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モブ令嬢にそんな『魔力』はいりません!  作者: 黒い猫
第十七章 試験にて
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第一話


「……」


 寮に戻った後。アリアは一人、今日の話を一旦整理しようとノートを広げた。


 このノートには家の自分の部屋にある宝石箱と同じ様な封印の魔法がかけられているが、少し違うところがある。


 それはこのノートを無理やり読もうとすると、ノートが燃える様にしてあるのだ。


 アリアとしてはそもそもこのノートはあくまで自分の考えなどを「まとめる」という目的で書いているため、実は燃えてなくなっても全然問題はない。


 それよりも問題なのは内容を理解される様がされまいが「このノートを読まれる」という事の方だった。


「それにしても……」


 まさか、リチャード王子が『鑑定』の魔法を使えなくなっていたとは……。


 でも、それによって今のゲームとは違う状況のつじつまが合うのだからきっと事実なのだろう。


 もちろん王子たちが嘘をついているという可能性も否定は出来ない……が、嘘をつくメリットがある様にも思えない。


「でも……」


 これによりクローズがリチャード王子と婚約をした理由と魔法が苦手な理由が分かった。


 要するに、クローズが魔法を上手く使えないのは幼少期の失敗を今も引きずっている……というワケだ。


 でも、それも仕方のない話なのかも知れない。


 なぜなら、自分のせいでリチャード王子は確実だったはずの国王の座がいきなり怪しくなってしまったのだ。よほど心臓に毛が生えていないと今までと同じように……とはいかないだろう。


「え、ちょっと待って。それじゃあやっぱりあの一件は……」


 あの王子と外出した時のキュリオス王子を狙った賊の一件の話も事情が変わって来るが……。


 どちらにしても、やはりあれは最初からキュリオス王子を王位継承権の座から降ろすために放たれた刺客だったのだろう。


 それにしては随分とお粗末な刺客だったが……。


 ただ、そうなると一体どこからリチャード王子の話が漏れたのだろうか……いや、そもそも貴族たちは王子の事情を知っていたのだろうか……。


 色々な疑問が浮かび上がってきたが、それも今は過去の事。それよりも今の問題は試験とクローズの事だ。


「……」


 一応、一年の間にクラス替えのチャンスは今回を入れて二回あり「三年間」と考えれば急ぐ必要もない様に感じるが……当然後半になればなるほど難易度は上がる。


 そして今は一年生の基礎を学んでいる段階だ。出来る事なら今の内に上位のクラスに上がってしまいたいところだ。


「それにしても……」


 クローズが事故の件の責任を寄るような形でリチャード王子と婚約をした……という事は分かった。


 その「どうしてクローズが……」という理由も含めて。


 たとえクローズ本人がリチャード王子との婚約を望んでいなかったとしても、それを受け入れなくてはいけない程の事をしたという事は間違いない。


 それは……分かったが――。


「じゃあ、宰相の息子のステファンは?」


 そう、そもそもクローズを宰相の息子である『ステファン・ローレンス』が煽ったのが原因だ。


 しかし、キュリオス王子たちの話からそのもう一人の当事者とも言えるステファンについてそういえば詳しい話を聞いていなかった事にアリアは気が付いた。

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