九十九話
二階を上りきり、紙が散らかっている職員室を越えて放送室の前に立つ。放送室の扉は閉鎖されていた。鉛色のドアノブは、いつもの輝きを失いくすんでいる。
見れば、隆幸はポケットから小さいナイフを取り出していた。自衛用だろう。ロックを解除し、刃を出す。
「開けるぞ」
真樹が頷くと、隆幸が率先して扉を蹴破った。けたたましい破裂音とともに、いとも簡単に扉は口を開ける。
「保高! ばかげたゲームを終わらせて結界を解け!」
突入し刃を構えるも――。
放送室には誰もいなかった。小さな部屋で、マイクが付いた難しそうな器具が置いてあるだけの部屋。隆幸の後ろから素早く見渡すが、隠れている者はいない。
「結界は夜の十二時まで何があっても消えることはありません。そういう呪術を利用させていただきましたからぁ」
それにも拘らず、放送は流れている。
「これかよぉ!」
壁をなぐりつける隆幸。
放送室のマイクはオンになっていて、目の前には録音テープが駆動している。
「放送のチャイムが鳴った時にしかけていたのかも」
「くっそ! 俺らがここに来ると見越してたのか」
考えてみれば当たり前だ。福田先生に隆幸や晴人を迎え入れたのだ、全員がここに集合すると分かっていてその場に留まるはずがない。
「では、ゲームの説明は終わります。くれぐれも――
お気をつけてください」
その声は、真樹のすぐ背後から聞こえた。




