第五話
夜――みんなが眠り、辺りが静まり返っている中。アリアは一人物思いにふけっていた。
「……」
今日、購買に行った時。
アリアは店員の「クリス」という男性と話をした……というのはまぁ、ごくごく普通の流れだろう。
何せ、あの時購買にいたのはアリアだけだったのだから。
ただ、あの店員はどことなくうさん臭いとは思ったモノの、男性なりにちゃんと信念をもって働いている事は分かった。
でも、正直あの笑顔はかなりうさん臭い。何か裏を感じる。
帰り際に渡してきたこの紙にかいてある名前が本当なのかも……分からない。ただ、本人が「クリスと呼んで欲しい」と言っていたので、きっと嘘だったとしてもコレに類似する名前なのだろう。
それはそれとして……。
「あそこで売っているモノ……」
実はクリスと話をしている途中。アリアはいくつかの商品を紹介されていた。
その時、決して意図的ではないが何気なくアリアが商品を手に取ると、いつもの様に説明が浮かび上がってしまったのだ。
正直、あの時はかなり焦った。
もちろん、意識的じゃなかったとは言え、こうした説明が出てくる事を今まで誰にも言ってこなかった。
でもまさか「こんなところでバレるとは……」と内心かなり覚悟していたのだが。
「どうでしょう? 良い商品でしょ」
しかし、クリスはその文章に対する反応は特になく、むしろアリアの反応待ちだった。
「……」
それを踏まえて考えると……ひょっとしたらあの説明はアリア以外の人には見えないのかも知れない。
ただ、それをちゃんと確かめるつもりはない。
なぜなら、それを確かめる事自体がものすごくリスクのある事だからだ。
それに、もしかしたら「クリスは実はその説明文が見えていて、自分が売っている商品だからあえて反応しなかった」という可能性もあった。
「それに……」
アリアはあの時動揺はしていたモノの、その商品に書かれていた説明がチラッと見えた時。実はその商品には「デメリット」というモノが見え、そこには『得られる効果が半分になる』と書かれていた事を思い出した。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
実はアリアが見る事が出来る説明にはたまに「メリット」や「デメリット」が表示される事があるのだが。
そもそも『得られる効果』とは一体何だろうか……。
あのゲームでは「恋愛」が中心に描かれていて……勉強はあくまでおまけ程度の存在だ。だから、学校の試験はあくまで「ミニゲーム」という扱いだった。
「……」
でも、実際にこの世界にいたら分かる。
たとえ越えられない身分の壁も、魔法の実力さえあればそれすらも乗り越える事が出来る……と。
「――待って。それじゃあ」
つまり「購買の商品を使うと……試験は通りしやすくはなるが、その代わりとして得られるモノも半減してしまう」という事を意味している事に、アリアはこの時になってようやく気が付いた――。




