第二話
「全員……ですか」
コレは思っていた以上に事態は深刻な様だ。まさかキュリオス王子以外の攻略キャラクター全員が既に陥落しているとは。
「うん、そうらしいよ」
王子曰く、この話は陛下とは別件でリチャード王子付きの使用人から聞いた話らしい。
「あまりにも兄上が自分の忠告を聞いてくれないと困り果てていたよ」
「そうだったんですね」
使用人はただ淡々と仕事をこなすだけではなく、相談役になったり間違った事をしそうになったら止めるというストッパーの様な役割を担ったりする事もある。
その使用人としは当然「リチャード王子には婚約者がいる状態で別の女性と懇意にするのはいかがなものか」と思って忠告したのだろう。
それをまさか無視するとは。
「正直、その使用人の話を聞く限り。兄上は将来的に自分の意見に賛同してくれる者しか置かなくなるのではないか……と思っている」
「それはつまり、自分の周りにイエスマンしか置かない……と」
そう尋ねると、王子は「うん」と頷く。
「そうなったら誰も兄上を止められない。今は大人しくしているけれど、いつそうなってもおかしくない状態だって使用人は怯えていたよ」
「ですが……」
「ん?」
「もし仮にそうしたとしても……」
アリアが考え込みながらそう小さく呟くと、どうやら同じ考えらしい王子も「うん」とまた小さく頷く。
「多分、学校を去ったその足で王宮に駆け込むか、監視役の人と共に王宮に向かうか……どちらにしても事情を聞かれるだろうね」
「そうなりますよね」
しかも、リチャード王子に付いている使用人は王子自身が選んだのではなく、陛下が直々に選んだ人物。
当然何かあった時の対処法も心得ているだろう。
「しかし、使用人が殿下にこの様なお話をするとは……」
それだけどうしようもない状態だという事なのだろうか。
「今のところコレに関してはまだお父様の耳には入れていない。この話は僕からじゃなくて本人の口から説明しもらった方が良いと思うから」
「そうですね」
その方がその使用人も言いたい事が言えるだろう。
「ただ、お父様はやたらとご執心な庶民の女子生徒がいるという報告は受けていると思う。まぁ、それに伴って『監視役』も兄上に付けているみたいだけど……」
「え、では既に……」
「兄上の身辺調査はしていると思う」
「では、その事によってクローズ様との婚約に支障をきたしているという事は……」
「それはまだ報告されていないんじゃないかな。あくまで『ご執心』という事で留めていると思う。決定的な証拠が掴めていない以上、言葉だけじゃいくらでも誤魔化せるから」
「……なるほど」
「正直、相手も相当上手いのか今のところ『やたらと仲が良い』という事しか分からないからね。決定的な不義理があればすぐに報告が上がると思うけど……」
「まだそこまでのモノは上がっていない……と」
アリアがそう言うと、王子も「そうだね」と同意した。




