第三話
「どうかされましたか?」
「い、いえ。何でもありませんわ」
クローズはそう言って何て事ない様なリアクションを見せたが……。
「……やっぱり。ステファンの時の事……引きづっているのかな」
キュリオス王子がそう言うと、クローズは観念した様に「ええ」と頷く。
「でも、あれはクローズ令嬢のせいじゃなくて、自分の力を過信したステファンが悪いと思うけどね」
「……」
二人の会話に付いて行けず、アリアは二人の顔を見比べていると……。
「あ、アリアは知らないよね。実は昔――」
それに気が付いた王子がアリアに説明しようとしたところでクローズが「いえ」とそれを制した。
「それは私から……」
「――そうだね」
王子も「本人から話した方が良いか」と判断したらしく、そう言って頷いた。
「ありがとうございます。では、アリア」
「……はい」
突然名前を呼ばれ、アリアはびっくりしつつも返事をすると、クローズは真剣な目でアリアを見つめそして――。
「今から話すのは私の過去の話なのだけれど……」
クローズはそこで一度区切り、小さく「ふぅ」と息を吐いて下を向く。
「……」
どうやら相当覚悟を決めないと話せない内容の様だったが、覚悟を決めたのか顔を上げ……。
「私ね。昔、魔法を暴走させて人にけがをさせてしまった事があったの――」
そして、アリアの知らない……ゲームとは全然違う昔の話を教えてくれた――。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
それが起きたのは幼少期。キュリオス王子のお茶会が終わってそう時間が経っていない時だったと言う。
「あの頃、私は魔法を学び始めたばかりだったのだけれど、色々な事が出来る様になって嬉しくて……みんなに見てもらいたい、自慢したいという気持ちが強かったの」
そう言いながらクローズは「今はそんな事ないのだけれど」と自虐しながら話す。
「……」
でも、アリアは「それは仕方のない話」だと思った。
アリアは前世の記憶があった上に、両親が自分たちを良く見せる事しか頭になく、子供の事なんて二の次……いや、三の次くらいにしか頭のない人たちだ。
そんな人たちの事はその頃には既に何とも思っていなかった。
しかし、クローズは違う。
そもそも大体の子供は何か出来る様になったり発見したりすると、親に限らず誰かに見せたいモノだ。
だから、むしろクローズの話におかしな部分は何もない。
「それで、お母様に連れられて行った王宮でのお茶会の席で簡単な魔法を見せて欲しいって話になってね」
そこでクローズは自分の出来る簡単な魔法を披露したそうだ。
「僕もその場にいてね。まだ魔法を習い始めたばかりにしては見事だと思ったよ。でも……」
大人たちが拍手をしている中に一人。クローズに対して「公爵家の令嬢はその程度の魔法しか使えないのか!」と大声を上げた少年がいたそうだ。
「それが宰相の息子。ステファン・ローレンスだったんだよ」
王子はそう言いつつ、当時の事を思い出したのか……それともステファンが苦手なのか本人がいないにも関わらず珍しく嫌そうな顔をした




