第一話
でも「ちょっと考えてみれば当然の話ね」という結論に至った。
ただ、アリアがあの時クリスから紹介されたのは全て魔法の中でも実技用のとしても魔法道具のみだったため、筆記試験用も同じなのかは分からない。
しかし「制御が上手く出来ないから」と道具に頼っている様なモノだから当然の報いと言えば……そういう事なのだろう。
「……」
「――ァ。アリア」
キュリオス王子が自分の顔の前で手を振っている事にようやく気が付いたアリアは思わずハッとした。
どうやら相当考え込んでいたらしい。
「大丈夫?」
「は、はい。申し訳ありません」
そう言うと、キュリオス王子は「そう? それならいいけど」と言いつつ飲み物を飲む。
二人がいるのは学校にある『食堂』の一角だ。
「――アリアが考え事をしている事はよくあるのは知っているけどね。あんまり抱え込むのも良くないよ?」
王子はそう言って穏やかに笑いかける。
この学校の食堂は二階建てになっており、二人がいるのはちょうど二階の右隅の席で、ほとんど定位置になっていて、二人のいる机に近寄ろうとする猛者は誰もいない。
入学当初は何とかお近づきになろうとした人たちもいたが、二人の雰囲気に付いて行けず、気が付けば二人の隣の席はいつも空席になっていた。
「……そうですね。ですが、殿下には本当に色々と良くして頂いていますし」
まぁ、この『色々』に関してはあまり大っぴらに言えないのだが……。
「うーん。僕としてはもっと頼って欲しいところなんだけど」
「……考えておきます」
正直「もっとうまく……それこそ可愛らしい返事が出来ないのか!」とアリアは自分で自分を蹴りたかった。
今の言い方を悪く取られてしまう可能性だってある。そうなった場合、最悪「不敬だ!」と言われしまう事だってありえたのだけど……。
「うん、じゃあ気長に待っているよ」
キュリオス王子の反応は思いのほか好感触だった。
「……」
――こういう意外な反応をされると……本当に王子の事がよく分からなくなる。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「それにしても、今日はいい天気だね」
「そうですね」
この席はちょうど隣に窓があり、外の景色を見る事が出来る。
そして今はちょうど昼下がり。お昼も食べ終わり、二人は一服をしていた。
「お昼を食べ終わったから、眠くなってきたかい?」
「そう……かも知れませんね」
「へぇ、珍しいね。寝不足?」
「……今日だけですよ」
王子の問いかけをアリアはサラリとかわす。
「ふーん。それって、クローズ令嬢の事かい?」
何でもない本当に他愛もない会話……だと思っていたところにあまりにも突然の「クローズ」という人物の話題に、アリアは「え、いきなり?」という驚きが出てしまい、思わず目を見開いて反応してしまった。




