第四話
話の内容が内容なだけにアリアたちは場所を移して人払いをした上で二人は話を続けてくれた――。
「……」
確か、宰相の息子の『ステファン・ローレンス』は攻略キャラクターの一人で、その中でも魔法が得意だったはずだ。
それ故か魔法に関しては絶対的な自信があり、魔法の成績が良く光魔法の使い手でもある主人公に何かと突っかかってきていた様に思う。
ただ――。
アリアとしては「そんな人が未来の宰相で大丈夫なのか……」とゲームの中の話とは言え、ゲームをしながら正直国の将来を少し心配になってしまったのをよく覚えている。
「話を戻すとね。クローズ令嬢が魔法を披露した後にステファンが突然『自分はもっとすごい事が出来る!』とか言って魔法を使いだしてね」
「そ、それは……」
かなり危険な状態だ。
実際に二人がどれだけの魔法を放ったのか分からないが、普通に考えて危ないという事くらいはその場にいなかったアリアでも分かる。
「うん、かなり大変な事になったよ。実はステファンが放った魔法なんだけど、制御が不十分だったみたいでね。その魔法がクローズ令嬢に向かって飛んで行き、それに驚いたクローズ令嬢は咄嗟に魔法で返してしまってね」
「魔法を魔法で返してしまったのは咄嗟だったから……と言うのはもはや言い訳ね。でも、咄嗟だったせいのかとんでもない威力の魔法が出てしまって……」
「……」
「……」
そこで二人は重い表情になった。
「――それで、そのクローズ令嬢が放った魔法がステファンの放った魔法に当たって弾けた。その一つが近くにいた兄上のすぐ上の壁に当たってしまったんだよ」
キュリオス王子はそう小さく呟いた――。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
ただ、幸いにも直撃する事はなかったらしい。
「でも、兄上は驚きのあまり気を失ってしまってね」
「……」
それはそうだろう。
魔法を学び始めたばかりにも関わらず、自分に向かって魔法が飛んできたのだ。コレが対処に慣れている騎士などであれば問題は何もないが、当時子供だったリチャード王子にそれは酷な話だろう。
「意識は……すぐに取り戻したよ。諸々の話が終わった後だったけど」
「……」
コレについては……あまり深く聞かないでおこう。
何せ一国の王子が怪我をしそうになったのだ。お咎めなし……とはならないだろう。
――ん? けど?
アリアはその言葉の引っかかりを覚え、キュリオス王子の方を見る。
「うん。実はこの話を知る人間はあまりいないけどね。事の発端の二人は子供だと言う事も考慮されて条件付きでお咎めなしになってね。それには『ある理由』があったのだけど……」
王子は苦笑いをしながらアリアを見る。その様子はまるで「この続き、聞く?」と尋ねている様だった――。




