百一話
「私は計画を達成するためにこうしています。大丈夫。すぐに平野さんと桜井さんも地獄に送ってあげますから」
再び桐葉は隆幸に襲いかかってくる。幸運なことに相手は女子高校生。戦闘に慣れているわけではないらしく、隆幸の動体視力をもってしてもさばくことができた。真樹にも目もくれないところを見ると、標的は隆幸らしい。
「それがお前の計画かよ! なんでそんなこと――」
「教える義理はありません」
身軽に次々と刃物を振るう桐葉。隆幸の腕に刃がかすれ、皮膚が切れる。
「――痛!」
「死ね!」
隙を突かれた隆幸に、躊躇なく中華包丁を振り下ろした時。
「やめろやごらぁ!」
野太い声とともに、桐葉の体が横へ吹き飛んだ。バランスを崩しながらも、身軽なステップで転倒を免れる。
汗だくの晴人と、福田先生の二人がいた。体当たりしたのは晴人だ。福田先生はただおろおろとその場に立ち尽くしている。
「邪魔が入ったか」
先ほどののんきな口調ではなく、いら立ちに満ちた声だ。今の体当たりは効いたらしい。フラフラと体勢を立て直しながら、腰のあたりに手を添える。
「平野!」
「お前何やられそうになってんだ!」
晴人の一喝が入る。ほんと、こういうときは甚だ頼りになる奴だ。思わず乾いた笑みがこぼれてしまう。
「悪かったな」
「勝手に死んでんじゃねーよ。ぶっ殺すぞ!」
相変わらずの減らず口とともに、晴人は福田先生の前に進み出る。ポケットからクルクルとジャックナイフを取り出した。隆幸や桐葉とは違う、本格的な武器。




