いなことに、岩見さんが飛び降りた場所は叢の上だった。左腕と右足が複雑骨折しただけで、命には別条はなかったらしい。今は他県の病院を退院し、怪異もパッタリやんでいる」
「確か五年前にもあったよね。こっちも投身自殺って」
あれはよく覚えている。地元のローカルニュースとして大々的に取り上げられたのだ。
「なんで分かったの? 少なくとも幽霊関連の話なんてネットにもあるとは思えない」
「学校の資料室だよ」
「資料室?」
資料室。一階の端にある、学校の沿革などを記した本を収納しているスペースだ。場所は狭く、沿革といっても無作為にジャンルが散らばっているため、三か月に一人利用者がいれば大の字という感じ。在校生でも知らない人がいるほどの、存在感が薄い教室だ。
「でも資料室に、なんで?」
「福田先生だよ。先生が僕に教えてくれたんだ。結果、その場所には霊とかに関連しそうな資料が埋もれてた。それが、今僕が言った全てだよ」
なんで福田先生が? そう聞こうと思ったが、一真も小首をかしげている様子を見、彼も分からないのだろうと悟った。




