十七話
「二人目? ということは、私の他にもいるの? 呪いに触れた人が」
「ええ。一人、ね。それよりお願いがあるんだぁ!」
「お願い?」
真樹が反復すると、桐葉は嬉しそうに頷いた。
「一年四組の呪いを解くの。それに協力してくれないかなぁ?」
「協力? だけど、呪いを解くってどうやるの?」
そんな手法が存在するのか? だとしたら真樹には希望がある。一刻も早く呪いから解放されたい。
「まだわからない。模索中」
首を振る桐葉に、わずかばかり失望してしまう。延々とトンネルを歩き続けるような不安感が心をジワジワと侵食していく。
「だけど、私には成し遂げなければならない目的がある。そのためには呪いも解かないと駄目なんだぁ」
高校生とは思えない、重圧がある言葉。今まで何も宿っていなかった瞳に、かすかに何かがよぎった。その感情は読み取ることはできなかったが、しかし彼女には、とてつもない執着心があることだけは分かった。
「まあいいわ。あなたの気が向いたら協力してねぇ。だけど、早くしないと」
あなた、死ぬわよ。
桐葉は、確信を含んだ口調で言った。
「死ぬ? ……私が?」
提示される恐ろしい可能性。だけど出刃包丁がその証拠だ。あれは運が悪かったら死んでいた。意識していなかった死に対する鮮烈なイメージに、思わず身震いしてしまう。
「ええ。お互い気を付けましょ? 西条真樹さん」
桐葉はきれいにほほ笑んだ後に、真樹に背を向け、そのまま去って行った。真樹はその後ろ姿を見送りながら軽く額を拭った。嫌な汗が出ていた。




