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モブ令嬢にそんな『魔力』はいりません!  作者: 黒い猫
第十五章 対峙にて
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第五話


「……」


 アリアとしては正直「助かった」と内心ホッとしていた。


 あのまま話を続けていたら……下手をするとおかしな要求をされていた可能性が高い。


「……」


 それにしても――。


 チラッとクリスとソフィリアの様子を見る限り「仲が良さそう」には見えて、お互いに笑い合っている……様に見えるが、腹の探り合いをしている様にも見えてしまう。


 ソフィリアの打算的な性格を知っているから、ソフィリアはまだ分かる。


 しかし、クリスの方もそう見えてしまうのは……やはり笑顔がうさん臭く見えてしまうからだろうか。


「ところで……お二人はお知り合いですか?」


 クリスはアリアとソフィリアを見比べながら尋ねる。


「……」


 確かにクリスの疑問はごもっともだ。


 アリアとソフィリアはそもそも学年が違う。二年生と三年生なら多少の面識はありそうだが、一年生と二年生ではほとんどないと言っても過言ではない。


「実は……ちょっと彼女の肩にゴミが付いていて……それを教えてあげたの」

「……」


 よくこの場面でスラスラとそんな言葉が出て来るなとアリアは思わず感心してしまった。


 しかも「教えてあげていた」という事で自分の評価もプラスに持って行こうという精神……御見それしてしまう。


 でも、ソフィリアが周りに人がいる状態で人払いの魔法を使っていたらこの話は出来なかっただろう。


 ただ、彼女は約一年ほどでほとんどの攻略キャラクターを陥落した人物。当然抜け目なんてない。


「へぇ、そうなんですね。お優しいのですね」


 なんてクリスは言っているが、どうにも疑っている様だ。


 そもそもクリスは攻略キャラクターの中で一番疑り深い性格をしているのでそう簡単にほだされてはくれないのだろう。


 それはソフィリアも承知らしく……。


「あ、荷物? 持って行くよ?」


 すぐさまクリスが持っていた荷物の方を見る。


「じゃあ、お願いしましょうか? ただ、うーん。手伝いは……お一人で……」

「?」


 そう言われクリスの視線を追いかけて横を向くと、キュリオス王子がこちらに向かって歩いて来ているのが見える。


「じゃ!」


 クリスはさっきまでの丁寧な口調から一変してかなりフランクな口調でそう言って軽く片手を上げてウインクをしてそのままソフィリアと一緒に購買へと行ってしまった――。


「……嵐みたいな人ね」


 アリアがそう呟いたタイミングで王子が来たためキョトンとした様な顔で「どうしたの?」と尋ねた。


「いえ。何でもありません」


 ただ、その時の王子の顔が面白くて……アリアは思わず笑いそうになり、王子はなぜかその顔を見て顔を赤くしていた。


 でも、アリアはそんな王子を見て「どうしたんだろう?」と今度はアリアが顔をキョトンとさせたのだった――。

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