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ECLIPCE BLADE  作者: 月海 ほたる


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第21話「Exterminate」

「あなた方は私と戦ったことがない

私にとって最大のアドバンテージとなりえるサイザー様、

エルフリーデ様。 貴方達二人が私のことを一番知らない。

どういった思想を抱きどういった行動を取るか?

ウォード殿なら、

私と共闘したことがあるから

唯一お分かり頂けるかと思いますが。」

「言う通りだ。

だが、聞けば、今の君はナイトであった頃と違う戦い方をしている。

ある意味でそれは強い。

私もそういう戦い方をしている。」

3人の前に立ち、構えるサイザー。


後方から鉄球が飛んでくる。

回避。背後から追従してくる、それも回避。

受け止めない。

質が違う。合わせる必要はない。


行く手を阻むように氷の女が現れる。

速いし上手い。しかしそれだけ。

先程まで突然の休符に見えたが今は違う。ただの必要のない記号。

受け止める。同質だが、殺意が足りない。


あらゆる神獣のカタチをした波動が飛び交っている。

しかし、神獣ではない。

竜だろうが、鳳凰だろうが、麒麟だろうが、

細かく、そして鋭い音と共に放たれる

無限の燕によってかき消されていく。

「させるか!」

未熟な魔導士を狙うクリス。

サイザーが弾く。

他の3人には目もくれず、

しかし、ウォードとエルフリーデの攻撃は届かない。

その構成の繰り返し、延々と回り続けるリピート。

先に音を乱したのはベネディクトだった。

「…怖い…!」

「しまった!!

「最初からこれが狙いだったか…」

徹底的、そして執念さえ感じる程の

クリスのベネディクトに対して放つ攻撃。

サイザーの守りがある。

しかし時にサイザーの牙城さえ切り裂いてしまいそうな

一撃も混ざっている。

おまけに剣士でない者では決して視認ができない速さで。

何が起こっているのか理解できない。

そんな“理解のできないものが、

自分を殺そうと迫ってくる”。


「もっと早く私の…

いや、帝国の狡猾さを思い出すべきでしたな。


貴方方は個をもってしても、強い。

それが4人も並んでは群としての強さもある。

これは流石の私も不利です。


だが、先程の禅問答はそこの魔術師…


いえ、外道を把握するに十分でした。


サイザー様、貴方はそこな男を「守る」と仰いました。


ベネディクトは、

守られてばかりだったのではありませんか?

それはそうだ、サイザー様が傍にいたら何の心配もない。

狂気に狂気を重ねた“つもり”の禁忌が通用する。


絶対安全圏にいるから。


ハンナがそれを打ち消したときに理解しました、


「コイツは真実の狂気」を何も知らない、と。


だから、潰しやすいと思いました。」

「貴様…!」

ベネディクトがありとあらゆる、

もはや形にすらなっていない魔力をクリスへ放つ。

しかし、全て泡沫。


「お前はもう、張りぼて以下だ。

理解しろ。

守られてからこそ力を発揮できるナイトなど、

いらん。」


「…そして、それでも私がベネディクトを

守る行動を取ると知っているからか…」

「当然でしょう。

ああ、実に美しい、理想的な部下と上司の関係です。


しかしその関係はだいたい、部下を殺します。


まぁ、私は部下を持ったことがありませんので何とも言えませんが。

ただ、この状況に関しては

貴方の判断、

行動理念はいかがなものかと思いますがね…?」


「貴様、サイザー将軍を侮辱するか!?」

「エルフリーデ様。

貴方らしくもない。

私は煽っている訳でも、挑発しているわけでもありません。

部下を守ること、大いに結構です。

しかし、これはもう戦争。

武人としての誇りを優先せねばならないでしょう。」


冷めた瞳で4人を睨むクリス。

小さなうめき声を上げるエルフリーデとウォード。

それを確認し、クリスは嗤う。


「もう駄目だな。

俺が知っている帝国ではない。

誰も、サイザーが庇護しながらベネディクトを逃がし、

残りの二人で俺を倒すにくる。

仲間も守り、武人としての誇りも守る。

最適解は…」


「貴様、言うな…!」


「サイザーはベネディクトを連れ、撤退。

エルフリーデ、ウォードは残ってクリスを討て。」


冷静であれば何のボトルネックもない判断。

しかし、いくらかき乱されたとはいえ

変調に次ぐ変調にエルフリーデもついていけていなかった。


「よくも…!!

国辱に値する!!」


「だろうな。」


先程までの凍り付いていた女は見る影もないほどに

激情、劇熱に身を任せていた。


「それも、こんな若輩者、

帝国から逃げた男にここまで正確に指示を

出されてしまっては、な。」


飛んできたのは鉄球ではなかった。

屈強なナイトの斧槍だった。


「難しいことはわかんねー。

とりあえず、俺とエル姉が組んで、

お前を潰す。で、いいんだよな?」

遠距離から鉄球などという様子見じみた攻撃はしない。

自ら行く。

最大の兵器であり、砦でもあるウォード自身が前に出ていた。

「そうだ。

ただ何があるか分からん。

この先にいったクリスの仲間達にもできる限りの精鋭部隊を

ぶつけて絶対に逃がすな。討て。」

ベネディクトを抱えて離脱しながらサイザーが言う。


「エル姉。

何が冷静でそうじゃねーか俺には分からねーが、

少なくとも今のアンタはいつもと違う。

頭、冷やそうぜ?」


「…貴様に言われると非情に腹が立つ。

しかし、かたじけない。

貴様の言う通りだ。」

落ち着きを取り戻すエルフリーデ。


少しだけ、ほんの少しだけクリスは呼吸を整えた。


-さて…ここまでは及第点。

本当は4人とも撤退させたかったが…

興が乗り過ぎたな。


まぁ…いい。


何とかなる、だろう。

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