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第三話


 しかし、王子の言い方を踏まえて考えると「証拠が掴めれば今の状況が一変する」とも取れる。


「正直。その庶民の女子生徒に兄上を含めた次の生徒会の人たちがどれだけご執心なのか分からないからね。聞いたところによると、全員婚約者がいるみたいだし」

「……」


 つまり、クローズを含めた攻略キャラクターと婚約関係にある令嬢たちがイジメや嫌がらせに手を出さずに向こうがボロを出してくれさえすれば勝手に自滅してくれるというワケだ。


「……」


 しかし、魔法学校に入学して数か月くらいしか経ってはいないモノの、主人公の話を男女関係以外で何も聞いた事がないというのが謎だ。


 確か、ゲームでは主人公は「珍しい魔法の上級が使える」となっており、それがこうした『魔法』を扱う乙女ゲームではよくある設定の『光魔法』だったという事は知っている。


 膨大な魔力を持つアリアも使えるは使えるがその『光魔法』に関しては本当に初歩的なモノしか使えない。


 この世界の魔法は火・水・地・風の『四大魔法』に分けられ、アリアはその中でも「地」を得意として、キュリオス王子は「水」を得意としていた。


 そして、主人公が得意としているのはその四つに当てはまらない『光』で、コレは初級レベルは誰でも扱う事が出来るが、上級レベルになると『聖魔法』とも呼ばれるほど「才能」がモノを言う魔法だった。


 この『光魔法』の対をなしているのが『闇魔法』で、これまた上級レベルになると『暗黒魔法』と呼称が変わるモノがあるのだが、それは負の感情を糧にして使える様になる代物で、実は誰にでも使える。


 まぁ、この事実を知る者は意外と少ないのだが。


 それを踏まえて考えると、いくら一学年下のアリアたちの耳に何も入らないのはおかしい。


 そもそも、アリアとしては「同じ『先祖返り』かも?」と思っていたが、そんな話を誰からも聞いていない。


 もちろん「守秘義務だから」と言われてしまってはそれまでの話ではあるのだが……。


 後、他にも正直疑問に思う点はまだある。


 アリアはこの世界を「自分が前世でプレイした後に発売された『リメイク版』の世界だろう」と思っていた。


 しかし、それを踏まえて考えても……いくらなんでもスムーズに話が進み過ぎていないだろうかと感じていた。


 それこそ本当にゲーム通りの主人公であれば、いくら一年経っていたとはいえ「攻略キャラクター全員を陥落」なんて出来るのだろうか。


 いや、そもそもそういった事をするのだろうか。


「……ひょっとして」


 その瞬間。アリアの脳裏には『ある可能性』が過った。


 いや、実は王子から「最近、兄上が同級生の庶民の女子生徒にご執心」という話を聞いてから考えていた事ではあった。


 でも、心のどこかでは「転生者が二人も同時に存在するの?」と思っていたのも確かだ。


 しかし、こうなってはむしろその『可能性』しかない……そうとしか考えられない。


「……」


 そう、それは「主人公も転生者である」という『可能性』だった――。

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