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第五話


 もちろん、あの『神』が関わっていないという事も十分ありえる。


 いや、むしろその可能性の方が高いかも知れない。でも、確かに人生は何が起きるか分からない。


 それはアリア自身が身を持って知っているつもりだ。


 ただ「それでも……」とやはりシナリオのあるこの世界で生活して思うのだ。


 やはり「シンデレラストーリーよりもその人にとってもごくごく普通の幸せな生活が良いのでは?」と。


 前世でゲームをプレイしている時は「いいなぁ」とかちょっとした憧れを抱いていたのも事実ではある。


 しかし、こうして実際に位は低くても「貴族」として生活をすると……いかに大変なのかよく分かるし、貴族の暗い部分や噂の広がるスピードの速さには驚いた。


 だからこそ、今はまだ「一部」で済んでいる主人公の話も今ここで手を打つべきだろう。


 もし仮に彼女がアリアと同じ立場だったとしたら……仮にゲームと同じ様に婚約を破棄したら……きっとゲームだけでは語られなかった茨の道が待っているに違いない。


「……」


 ゲームでは「主人公と王子は末永く幸せに暮らしました」で終わっているが、そんな簡単な話じゃない事ぐらいは良く分かる。


「とにかく……」


 アリアは寝る前にもう一度ノートをこっそり開く。


 気になるのは主人公の動向と悪役令嬢であるクローズの様子だ。


「何も気にとめていなければいいのだけど……」


 しかし、女性の嫉妬心というのはある瞬間に爆発するモノだ。


 毎回その嫉妬を友人に話すなどしてある程度解消していればいいが、ゲーム上の彼女はかなりため込むタイプで、たとえ友人に話していたとしても、残ってしまうのではないだろうか。


 クールで強そうな印象を持たれがちな彼女だが、その中身は繊細で打たれ弱く、友人が少ないがために人の話をすぐに信じてしまう……そんな少女の様な人だった。


「守ってあげたいってこんな感じなのかしらね」


 それに対して主人公は可憐な見た目に対してかなり強い印象を受ける。


 攻略キャラクターたちは「守ってあげたい」みたいな事を言っていたが、アリアからしてみれば「いや、この子意外と一人でも大丈夫よ?」と言いたい気分だった。


「……」


 なにはともあれ、まずは状況の整理をするために情報を集めるべきで、やはりクローズと接触した方が良い。


「そうなると……」


 タイミングとしては生徒が集まり、なおかつ主人公たちがいない昼食時がベスト。


「後は……」


 主人公の動向だ。


 しかし、校舎が違うため簡単に調べられそうにない。


「……あ」


 そんな時、ふとある人物がアリアの頭に浮かんだのだが……。


「うーん」


 しかし、思わずうなってしまった。


 確かに主人公の周りを調べるにはその人物は適任だとはアリアも思う。しかし、そうなると「了承してくれるのか」それがとても不安だった。

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