第四話
「しかし――」
リアは何かを思い出す様にアリアに話しかける。
「うん?」
「今日は随分とお戻りが遅かった様に感じましたが……そういった事情があったのですね」
リアはそう言いながら「納得」と言わんばかりに「うんうん」と頷く。
「あー。えーっと……」
「違うのですか?」
確かに、いつものアリアであればテスト勉強でもない限りもっと早く帰って来ていただろう。
まぁ、テスト前の場合は図書室が閉まるギリギリまで入り浸るのでだが。
しかし、今回は違う……というより、本来であればクローズに会う予定ではなかったのだ。
なぜなら、そもそもの目的は全然別のところにあったのだから……。
「じ、実は購買に寄っていてね」
アリアはそもそもどうしてクローズに会ったのか……事の発端から話した――。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「なるほど……そういう事でしたか」
「なんだかんだ今まで一度も行っていなかったから。学校の大事な施設の一つだし、もしかしたらこれからお世話になるかも知れないと思ってね」
「確かに、お嬢様は筆記用具などはすぐに切れてしまうかも知れませんね」
「まぁね。一応、学校の外にも文具を取り扱うお店はあるけど、学校にいる間はちょっと……ね」
「そうですね」
コレが放課後であれば何も問題はない。しかし、授業がある日中は基本的に学校外の外出禁止である。
「――お気に召したモノはございましたか?」
「うーん……」
正直。どれも『性能』という話に限って言えば申し分なかった。
しかし、それは「一年生」という今のアリアにはむしろ「良すぎていらない」と言えるほどの性能の良さだった。
「私はまだ一年生。学校では基礎を学んでいる段階だから……今はまだあまりそういったモノには頼りたくない……かしら。筆記用具はまだ切れていないし」
この間のテスト期間中に筆記用具は大量に買い込んでいるため、しばらくは必要ないはずだ。
「……なるほど。確かにそうですね。何事も最後は基礎がいかに出来ているかという事ですから」
これにリアはどうやら納得した様だ。
「……あ」
そこでアリアはリアの言葉を聞いて『ある事』を思い出した。
それは購買に置かれていた商品を見た時の話になるのだが……。
「……」
「どうかされましたか?」
突然アリアが下を向いて考え込むように黙ってしまい、リアは心配そうに尋ねる。
「え、ああ。ううん。何でもないわ」
アリアがそう答えると、リアは「そう……ですか」と何か言いたそうだけど、それ以上は聞いてこなかった。
「……」
そんなリアを見ているとアリアとしては本当に申し訳ない気持ちになる。
でも、コレを言ってしまうと……それこそ面倒な事になってしまう……と思うし、そんな事にリアを巻き込みたくない。
だから……アリアはどうしても言えなかった――。




